JCLIF レポート

こんにちは、会員のIYです。

中国広州市のスミダの続報です。広東省総工会の機関紙「南方工報」のウェブサイトに取材記事が掲載されましたので翻訳しました。

原文はこちらです。

省や市レベルの総工会が組合結成に前向きに関与していることから、組合の結成は間違いないと思います。あとは中身。組合結成には委員長および役員の選出が必要になります。2010年のホンダストライキの後に行われた役員選挙では、労働者から批判のあがっていた委員長は留任し、その他の執行部も、上部総工会担当者の指導などによって候補者の選別方式が実施され、さらに間接選挙で選ばれており、ストライキを牽引した積極分子はほとんど新執行部に入れなかったと思います。

とはいえスミダ労働者の不満は生半可ではないと思いますので、今後の進展にも注目しようとおもいます。

番禺の労働者、労働組合の結成を会社に要求―省、市、区、街道の4つのレベルの組合の関与で工場と労働者が合意に(南方工報  2014/6/13)

本紙報道(記者 胡鐘雄、趙新強) 一ヶ月前に広州市番禺区のスミダ電子廠(以下、スミダ)の労働者からの訴えを受け取った。この工場には組合がなく、労働者は工場と社会保険料の追納問題を協議するときの力不足を感じ、組合結成を要求する過程においても困難がつきまとっていたという。先日、省、市、区、街道の四つのレベルの総工会の強力な支持のもと、スミダ労働者の労働組合結成の望みに曙光が訪れた。

◎労働組合がなければ、社会保険の協議も心もとない

労働者の黄陽によると、スミダでは2011年末からやっと社会保険に加入し、しかも労働者の「自発的な加入」という方法をとった。労働者たちは2012年中頃から工場側に対して社会保険料の未納分の追納を要求した。この要求に対して工場側は2013年末になってやっと正式に回答した。回答の内容は、2014年3月から、三年に分けて追納する、一年目と二年目はそれぞれ2年分、三年目に残りの全額を追納するというものだ。たとえばこの工場で10年働いている労働者の場合、2014年3月から社会保険料の支払いが発生し、工場は2012年3月から2014年3月の期間の社会保険料を追納、翌年には2010年3月から2012年3月までの期間の保険料を追納、そして3年目には残りの全額(就職した月から2009年2月までの分)の追納で全額を納付する。

この追納案に対して、大多数の労働者は不満と不安を示した。労働者らは一括追納を望んでいた。社会保険料の追納についての会社と労働者の協議は一致を見なかった。

「(この追納案は)まったく安心感がありません。三年の間に何がおこるかわかりません。しかも三年内に会社を辞めたら以前の未納分はどうなるのですか?」と黄陽は言う。

問い合わせや調査などを通じて、企業労組が非常に重要なことに気がついた。労働者の権利擁護にも効果的なので、労働組合に助けを求めようとした。しかし会社には労働組合がないことをこのときはじめて知ったと言う。

「組合がないので、わたしたちはまとまりに欠け、会社との交渉力もないことから、社会保険料の追納についての協議ではずっと対等な関係をつくることができませんでした。」労働者たちはこう記者に語った。

◎組合結成準備も紆余曲折

「上部労組へ何度もたずねたところ、わたしたちの会社には組合設立の資格があると言うのです。」この工場の労働者、陳米によると、今年5月16日に彼女たちは『**労働組合準備会についての申請書』を携えて、工場がある街道の地域総工会に組合結成の申請に赴いた。しかしそこで得た回答は工場ではすでに準備会が結成されたということだった。

しかし、労働者たちが工場へ戻ってみると、組合結成にむけた動きなどどこを見ても見当たらなかった。もう一度申請書を持って街道の地域総工会へ赴いた。今度は、申請書に会社の公印が必要だと言う。

陳米ら労働者らは、必要な資料を作成し、工場に公印の捺印を要請したが、工場はそれを拒否し、登記番号や納税番号など、組合設立に必要な資料の提供も拒否した。

陳米らは自らの活動の根拠として以下の法的根拠をあげた。

1「中華人民共和国労働組合法」第3条「賃金所得を生活費の主な出所とする中国国内の企・事業体、機関(組織、機構、会社など、下同)の肉体労働者、頭脳労働者は、民族、種族、性別、職業、宗教・信仰、学歴を問わず、いずれも法により工会を結成し、工会に入会する権利がある。いかなる組織と個人であってもこれを妨害し制限してはならない。」 
2「中華人民共和国労働組合法」第11条「企業の職員・労働者の労働組合結成に、上級労組は人員を派遣してそれに協力し指導することが出来る。いかなる組織または個人であってもこれを妨害してはならない。」 
3「中華人民共和国労働法」第7条「労働者は法により労働組合を組織し参加する権利を有する。労働組合は労働者の合法的な権利を代表、擁護し、法により自主独立の活動を行う。」

「とても労働組合の結成を望んでいるのですが、どうすればいいのかわからない。市、区レベルの総工会が担当者を派遣して支援してほしい。上部労組のアドバイスがなければ、わたしたちはバラバラで、設立の具体的な手順もわからない」と陳米らは話す。

4つのレベルの総工会の関与で希望の曙光が見える

スミダ人事部の蓋氏によると、組合結成は2013年にすでに着手していたが、当時の手順にやや誤りがあったことから結成にいたらなかったという。今年5月末には組合結成準備会を設立し、現在は手順に沿って結成が進められているという。

今年6月10日、大龍街道、番禺区、広州市、広東省の4つの地域レベルの総工会の担当者がチームで工場の視察に訪れ、組合結成の指導業務を行った。番禺区総工会の担当者によると、四つのレベルの総工会の協力によって、組合結成は加速されたという。現在では、工場が申請を行い、上部労組の指導と監督のもとに組合を結成し、すべての労働者を対象に自発的な参加を求めていくことで労使が合意している。

労働者は記者に対して、企業組合が設立されたら、社会保険料の問題について引き続き交渉を行うように要望し、合法的な権利を守りたいと語った。

<2014年 後半>

<2014年 前半>

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