JCLIF レポート

 10月4日、中国政府の新聞である人民日報のWEB版の日本語版「人民網」(日本語版)に初めて香港の民主化運動についての論説記事が掲載された。会員のIさんの紹介にあるように中国語ではいくつかの香港のオキュパイ運動(『セントラル占拠』)に対する批判の論評が掲載されていましたが、日本語訳がなかったので掲載できませんでした。編集部の記事として有名大学の2人の学者の論評を紹介している。政府の立場を代弁する形だと思われるので、全文を掲載します。原文(日本語)

専門家:「セントラル占拠」は香港の法治を深刻に損なった (人民網日本語版 2014年10月07日)

少数の急進派が9月28日にいわゆる「セントラル(中環)占拠」を発動して以来、香港の安定した社会秩序は深刻な影響を受け、温和で理性的な法治のイメージも損なわれた。「セントラル占拠」の発起人は言葉巧みに人々を惑わそうとしているが、無数の香港市民は実際の言動によって強く非難し、反撃している。これについて中国大陸部の専門家や学者も大手メディアの取材に「この不法な『セントラル占拠』活動は少数者が多数者の民意に対抗しているに過ぎず、民主や法治と相反する側にまわっている」との認識を示した。
 復旦大学の張維教授はメディアの取材に「『セントラル占拠』は香港に対する悪影響が次第に顕在化しており、香港の法治を損なっているし、香港の発展の助けにもならない」と指摘。「香港復帰(香港返還)以来、中央政府は一貫して『一国二制度』に従い香港に対して主権管理を行ってきた。大陸部は香港内部の問題に干渉せず、一貫して実際の行動によって香港の発展を手助けしてきた。だが西側の一部勢力は香港に対する干渉を1日たりとも止めていない。彼らは香港の安定と発展、『一国二制度』の成功を望んでいない。『セントラル占拠』はまさに少数の者が西側勢力の支持の下で長い間準備した計画的行動だ。彼らは香港基本法の厳格な執行を望まず、これによって中央政府を脅迫し、自らの目的を達成しようと企てている」と語った。
 張教授は「香港にとって最大の誇りは法治だ。『セントラル占拠』は香港の法治を損ない、香港の守るべき一線に挑戦した。民主の基礎は法治であり、法治なくして民主はなく、基本法は執行されなければならないからだ」と指摘。「行政長官候補者が推薦により選出されることはとても重要だ。香港を統治するのは国家を愛し、香港を愛する人材でなければならない。さもなくばポピュリズム的選挙になり、香港の問題は一層深刻化する」と語った。
 北京大学法学部の陳端洪教授は「『セントラル占拠』の発起人の中には弁護士や法学教授が少なくなく、『セントラル選挙』集会の不法性をよく理解しているはずだ。このように法を知りながら法を犯すダブルスタンダードでありながら、法治の守護者であると香港市民に信じさせることがどうしてできよう?」と指摘。「『セントラル占拠』事件の拡大に伴い、無数の香港市民はその発起人の本当の面をより深く見極め、この事件全体の香港の法治環境と社会的安定に対する破壊を認識するだろう」と語った。
 「セントラル占拠」はすでに香港に経済的損失をもたらしている。もし「セントラル占拠」が続けば、香港の国際的イメージに深刻な影響を与え、さらには香港経済の発展にも深刻な影響が出る。中国交通銀行の連平チーフエコノミストは「第三次産業に高度に依存する香港のような都市にとって、『セントラル占拠』が経済発展に与える打撃はことのほか強烈だ。香港は消費を柱とする都市であり、製造業がなく、消費、貿易、金融など第三次産業サービスとの関係がより強い。『セントラル占拠』行動は貿易、金融活動に影響を与え、消費にも影響し、実体経済に影響を与える」と指摘した。
 中国社会科学院が2014年度「都市青書」を発表した際、中国社会科学院都市・環境研究所の単菁菁研究員は「セントラル占拠」が香港に与える打撃に特に注目。「ある国または地域が不穏な状態にある時は、事実上、その総合競争力が低下していることを示している。『セントラル占拠』は香港の国際的イメージに影響を与える。もし他の都市が力の限り前進している時に、ある都市がいくつかの問題にとらわれ、停滞し、前に進まないのなら、後者が後れを取るのは必至だ」と指摘した。(編集NA)

「人民網日本語版」2014年10月7日


<2014年 後半>

<2014年 前半>

2012年
2013年
2015年