JCLIF レポート

こんばんは。会員のIYです。

なんどかお伝えしてきた中国広東省東莞市の運動靴工場でのストライキについて、香港の労働団体や労働組合などが、ブランド各社の責任を追及する国際署名を呼びかけていましたので翻訳してみました。

原文はこちらです。

またこのサイトから団体署名を送ることもできます。ストライキが続いている裕元には兵庫県に本社のあるアシックスの靴だけを作る専門工場などもあるようです。
 アシックス広州の記事(2005年9月

ですので、本来であれば日本でも何らかのアクションが必要だとは思いつつも、万国の労働者が団結することを呼びかけた日が近づいているので、とりいそぎ中国の労働者にむけて日本の労働者市民も注目し応援しているよ、ということがわかることが重要かと思い、香港の団体のアピールに便乗してもいいのではと思い、翻訳紹介します。

団体署名には、団体名、担当者、メールアドレス、地域を記載するようになっています。
団体名は仮名まじりでもたぶん大丈夫だとは思います。地域のところで「その他」を選択して、「日本」と記入すれば何とかなると思います。
 4月25日時点で香港および海外の31の労働団体、労働組合などが署名しています。
 以下、翻訳です。

香港:中国広州の靴工場ストライキへの支援と企業責任を求める団体署名(4/24)

ブランド企業各社への公開状

裕元に対するNike, Adidas, Timberlandなどの監督責任
共同で責任を負うべき 労働者の逸失利益を賠償すべき

東莞裕元鞋廠の六つの工場で労働者が4月5日からストライキに入っています。当初、1000人の労働者の参加でしたが数日のうちに5万人もの労働者が参加する大ストライキに拡大しました。地元政府と企業が引き起こした欺瞞的事態にたいする怒りが頂点に達したことの表れでした。労働者が主要に抗議しているのは、東莞裕元が長年にわたって地元政府と共謀して社会保険料の納付をごまかしてきたこと、そして労働者と偽の雇用契約を結んできたことです。連日の行動は、会社が法定どおりの養老年金の保険料と住宅積立金を追加納付すること、労働者と正式な雇用契約を結び直すこと、そして賃金の引き上げです。

今日までに、生産現場の労働者と各級の管理人員をふくむ5万人もの人々がストライキに参加しています。4月17日に東莞裕元の香港オフィスの劉役員が香港の労働団体に明らかにしたところによると東莞裕元の労働者総数は48000人。つまり東莞にある東莞裕元のすべての工場がストライキに入っているのです。4月18日には、江西省安福市にある同グループの工場にもストライキが拡大しました。

労働者の要求の対象は、東莞裕元と地元政府であり、それはきわめて道理のあることです。企業は生産コストを低く抑えるために、長年にわたって労働者を抑圧し、法律に違反してきました。労働者の賃金と福利などの合法的権利についてウソをついてきました。地元政府の役人は企業投資によってもたらされる税収、そして汚職するチャンスというさらに重要な事柄のために、労働者に対するさまざまな抑圧や違法行為を黙認し、さらには幇助してきたのです。

しかし労働者たちが気がついていないことがあります。それは裕元の背後にさらに強大で、狡猾で、そして同じように抗議の対象となるべき国際的バイヤーの有名ブランド企業という存在です。裕元靴廠が受注しているのは、Nike、Adidas、Reebok、ASICS、New Balance、Puma、Converse、Salomon、Timberlandなどの有名ブランドのオーダーです。労働者たちはこれら巨大企業とバイヤーのために、マーケットでも高利潤のスポーツシューズを生産してきたのです。これらの企業は国際的なサプライチェーンにおいて最大の利益を上げてきたグループなのです。そしてサプライチェーンの最末端にいる各国の労働者はその奴隷であり唯一の被害者なのです。

報道によると、裕元はアディダスの中国における最大のOEM(相手先ブランド受託生産)企業であることから、いま裕元が労働者から告発されている違法行為は、アディダスをはじめとする国際的ブランド企業においても回避できない社会的責任があるのです。なぜならこれらのバイヤーは監査チームを雇ってOEM企業の生産を監督してきたとこれまで謳ってきたからです。しかしこれまで一度も裕元が行ってきたとされる上記の違法行為を社会に対して明らかにしたことはありませんでした。見つけられなかったのでしょうか?それとも見て見ぬふりをしていたのでしょうか? もし前者であるなら監査は完全な宣伝手段でしかなく、もし後者であるなら、ブランド企業とバイヤーも詐欺行為全体の共謀者だと言えます。

