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あいさつ― 2019年12月 江蘇省総工会との交流会

2019年12月12日
第7次「日中不再戦の誓いの旅」訪中団長・伊藤彰信

 私ども第7次「日中不再戦の誓いの旅」訪中団を暖かく歓迎してくださり、また、私たちの要望を受け止めて訪問先を手配してくださったことに、心から感謝いたします。
 日中労交は2014年から南京大虐殺受難者追悼国家公祭に毎年参加してきました。さらに「日中不再戦の誓いの旅」と名付けて、南京をはじめ日本軍国主義の侵略遺跡を訪問してきました。
「日中不再戦の誓い」とは、日中労交の市川誠初代会長が、1985年に侵華日軍南京大虐殺遇難同胞紀念館が開館した時に贈った「鎮魂の時計」に刻んだ「誓い」の言葉です。私たちは「誓い」の碑を南京紀念館に建てようと運動し、10年前の2009年12月13日に碑を建立することができました。建立にあたっては、中華全国総工会、とりわけ地元である江蘇省総工会に大変お世話になりました。あらためてお礼を申し上げます。

 私は、今年6月、南京紀念館で「和平の旅」のインタビュー受けました。日中労交にとっても、南京紀念館との交流の歴史を振り返ることができまし、あらためて「誓い」をどう実現するか、考える機会になりました。

「誓い」には「われわれは、1931年および1937年を契機とする日本軍国主義の中国侵略戦争を労働者人民の闘争によって阻止し得なかったことを深く反省し」とありますが、現在の日本は再び戦争をする国への道を歩んでいます。
安倍政権は、中国敵視を煽るとともに、南京大虐殺は無かった、従軍慰安婦はいなかったと言い、沖縄の辺野古基地の建設、南西諸島への自衛隊の配備、ミサイル基地建設を行っています。また、韓国の徴用工問題の責任を認めず、植民地支配を正当化し、ナショナリズムを醸成して憲法改悪を図ろうとしています。日中労交は、このような動きを「労働者人民の闘争によって阻止」したいと思っています。

「誓い」には「われわれは、日中不再戦、反覇権の決意を堅持し、子々孫々、世々代々にわたる両国労働者階級の友好発展を強化し」とありますが、安倍政権の中国敵視政策の下では困難な状況もあります。
それを克服するために、日本の労働者階級は、まず、正しい歴史を知り、歴史を鑑にして未来を見つめる視点を持つ必要があります。その上で、「子々孫々、世々代々」に繋ぐために、時代の変化、働き方の変化を踏まえながら、「持続可能な社会」の実現を探ることが、両国労働者階級の友好・連帯を強化する重要な課題だと思います。
 中国職工対外交流センターとともに昨年8月に北京で「日中友好労働者シンポジウム」を開催したり、昨年10月の中華全国総工会第17回大会の報告を聞いたりするうちに、中国の労働組合が、労働者と結びつく活動を現場でどのようにしているのか、労働組合改革をどのように展開しているのか、知りたくなりました。なぜなら、日本の労働組合の多くは、あまりにも企業主義に陥り、企業利益ばかり追求するため、労働者からかけ離れた存在になってしまいました。日本でも「大衆路線」による労働運動の実践が重要な課題だと思っているからです。
今まで、国家公祭に参加する際に、江蘇省総工会の皆さんにお会いし交流を重ねてきましたが、今回、企業を訪問し、また、総工会の最前線の活動を見ることができ、あらためて労働者同士の交流の大切さを実感したところです。

 米中貿易摩擦は世界の大きな問題です。中国とアメリカは広い意味での戦争状態になっていると思います。安倍政権が、アメリカを後ろ盾としながら、中国への圧力を強めている現在、日中労働者の友好交流は世界平和を築く上で益々重要になっていると思います。今回の交流の成果を、日本の平和運動、護憲運動、労働運動に役立て、日中友好を若い人に伝えていきたいと思っています。
 最後になりますが、このような交流ができたことに再度感謝を申し上げ、ご挨拶といたします。

歓迎あいさつ 常品超(中国職工対外交流センター副秘書長)

皆様と北京でお会いできて誠に嬉しく思います。私は、中国職工対外交流センターを代表して皆様の来訪を熱烈に歓迎します。皆様は、歴史を尊重し、平和を愛する友好的な信念を持って中国を訪問されました。私たち中国労働組合の友達であり、また中国人民の友達でもあります。伊藤先生は私たち職工センターの老朋友です。今年の6月に南京大虐殺遇難同胞紀念館の招きに応じて、日中労交と南京紀念館の開館以来の交流の歴史のインパクトを語られたそうですが、貴協会と南京紀念館のホームページで見ました。私たちは、それを見て当時の貴重な歴史を振り返ることができ、また中日友好の基礎が民間であることを再確認することができました。本日はこの場をお借りして、日本の右翼と果敢に闘い、長期にわたり中日友好と世界平和に取り組んでこられた皆様に崇高の敬意を表したいと思います。

