JCLIF レポート

こんにちは、会員のIYです。

世界各地で生産する日本のグローバル企業、スミダ電機(スミダコーポレーション)の中国工場で組合結成の動きです。

スミダ電機は1984年から中国・広州市番禺区で委託加工を行っています。

89年には韓国マサン自由貿易区の工場閉鎖で、韓国労働者が来日闘争。(くわしくはNPO労働相談センターのブログに。)

現在は、本社を中央区日本橋に移し、グローバル企業になっています。中国現地では「勝美達」という名前で経営。その中国スミダの委託加工工場で組合結成、そして会社による妨害の動き、という話です。
 昨年来、中国で大きな問題になってきた社会保険料の未納について、労働者らがたちあがって不十分ながらも追納を認めさせたのですが、報復として率先していた労働者らを解雇。労働者らは防衛のために組合を結成して労働条件待遇を求めることになりました。
 それに対して、会社側はさきに組合を作ってしまおうという動き。総工会の不作為や会社への肩入れなどもありましたが、労働者らは訴えを広げて、まともな労働組合の結成を呼びかけています。労働者の訴えには懐かしい赤色労働組合なんて言葉も出てきます。中国では赤はめでたい色、ということで・・・。
 スミダ電機はこの番禺以外にも、太平(広東省東完)、南寧(広西省)、上海、常徳(湖南省)、吉安(江西省)、宿遷(江蘇省)に工場があります。

以下、組合役員選挙をまえにした6月11日に出されたスミダ労働者への訴えです。

中国スミダ労働者から働く仲間への訴え

親愛なるスミダの仲間たち!

最初に、「労働者代表」という名前でこの呼びかけ文を発表することを許してください。わたしの首席代表と仲間の労働者代表という身分は、まだ全員の同意を得ているわけではないのですが、経営側からの報復攻撃を阻止するためなので、まだわたしの名前をすべての労働者に明らかにするわけにはいかないのです。どうぞご理解のほど。

しかし、わたしたちはすべての仲間たちに知ってもらいたいと思っています。スミダでは、真の労有働組合(以下、赤色組合)結成を目指す人々がすでに存在しています。具体的なリストは、選挙の公示前に皆さんにお伝えできるでしょう。しかし赤色労組結成を実現するために、わたしたちはともに働く仲間たち全員にこの呼びかけを発する必要があると考えています。

六千名余りのスミダの働く仲間たち。長年にわたって、スミダは現地の最低賃金水準に近い賃金しか支払ってきませんでした。もし8時間労働、週休二日という通常の労働時間であれば、わたしたちは生活することさえできないのです。だからわたしたちは休憩もない残業を続けるしかなかったのです。

1866年、第一インターナショナルはジュネーブでの代表大会で「8時間は労働のために、8時間は自分のために、8時間は休息のために」というスローガンを提起し、各国が法律でそれを定めるように要求しました。

150年後のわたしたち中国スミダの労働者も8時間労働を渇望しているのです。つまり、8時間は労働のために、8時間は自分のために、8時間は休息のために。これがわたしたちの夢なのです。わたしたちが渇望する8時間労働によって、もっと多くの時間を子どもたちや家族との時間に使うことができるのです。わたしたちが渇望する8時間労働によって、もっと多くの時間を学習や成長のために使うことができるのです。

しかし、現在の待遇では、たとえ会社がわたしたちに8時間労働を認めたとしても、それによるわずかな賃金では家族どころか、自分の生活も維持することができません。なぜなら会社は1630元の基本給(地元の最低賃金1550元をわずかに超えるだけ)をもとにわたしたちに賃金を支払うからです。これではまったく尊厳ある生活など送れるはずもありません。会社が加入する社会保険と住宅積立金においても、多くの違法問題が存在しています。

わたしたち労働者は団結し、8時間労働と尊厳ある賃金のために、社会保険料や法定積立金のために、たたかわざるを得ないのです。しかし親愛なる働く仲間たち、現在の法的枠組において、わたしたちは強大な会社とどのようにして交渉したたかうことができるのでしょうか。

団結!そう、団結するしかないのです!わたしたち労働者は強大な会社と比べたら、唯一の力は数の上での優位しかありません。そしてこの優位を発揮するには、団結を通じてしか発揮できないのです!

