JCLIF レポート

台湾:労働部誕生の初日に労働団体が抗議行動

こんにちは。会員のIYです。

台湾では労働行政を所管する労働委員会が、労働部(労働省)に格上げされ、2月17日には省庁ビルの看板を新しく設置する式典が開かれましたが、それに対して労働団体が抗議行動を行いました。

「派遣労働者の保護のため」として「派遣労働者保護法」が労働委員会で可決され、この月末にも行政院(内閣)で審議されるようで、多くの労働団体が「派遣労働者を保護する法律ではなく、派遣企業の利益を保護する法律だ」と批判を強めています。

以下は、台湾の社会運動を報道する「苦労網」からの翻訳です。

中国語原文


労働部誕生の初日に労働団体が抗議行動―「労凍部」の冷たい仕打ち打ち砕け
   苦労報道 (2014/02/17) 

家族と支援者たち

2月17日、労働部に新しいネームプレートが掲げられ、馬英九総統、江宜樺行政院長(首相)、そして初代の労働部長(労働大臣)となる潘世偉の3人がそろってネームプレート設置式典に参加した。全国閉鎖工場労働者戦線、団結工聯などの労働団体が労働部の近隣に結集し、労働者の賃金を凍結するというモチーフでつくられた「労凍部」の氷彫刻を労働部長の潘世偉に贈る行動を呼びかけ、労働部へ向かう途中で警察ともみ合いになった。台北市産業総工会の蒋萬金会長は、労働部は(以前の労働委員会=労働局の時代に)移住労働者の受け入れ枠を増加させ、この間では「長時間労働、低賃金」につながる労働派遣立法の制定を、「企業のコストダウン」のために導入することで、労働者の生活向上を阻害していると批判した。

大企業の利益を擁護してきた労働委員会が労働部に昇格したが、それは「大企業人事部」になったに過ぎないと蒋萬金会長は批判する。「派遣労働、移住労働者枠の増加、フレキシブル労働、長時間低賃金、保険料引き上げ、年金引き下げ、ベテラン労働者への酷い仕打ち、労働組合への嫌がらせ、大企業優遇、基本給引き上げの凍結など、どれをとっても労働者の生活水準を引き下げるものに過ぎない」

解雇補償金と退職金の支払い求めて労働委員会を訴えてきた閉鎖工場労働者戦線も労働部に抗議にやって来た。東菱争議団の陳満屏は、労働者の苦労をよそ目に、潘世偉は省庁格上げで出世し、馬英九は労働者が悲惨な境遇にあるというのは「錯覚である」と吹聴するなど、政府に解決能力はないと厳しく批判した。

台湾国際労働者協会の陳秀蓮事務局長は、政府が設立した労働者救済基金について、企業に解雇された労働者が裁判に提訴すれば政府の生活基金への申請が可能になるが、それでは労働者が解雇されるのを傍観しているにすぎないと批判した。

労働団体が「労凍部」の氷彫刻を送り届けようとしたが、警察の阻止線に阻まれ、仕方なくその場で抗議の声をあげ、氷彫刻を粉砕し、怒りを表現した。氷彫刻は「棺材本」(棺おけ代金)と書いた台座に置かれていた。「官財の金」と掛けたブラックジョークだ。

政府式典の入り口には「労働団体受付」があった。「われわれ労働団体は外側で排除されているのに、誰が受付にいくんだ?」と批判の声が上がっていた。

陳逸婷 (苦労網記者)


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