常品超副秘書長の顔写真
常品超副秘書長

中国労働組合の状況

ここで中国社会、中国労働組合の主な状況について紹介したいと思います。紹介を通じて中国に対する理解を深めることができれば嬉しいです。

 現在、中国で話題になっているホットな言葉があります。それは「初心を忘れず、使命を胸に刻む」です。これは実際に中国共産党が上から下まで展開している特別教育活動です。つまり、刃を自分に向けた革命です。中国共産党員の初心と使命は、中国人民の幸福そして中華民族の復興の実現です。中国共産党は設立して以来、初心と使命をしっかり守っています。そして人民の強固な支持を得ています。初心と使命を守ることによって、中国共産党は小さな党から世界で一番大きな党に成長しました。今年は新中国成立70周年にあたります。それは中国共産党が全国で政務を執ることが70周年になるということです。中国では古い言葉があります。「勇敢に生き、安楽に死す」です。

習近平総書記は「私たち共産党は世界第一の党であり、私たちを倒す敵はありません。私たちを倒すことができるのは私たちです。」と言いました。ですから、「初心を忘れず、使命を胸に刻む」という教育活動を展開することは、現在、共産党内部に存在する初心と使命に背く問題を見出して、すぐに直して、中国の特色ある社会主義が新時代に入った肝心な時期に、共産党全員が力と認識を合わせて、全人民を率いて美しい生活へのあこがれを実現するように活動することです。

 皆様はご存知のことと思いますが、中国の労働組合は、結成以来、中国共産党の指導の下に活動を展開し、党と労働者大衆を結びつける架け橋であり絆です。今回の特別教育活動の中で、中国労働組合は労働組合の特色に応じて以下の活動に取り組んでいます。

  労働者の合法的権益を擁護し、労働者に奉仕する

一番目の活動は、労働者の合法的権益を擁護し、労働者に奉仕するという労働組合の基本的職責を果たすことです。現在、各レベルの労働組合組織は、調査・研究を行って現場労働者が最も関心のある、最も差し迫った難しい問題を解決して、大きな成果を上げました。例えば、今話題の中米貿易摩擦、サプライサイドの構造改革、労働者権益の問題を重視して過剰生産能力の削減の過程における労働者の就職の道を確保して生活を保障します。

もうひとつは、都市部における困難ある労働者の貧困脱却です。過去3年間において、各レベルの労働組合は合わせて252万世帯の困難ある労働者を救助して貧困脱却を実現しました。そして、2020年までに中国の労働組合は、現在登録している困難ある労働者の全員の貧困脱却を実現する見込みです。

もうひとつは、例えば、出稼ぎ農民工、トラック運転手、じん肺症労働者などの特別グループに注目して、彼らが理性的に自分の要求に応えるように指導して、関連部門と協力して彼らの問題を解決するように努力しています。全国総工会と交通運輸部は共同で「運転手の家」を建設する活動をしました。「運転手の家」とは、運転手が集まっているところ、例えば高速道路のサービスエリア、貨物・物流の集散地、物流の作業基地などに運転手のためにつくられた休憩場所です。「運転手の家」で運転手は、お湯を飲んで、あったかいご飯を食べて、シャワーを浴びて、睡眠をとることもできます。現在「運転手の家」は全国で76箇所がオープンしてます。今年の年末までに100箇所オープンする見込みです。

産業労働者の技能レベルと待遇レベルを引き続き向上させる

二番目の活動は、産業労働者の技能レベルと待遇レベルを引き続き向上させることです。インターネット、人工知能などの新興産業の発展につれて、伝統的な産業に働く労働者が沢山の問題とチャレンジに直面しています。問題は、例えば、所帯地位の弱化、職業発展進路の狭さ、養成システムの不完備、待遇レベルの欠陥などです。これらの問題を解決するために、2017年4月に中国共産党中央と国務院は、新時期における産業労働者チームづくり改革法案を打ち出しました。中華全国総工会は、この改革法案を実施するにおいて先導的な役割を果たしています。この改革法案は、国レベルの法案ですが、実施の任務は労働組合に与えられました。それも、労働組合の地位の重要さを表していると思います。というのは、この改革法案を実施する任務は、政府の行政部門が入っていますが、これらの行政部門も総工会の指導のもとに実施しています。これから長い間、中国労働組合は改革法案の実施を重要な活動としています。この法案の実施にあたっては、産業労働者の発展の進路をさらに広げて、産業労働者の技能レベル、待遇レベルを向上させて、広大な知識型・技能型・都市型産業労働者待遇づくりに取り組んでいきます。

