JCLIF レポート

3月8日の国際女性デーをまえに拘束された5人のフェミニストの一人、大兔さんは2014年夏に広州の清掃労働者たちのストライキをフェミニズムの視点でレポートしていました。
日本語訳

今回、労働NGOで活動する大兔さんのボーイフレンドの文章を訳しました。
写真などは原文ページをご覧下さい。
原文と写真

囚われたフェミニズム 労働者たちが支援に駆けつける (3月10日)

3月7日に拘束されたフェミニズム・アクティビストを労働者が支援

ソース:新媒体女性 筆者:危志立
2015年03月10日

筆者は警察に拘束された大兔のボーイフレンド。本文は作者からの了解のうえで配信しており、転載する場合には出所と著者を明記してください。
 「闘争において、膨大な数の強力な敵と対峙しているとき、あなたにまだ一人の友がいること発見し、そしてそれが未知の友であったなら、それは無上の喜び(原文:最棒的感受)となるだろう」
 これは映画『PRIDE』(邦題は『パレードへようこそ』、日本公開は4月から:訳注)に登場する、ストライキ中のウェールズの炭鉱労働者の指導者が、炭鉱労働者の支援カンパを行ったロンドンの同性愛者たちにむけた感謝の言葉だ。この映画は1984年におこった実際の物語を映画化したものであり、この演説もそのまま再現されている。そしてこのセリフは、この何日間で僕が心から感じたことでもある。
 3月7日早朝、僕のガールフレンドの大兔(鄭楚然)を含む北京、広州、杭州、雲南のフェミニストが警察に拘束された。彼女たちは3月7日に公共交通におけるセクシャルハラスメント予防の啓発活動を提唱して、国際女性デー(3月8日)を迎えようとしていた。今日(3月10日)までに、李麦子、韋[女亭] [女亭]、王曼、大兔、武[山栄] [山栄]ら5人のフェミニストは拘束されたままで、すでに刑事拘留で北京海淀看守所に拘留されている可能性が高い。
 3月8日、僕はチャットのモーメンツ(SNSアプリ、友人間で写真などを共有できる機能:訳注)でシアトル、ロンドン、ニューヨークの友人たちが、大兔がつくったセクシャルハラスメント反対のシールや「フェミニスト行動派」のスローガンを掲げたり、「フェミ無罪」と書かれたスローガンを掲げて、拘束されたフェミニストたちを支援する写真を見た。
 その時に僕が感じたのが例の「無上の喜び」だ。そしてこの種の喜びは、じつのところ今回が初めてではない。

 2012年9月26日に感じたのが、この「無上の喜び」だ。その年、僕たち深センの労働NGOがまとめて弾圧を被った。そしてその年の9月26日に広州の小鳥(人名)が、労働者の仲間たちのためにフェミニストたちが手作りした月餅102個を持ってやってきてくれたのだ。こうして僕たちは、とても厳しい状況のなか、とてもうれしい中秋節を迎えることができた。
 雪中送炭(困っている人を支援する)とは、こういうことをいうのだろう。
 実際のところ、大兔らフェミニストはこれまでも労働者、とくに女性労働者の権利に関心を持ってきた。2013年には迪威信の労働者代表だった呉貴軍が捕まったときにも、大兔は呉さんを積極的に支援した。

(写真:砂浜に書いた文字は「労働者は団結しよう、もう砂つぶのようにバラバラにされない、ストライキは合法、呉兄さんを釈放せよ」)
 2013年11月25日、深セン手牽手工友活動室は、工場で働く女性たちのセクシャルハラスメント被害の調査報告と宣伝用のビデオを発表した。このビデオもおもに大兔が撮影・編集をてがけた。

(画像:禁止マークに「性騒擾(セクシャルハラスメント)」などの文字がデザインされている)

2014年に広州の学園都市の清掃労働者のストライキのさいには、大兔は現場に駆けつけて、レポート『見よ!これが女のたたかいだ:広州学園都市清掃労働者のストライキ』を書いて、ストライキにおける女性労働者たちの主体性を描きだし、女性労働者たち全体を鼓舞して、「ストライキは男がやるもの」という偏見を打破した。

(写真:ストライキ現場で取材する大兔)

大兔たちフェミニストはこれまでも労働者の権利に関心を持ち続けてきた。だから今回フェミニストたちを襲った監獄の苦しめに際して、労働者たちが当然のごとく支援に駆けつけたのだ。

(写真:拘束されている5人のフェミニストの名前と「厦門[アモイ]の女性労働者はあなたたちとともにいる」のメッセージ)

(写真:拘束されている5人のフェミニストの名前と「声援します」「厦門の労働者より」と書かれたメッセージ)

(写真:拘束されている5人のフェミニストの名前と「声援します」「厦門の労働者より」と書かれたメッセージ)

(写真:拘束されている5人のフェミニストの名前と「声援します」「厦門の労働者より」と書かれたメッセージ)
 この労働者は(職場で)鉄さびか機械油かでメッセージを書いたようだ。彼女のぼろの軍手は、何とも言えない悲痛さを感じさせるとともに、とても感激させるものだ。

(写真:ぼろ布に「フェミニズム・アクティビストを応援します」の文字と固く握られた軍手のこぶし)


 この女性労働者が掲げているメッセージは「私たちはハラスメントに反対します、あなたたち(当局を指す)はハラスメントをやめなさい!!!」と書かれている。チャットの友達の言葉を借りれば「自分がこれほど問題意識を持ったことはこれまでなかった」。

(写真:「私たちはハラスメントに反対します、あなたたち(当局を指す)はハラスメントをやめなさい!!!」と拘束されている5人の名前と「支援します」と書かれたメッセージも持った女性)

労働者もフェミニズムに賛成!

 (写真:上半身に、ハート型で囲んだ「大兔」の名前、「あなたはずっと僕の自慢だ」、「無産階級」と書かれたメッセージ)
 労働運動の歴史における成果の多くは、フェミニストたちとともに勝ち取ってきたものだ。たとえば3・8国際女性デーも最初の目標は、労働時間の短縮、賃上げ、労働環境の改善、児童労働の禁止などだった。フェミニストたちが今回被った被害は、男主義社会の抑圧に根源があるが、同時に社会構造における階級的抑圧という根源でもある。これらの問題があるなかで、僕たちの誰一人としてこの問題を避けて通ることはできないし、まして屈服することなど断じてできない。前進する道を探し続けながら、他の誰かに対する支援の手を差し伸べよう。そしてその手を強く握りしめよう。

 

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