JCLIF レポート

深セン市総工会にストライキ労働者代表の呉貴軍の
釈放のために尽力することを求める署名

先日来お伝えしている、中国深センの工場移転に伴う補償金をめぐりストライキを打ち、政府への請願行動の過程で逮捕された労働者、呉貴軍さんについて、深セン市長と深セン市総工会主席(労働組合の委員長)は不起訴と釈放のために尽力してほしいというウェブ署名が香港の労働NGOを中心に呼びかけられています。

署名サイト(中国語)

団体名か個人名、そしてメアドを記入するだけで署名できるようです。たぶん日本語もそのまま入力できると思います。名前の後ろか前に(日本)を記載すれば日本からの署名だと分かると思います。

呉さんを支援する声は中国版ツイッター「ウェイボ」を中心に広がっています。呉さんの家族や同僚や知人などが「父さん早く出てきて!」「呉兄貴、がんばれ!」「ストライキ無罪!」「支持!」など手書きのメッセージを掲げてウェイボにたくさん写真を掲載しています。香港のウェブメディアにこれらの写真の一部が掲載されています。

支援のメッセージを掲げる家族や支援者らの写真(主場新聞)

家族や支援者

http://p.tl/TbED

以下、署名の日本語訳です。

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深セン市総工会にストライキ労働者代表の呉貴軍の
釈放のために尽力することを求める署名

労働者の権利を防衛し、労働者のストライキ権を支持し
労働者代表を擁護するという責務を果たしてください

深セン市長 許勤 殿
深セン市総工会主席 羅莉 殿

深センの一千万余りの出稼ぎ労働者たちは、30年余年のあいだ深センの繁栄を築き上げてきました。しかしそれに見合う処遇と地位には程遠く、悪徳経営者による公然たる違法行為の被害を受けるものもいます。政府が主導する珠江デルタ地区改革発展計画要綱(2008-2020年)による企業の移転と産業構造のレベルアップという大きな流れのなかで、依然として賃金や補償金の未払いが横行しています。中国政府が国際社会にまい進することを決心したこのいま、深セン市政府、深セン市人民検察院はメイド・イン・チャイナの輝きの背後にいる労働者に対して、資本の側に立った嫌がらせと侮辱を行うことはないと私たちは信じています。深セン市当局は呉貴軍を釈放することを通じて、責任逃れをする投資家に対し
て以下のような厳しいメッセージを発するべきです。

「社会大衆は卑劣な手段で労働者の権利を侵害する経営者を容赦しない」
「政府は労働者による権利のための行動を絶対に保障し、ストライキに罪はない」

ストライキは犯罪ではありません 労働者の合法的権利を守ってください

 迪威信家具用品(深セン)有限公司は、1998年に深センで設立された加工貿易を行う香港資本の企業です。2006年、工場の経営者、夏海欧は恵州に工場を新設し、機械設備などの資産を恵州に移転させていきました。2010年に、夏海欧は深センでよく似た名称の「迪威信(深セン)家具用品有限公司」を別に設立し、資産の移転をさらに進めました。2013年2月、「迪威信(深セン)家具用品有限公司」は受注の減少にともなう残業縮小など多くの問題が発生し、労働者も300人ほどに減少していき、残った300人ほどの労働者たちは工場閉鎖を意識し始めました。2013年初、労働者たちは深セン市の労働部門と司法部門に対して、この問題に介入するよう連名で書簡を送り、企業の資産が移転されつつある中で労働者の合法的な権利に対する合法的な保障と合理的な経済補償が守られるよう要望しましたが、しかし成果を得ることができませんでした。そして、2013年5月、会社は最後の機械設備を運び出そうとしたのです。

