JCLIF レポート

迪威信労働者から深セン市総工会への公開状
ストライキは無罪 労働組合は労働者を守れ―100日も拘束されている労働者、呉貴軍の釈放を     2013年9月11日

 中国沿岸部では経済成長のグレードアップということで、上海ではいっそうの金融開放を目指す自由貿易試験地域が進められ、「世界の工場」として成長してきた広東省を中心としたデルタ工業地帯では労働集約型からの脱却をめざしています。労働集約型の工場は内陸部への移転などが進められていますが、ここでも賃金未払いや解雇補償金の不払いなど、労働者を犠牲にした工      場移転が頻発しており、景気の波に浮き沈みする工場の倒産や経営者の夜逃げも頻発しており、毎日のように争議が発生しています。

 以下に紹介する公開状は、今年5月に工場移転で解雇された労働者らによるものです。補償金の正当な支給を求めてストライキをおこなったのですが、その過程で警察に多数の労働者が拘束され、一人がいまだに拘留中ということで、市総工会に支援を要請した書簡です。

 注目すべきは、自分の権利のためにストライキを打ち、それによって逮捕、起訴されたら、今後ストライキを打つ労働者がリスクを負うことになる、と訴えていることです。ストを理由に拘留されたわけではないと思いますが(理由は不明)、十分な威嚇効果になることから労働者たちは釈放と不起訴を呼びかけています。ちなみに資本は香港資本のようです。

 5月7日からのストライキの報道と画像(中国語)

 ストライキの際のインタビュー(映像)

蘇州の日本企業でストライキ



======================

迪威信労働者から深セン市総工会への公開状
ストライキは無罪 労働組合は労働者を守れ
100日も拘束されている労働者、呉貴軍の釈放を
2013-09-11

 深セン市総工会 御中

 私たちは今年の五月に迪威信家具用品(深セン)有限公司を解雇された労働者です。今年五月、迪威信工場の移転に伴う補償が支払われないことから労働者がストライキをおこないました。三週間のストライキ期間に、わたしたちは何度も工場側と交渉を行い、地域の労働センターや派出所と交渉してきましたが、状況は一向に打開することができませんでした。5月23日、他に何の手立てもなくなった労働者は憤りをもって市政府に助けを求めることにしました。しかし市政府に向かう途中で200名あまりの仲間たちが警察部門に拘束され、20名の仲間が13日間、2名の仲間が37日間も拘留されました。そして呉貴軍は現在も拘置所で拘留されており、拘留期間はすでに100日を越えています。

 私たちがストライキで訴えたのは、法律に基づいた補償金を支払うことであり、ストライキに参加した一人一人の労働者は自分の合法的な権利を要求しただけなのです。ストライキは違法行為ではありません。自身の合法的権利のためのストライキは無罪です!しかし私たち、とくに今回のストライキに参加した300人の労働者のなかの一人である呉貴軍は、まったく公正な扱いを受けることができませんでした。私たちは呉貴軍が起訴されることを心配しています。悪い先例となり、今後、労働者のストライキが起訴されるリスクにさらされるかもしれないからです。

 労働組合の主要な責務は労働者の権利を守ることです。私たちは深セン市総工会が労働組合の責務を果たし、呉貴軍とその家族を支援し、起訴を回避させるために協力することを希望しています。呉貴軍は自らの権利のために活動していたのであり、公共及び私人の財産を破壊したりはしていません。私たちは、深セン市総工会が関連政府部門に働きかけて、一刻も早く呉貴軍が釈放されることを希望しています!

 この書状の複写を広東省総工会にも送ります。

2013年9月11日

    (36人の労働者の自筆署名)

蘇州の日本企業でストライキ



<2013年 後半>

<2013年 前半>

<2012年>

 2013年後半 topへ