労働組合の改革をさらに深化して労働組合の活力を強化する

三番目の活動は、労働組合の改革をさらに深化して労働組合の活力を強化することです。伊藤先生は労働組合改革に関する興味が深いと聞いていますので、活動の状況について紹介したいと思います。実は2016年から中国労働組合は力と資源を末端組織に傾けて、末端組織の活力を強化する活動を始めました。現在この改革はある程度成果を上げましたが、また新しい状況と問題に直面しています。中国経済の発展のスピードが非常に早いので、状況もいつも変わってきます。経済の発展の状況に合わせて、今後主に三つの活動に取り組んでいきたいと考えています。

民間企業、配達者(出前持ち)、トラック運転手などのいわゆる非正規労働者の組織化活動に取り組みます。皆様は労働組合の専門家ですので、非正規労働者の組織化が非常に難しい課題であることはご存知だと思います。大手企業労働者の組織化よりは、非正規労働者を既存のグループに加入させることは非常に難しいです。ですので、中国労働組合は力と資源を使ってこれらの労働者を組織するために非常に努力しています。

労働組合の組織率を高める

次に労働組合の組織率を高めるための活動です。労働組合を運営するには三つの条件が必要です。組織、組織のスタッフ・幹部、活動の場所です。全国で、労働組合の組織化、幹部の育成、活動の場所を積極的につくっています。例えば、労働組合の上部組織のスタッフの人数を減らして末端組織のスタッフを増やす。労働組合の会費を末端組織にもっと多く振り分ける。このようにして、末端組織に人手と資金を保障することができます。

インターネットプラスを利用して快適で普遍的なサービスを

もうひとつの活動は、インターネットプラスを利用して労働者にさらなる快適で普遍的なサービスを提供することです。中国労働組合の末端組織は、それぞれ数多くのアプリをつくって、アプリを利用して労働者にサービスを提供しています。会員の利用者は、アプリを通じて、まず労働組合を理解することができます。そして、労働組合から救助、サービスを受けることができます。ひとつ例を上げると、トラック運転手向けにアプリを利用してガソリン代の割引ができます。労働組合はガソリン会社と交渉して、一番多い割引は2割引き、年間で利用者はガソリン代を2万元節約することができます。このアプリによってトラック運転手の収入を月1000元ほど増やすことができました。

以上、中国の労働組合の状況について紹介しました。

皆様は、遠路はるばるいらっしゃった、労働組合の専門家でもありますし、中日友好の民間大使でもあります。現在の中日関係の全体的な勢いは良いです。8月10日に7年ぶりに副部長(次官級)クラスの戦略対話を再びスタートさせました。中日両国の副部長は、大阪で行われた中日首脳会談で達成した重要な書式を徹底して新時代のニーズに合わせる中日関係の構築に努力することを確認しました。皆様が今従事されている仕事は、非常に必要で非常に有意義だと思います。

貴協会に対してふたつの希望

ここで、貴協会に対してふたつの希望を述べさせていただきたいと思います。

まずは、皆様に正義の声を益々広めていただきたい。もっと多くの日本の大衆に本当の歴史を理解して、とくに若い人に正しい歴史観を確立していただきたいです。そして、もっと多くの日本の方々、とくに若い人を中国に連れてきていただいて、中日友好の種を撒くことを期待しています。

二番目は、皆様のホームページで中国労働運動に関するポジティブな報道をもっと多く宣伝していただきたいです。現在はとても怪しいことがあると思います。国外のメディアは中国労働組合に起きているホットな話題に対して報道は多くしていますが、その中で多くの報道は一方的で事実を歪曲する報道です。中国労働運動のこの数年間の成果については無視しています。

貴協会の皆様は労働分野の専門家です。我々両組織は、中日両国の労働組合、そして労働分野における共同の課題に対する研究と検討を強化することができると信じています。その上で中国労働組合のホットな話題にたいする全面的そして事実にあった報道をもっと宣伝していただきたいと思います。

伊藤先生、皆様に、私たちのアドバイスをぜひ検討してもらいたいと思います。

最後になりますが、皆様の今回の訪問が所期の目的を達成し、皆様の滞在中の健康と楽しい旅をお祈りします。

日本の中国侵略50年を見つめて ~北京、哈爾浜、瀋陽、撫順、大連、旅順を訪問~

伊藤彰信(訪中団団長)

第6次「日中不再戦の誓いの旅」

日本の中国侵略50年を見つめて

~北京、哈爾浜、瀋陽、撫順、大連、旅順を訪問~

 日中労交の第6次「日中不再戦の誓いの旅」は、8月19日に出発し、北京、哈爾浜、瀋陽、撫順、大連、旅順を訪問して、25日に帰国しました。「日中不再戦の誓いの旅」としては、2度目の旧満州訪問ですが、今回初めて旅順を訪れました。