 2013年5月7日、迪威信の労働者たちは設備の搬出を阻止するためにストライキを打ち、工場移転および労働者への対応に対する説明を求めるとともに、法律に則って移転に伴う経済補償金を支払うよう要求しました。労働者はなんども経営者や工場の所在地にある石岩労働センター、石岩派出所と交渉を続けましたが進展はみられませんでした。2週間のストライキ期間中、労働者はなんども政府部門および労働組合が介入することを要求しました。労働者たちは2度にわたって集団で地元の政府部門への陳情を組織しました。しかし残念なことに最終的に経営側から出た回答は、在職期間1年につき400元の補償金というものでした。これは法律の定める補償基準を大きく下回るものです(労働契約法では、在職期間1年につ
き、一ヶ月分の賃金を補償金として支払うとされており、労働者の月給は2700元ほどでした)。

 2013年5月23日、300人の労働者たちは他になす術もないまま深セン市政府に助けを求めるために、市政府へと向かいましたが、途中で警察に包囲され、200名あまりが捕まり、そのうち20名あまりが13日間も拘留され、2名が37日間拘留されました。そして呉貴軍は現在にいたるも拘留され続けており、すでに100日以上が過ぎようとしているのです。

 中国の労働契約法の第46条では、工場が所在地から移転する際に、労働者が転勤を望まない場合は、経済補償金を支払わなければならないと定められています。迪威信の労働者たちがストライキで訴えているのは法律の規定に従って賠償金を支払うことであり、妥当な要求です。ストライキに参加した労働者たちは自分自身の合法的な権利を守ろうとしただけであり、違法行為でもなんでもなく、そもそも犯罪ですらないのです!労働者が「不当な扱いを訴えるところもない」時に、労働組合はどこにいるのでしょう?もし呉貴軍が起訴されてしまったら、労働組合の設立を進め、労働者の権利を守るという深セン市の旗幟にとって大きな後退となるでしょう。今年は広東省総工会設立60周年でもあり、不当に拘束された労働者代表――呉貴軍の冤罪を晴らすために広東省総工会が尽力するに値するものと考えます。

労働者代表を釈放してください

 私たちは香港および国際社会における労働者の権利を推進する団体として、地方の警察が刑事拘留という拘束手段によって労働者のストライキ権に打撃を与える行為を厳しく非難します!ストライキに参加した労働者および呉貴軍は自らの労働権を実現しようとしただけであり、公共や私的所有物を破壊したわけでもないことは私たちも知っています。私たちは、深セン市総工会が労働者の権利を守るという責任を果たすために、呉貴軍およびその家族の支援のために積極的に介入し、不起訴および早期釈放のために手助けをすることを望んでいます。労働組合の最も主要な責任は労働者の権利を守ることです。深セン市総工会が組合の責務を果たし、同時に広東省総工会が、労働者の合法的権利を守るための行動が逆に起訴の憂き目に遭うという今回の冤罪事件を調査することを、緊急に呼びかけることを希望します。

 今回の事件について、私たちは深セン当局に対して次のことを要求します。

1. 労働者のストライキ権を保障すること
2. ストライキ労働者の代表を保護すること
3. 呉貴軍およびその家族を支援するために介入し、
呉貴軍の不起訴と早期釈放の実現を手助けすること

 私たちは、中国政府が今後も末永く深センで働く労働者の合法的権利を全力で保障し、労働者の権利を侵害することで利益を為す不法な資本を厳しく審査処罰し、労働者の権利を守るという中国政府の決意と行動を国際社会に示すことを希望します。

副本を朱小丹・広東省長、黄業斌・広東省総工会主席にも送ります。

連絡担当:***(全球化監察、亜洲専訊資料研究中心)
電話:******(香港)、*******(中国) 

署名団体(2013年9月23日下午10時現在)

大学師生監察無良企業行動, SACOM
中国労働透視, Labour Action China
労働視野工作室, LaborVision
労働力, Worker Empowerment
中国労工研究中心, China Labor Research Center
左翼廿一, Left 21
全球化監察, Globalization Monitor

個人署名
(略)

<2013年 後半>

<2013年 前半>

<2012年>