いかに団結して巨大な力を形成し、会社側と平等な交渉対話、ひいてはストライキさえも行うことができるのでしょうか? 2013年9月、一千名余りのスミダの働く仲間が署名し、代表を選び、各方面に対して会社側の違法行為を訴え、労働者の権利実現のために、工場側に交渉をせまり、社会保険の未加入期間分の追納、賃金引上げなどを要求しました。しかし工場側は武装警察大隊を呼んで、わたしたちの代表を会議室に閉じ込めてしまいました。わたしたち労働者は団結と闘争を堅持し、最終的に2014年までに、02年以降の社会保険料の追納をかちとりました。

しかしそのときの闘争の不十分さによって、実現された成果も理想的だとは言えませんでした。さらに残念なことに、そのときに率先してたたかった労働者代表10人すべてが解雇されてしまったのです!それいこう誰もあえて率先して労働者のために発言しようとするものがいなくなってしまったのです!

わたしたちスミダの労働者は理解しました。わたしたちは自分たちの組織を持つことでしか会社と対等に交渉することができないのだ、と。その組織こそが労働組合です!労働組合による指導と団結によって上記の権利を実現することができるのです!それゆえ、わたしたち労働者に属する自分たちの労働組合を法に従って設立することは、現在何よりも重要なことなのです。ここで強調したいのは「法に従って」我々労働者がコントロールする労働組合、つまりは赤色労働組合を設立する、と言うことです。

多くの働く仲間が労働組合のことを知らないかもしれません。多くの働く仲間が労働組合なんか役に立たないと思っているかもしれません。しかしそれらは実は会社にコントロールされた黄色労働組合が撒き散らしてきたどうしようもないイメージにすぎないのです。

わたしたちスミダの労働者の一部が労働組合の結成準備に向けて、2014年初めから活動を始めました。会社側に組合設立の要求を提出し、会社の協力を仰ぎましたが、即座に拒否されました。こうしてわたしたちは2014年4月21日から、上部団体の総工会と頻繁に接触し、各級の総工会が法に従って我々の組合結成を支援するよう要請してきました。その過程において曲折はありましたが、労働組合の結成という目標にむけて前進を続けています。

2014年5月16日、わたしたち数名の組合準備会のメンバーが、上部機関である地域労組に組合準備会の届出をした際に、会社側がすでに黄色労働組合の結成の準備を進めていることを知りました。狡猾な会社は、わたしたちの仲間の組合結成の決意の固さをみて、先に会社のいうことを聞く黄色労働組合をつくって、搾取や抑圧をつづけようという戦術にでたのです。

ここに、労使双方による、スミダ労働組合の指導権争いが、正式に幕を開けたのです。

スミダの働く仲間たち!「時局は空前の深刻さを迎えた!事態は非常に緊迫している!」会社は組合選挙の準備を進めています。かれらは業務の上下関係を通じて、わたしたちの働く仲間の立候補を妨害し、会社のいうことを聞く人間を委員長選挙の候補者に推薦し、労働者自身の労働組合の誕生を抹殺し、会社にコントロールされた黄色労組を設立してこれからも搾取を続けることを狙っています!

たちあがってください!親愛なるわがスミダの労働者たち!会社にコントロールされた黄色労組が結成されることをそのまま見過ごすことはないでしょう? 会社にコントロールされた黄色労組の協力によって今後も抑圧と搾取によってわたしたちを苦しめることを見過ごすのでしょうか? 私たち自身の赤色スミダ労組を支持することなく座視できるのでしょうか?

働く仲間たち!スミダのすべての職場、各班の働く仲間たち!
たちあがってください!わたしたちはすべての職場で、それぞれの持ち場で、各自の寝室で、わたしたち労働者自身がコントロールする労働組合の重要性を宣伝し、会社による黄色労組の設立の陰謀を暴露したいと思います!

ここでわたしたち労働者代表は、真剣に約束します。もしわたしたちが労組委員長および執行委員会メンバーに当選した暁には、団体協約、賃上げ、安全衛生などの面で、大幅な改善をかちとり、大多数の働く仲間と密接に関係を維持しつつ、働く仲間からの監督を受けることを約束します。もしわたしたちがそれを実現しなければ、働く仲間は法律に従って再度、スミダ労組の選挙を行ってください!

スミダの働く仲間たち!たちあがってください!たちあがってください!いまこそわたしたちが立ち上がる一番のチャンスなのです!このチャンスを逃すことのないように!わたしたちの切実な利益のために、私たち自身の労働組合結成のために、あなたの神聖な一票を投じてください!

もういちど働く仲間たちに訴えます。組合選挙までにわたしたちの労働者代表のリストを公表します。働く仲間たちはぜひわたしたちのブログあるいはその他の情報に注目を。

中国労働者の団結万歳!

中国赤色労働組合万歳!

さらに多くの情報はスミダ労組の公式ブログ

スミダ首席労働者代表:古筝紅(仮名)
2014年6月11日

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