それゆえ、我々は国際ブランド企業が企業の社会的責任を果たすよう求めます。中国におけるすべてのサプライヤーが中国の法律を遵守して社会保障法に従って労働者の社会保険料を支払わせることはもちろん、裕元とともに未払いによる損失を負担し、過去の養老年金納付金と住宅積立金を賠償しなければなりません。

具体的には、

(1)東莞裕元は早急に労働者の賃金総額にあった社会保険料を納付すること
(2)東莞裕元は雇用年数に応じて、過去において支払われなかった賃金水準に見合う養老保険料と住宅公債金を追加納付すること。労働者が追加納付しなければならない個人部分については裕元とその発注者であるすべてのブランド企業が共同で負担すること。

ブランド企業はこう反論するかもしれません。これは裕元と地元企業が共謀したことであり、我々が負う責任ではない、と。しかし労働者に対する国際バイヤーの共同賠償にはすでに前例があります。

1: 20年前(1993年)深セン葵湧鎮で発生したジリ玩具工場の大火事で47名の女性労働者が死亡し、87名が負傷した事故では、香港および各国の労働団体による長年の要求行動によって、ジリにオーダーを出していたイタリアのブランド、CHICCOのバイヤーが賠償金を支払うことに同意した。

2: 去年4月24日にバングラディシュの首都ダッカ郊外で発生した工場ビル倒壊の惨劇で、ビル内にあった三軒の被服工場で1000名以上の女性労働者が亡くなり、2400名余りの負傷者を出した事故では、各国および国際的な消費者権利組織と労働団体などの闘争によって、多数の国際ブランド企業が共同で賠償費用を負担することに同意した。

ブランド企業やバイヤーに対して、抗議行動で拘束された労働者の釈放を求めることについても、私たちはブランド企業が無責任でいられるとは考えていません。もしアディダスなどのバイヤーのサプライヤーである裕元による違法行為が存在しなければ、労働者が逮捕されることはそもそもなかったのです。ですからアディダスなどのブランド企業は裕元と共に労働者がすぐに釈放され司法手続きがとられることのないように保障するひつようがあります。これについても前例があります。

2004年、東莞大嶺山鎮にある台湾資本、興昴社および興雄社の靴工場で労働争議が発生し、多くの労働者が工場設備を破壊したとして実刑判決を受けましたが、その後の香港および各国労働団体の抗議、そして興昴にオーダーを出していた多くの国際バイヤーに対して、判決を受けた労働者を援助することを要求しました。各方面の努力によって、判決を受けた労働者はすべて釈放され、なかには興昴の仕事に戻ることができました。

2014年4月24日

署名団体

1. 全球化監察(GM)
2. 大学師生監察無良企業行動 (SACOM)
3. 労動力 (WE)
4. 亜洲専訊資料研究中心(AMRC)
5. 労工教育及服務網絡 (LESN)
6. 中国労動透視 (LAC)
7. 香港職工會聯盟(HKCTU)
8. 街坊工友服務処
9. 太古飲料職工總會
10. 飲食及酒店業職工總會
11. 港九拯溺員工會
12. 新世界第一巴士公司職工會
13. 零售、商業及成衣業總工會
14. 清潔服務業職工會
15. 旅遊巴士司機工會
16. 香港碼頭業職工會
17. 維他乃職工會
18. 建築地盤職工總會
19. Indonesian migrant workers union
20. league of Indonesian migrant workers 21. Workers Assistance Center, Inc. Philippines 22. War on want, United Kingdom 23. Committee for Asian Women, Regional 24. Youth Labor Union 95, Taiwan 25. GSBI (Federation of Independent Trade Union) 26. Centre for Workers Education, NewDelhi 27. Sedane Labour Resource Centre (LIPS) Indonesia 28. Ecumenical Institute for Labor Education and Research, Inc. (EILER) 29. People Association (SPA), Taoyua 30. Asia Floor Wage Alliance 亞洲基本工資
31. Clean Clothes Campaign

団体署名はこちらのサイトから

<2014年 後半>

<2014年 前半>

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