訪中団は、団長=伊藤彰信(日中労交会長、元全港湾委員長)、秘書長=藤村妙子(日中労交事務局長、東京の満蒙開拓団を知る会共同代表)、団員=津和崇(ユニオンネットお互いさま特別執行委員)、町田貞一(東京東部労組ディベンロイ労組支部委員長)、池田和則(西日本NTT関連労働組合執行委員)の5名です。全員60歳以上の高齢者の団であったことは残念でしたが、元気に交流、見学の日程を消化してきました。

中国でテレビを見ていると、今年10月1日の中国建国70周年に向けたキャンペーン、ゴミの分別や交通マナーの宣伝などが目に留まりました。

 以下、旅の経過と概要を簡単に報告します。

<北京>

 8月19日、訪中団は、東京・羽田から、また関西空港から北京に着きました。空港には、中国職工対外交流センター技術交流部の李明亮さんが出迎えてくれました。空港で昼食をとったあと、ホテルの職工の家に移動し、中国職工対外交流センターの常品超副秘書長らと懇談しました。

 常副秘書長は「歴史を尊重し平和を愛する友好的信念を持って訪中された皆様を歓迎します」と述べ、現在展開されている「初心を忘れず、使命を胸に刻む」の特別教育活動について、また、中国労働組合の活動として、労働者の合法的権益を擁護し労働者に奉仕する活動、産業労働者の技能レベルと待遇レベルの向上させる活動、労働組合改革を深化して労働組合の活力を強化する活動について説明しました。そして、日中労交への希望として、正しい歴史を広め、多くの人、とくに若い人を中国に連れてきて日中友好の種を撒いてほしい、ホームページで中国労働運動に関するポジティブな報道をもっと多く宣伝してほしいと要望しました。

 伊藤団長は「周恩来首相の『1894年からの半世紀にわたる日本軍国主義の中国侵略』という指摘を学ぶべく、旅順を含めて東北地方(旧満州)を訪れることにした」と述べたあと、香港情勢に触れ「会員の中には日中友好を損なう言動をとる者もいるが、日中労交の目的は、日中友好の促進であること、友好とは相手を尊重し信頼するものであることを確認し、日中友好交流を続けるための議論をしている」と報告しました。そして「米中貿易戦争が激化する中で、日中友好交流は世界平和を築く上で益々重要になっている。中国の労働組合改革の実践から日本の労働組合を改革する視点を見出したいし、グローバル時代、AI時代における日中労働者の友好・連帯を探っていきたい」と述べました。

中国職工対外交流センターの歓迎夕食会(北京)
中国職工対外交流センター主催の歓迎夕食会(北京)

 歓迎夕食会には、中国職工対外交流センターの彭勇秘書長も出席されました。伊藤団長が「日米貿易摩擦で、為替にしろ、関税にしろ、米国の主張を受け入れたことから『失われた30年』が始まり、日本の労働者の賃金が下がってしまった」と話題を提供し、話が弾みました。

<哈爾浜>

 20日は朝早くホテルを出発し、空路で哈爾浜に向かいました。哈爾濱までの飛行時間は2時間です。ホテルに着いて昼食後、郊外の侵華日軍第731部隊罪証陳列館を見学しました。その後、スターリン公園から松花江を眺め、中央大街を散歩しました。

細菌を川に撒く日本軍(哈爾浜の731陳列館)
細菌を川に撒く日本軍(哈爾浜の731陳列館)

陳列館は1985年に開館し、2015年に新しい陳列館がオープンしました。陳列館の展示は、細菌研究基地の建設、細菌戦部隊の設立、特別移送扱い、細菌研究の実験と生産、細菌戦の実施、731部隊の逃走、細菌戦犯罪者の裁判と系統的に展示されています。731部隊は約3000人の「マルタ」を虐殺しましたが、敗戦を目前にした撤退時に生き残っていたすべての「マルタ」を殺し、建物を破壊して証拠隠滅を図りました。罪証陳列館に多くの遺品が展示されていました。また、本部、研究棟、生物飼育場、農場、飛行場、鉄道駅、宿舎、運動場、小学校まであり、広大な敷地を占めていました。

夜は、黒竜江省総工会の韓嘉彬常務副主席による夕食会がありました。

<瀋陽>

 21日、高鉄(新幹線)で瀋陽に移動しました。高鉄は時速300キロ、2時間30分で瀋陽に着きました。午後から9・18事変陳列館を見学しました。1931年9月18日、柳条湖において鉄道爆破した関東軍は、これを中国軍の仕業と偽り、一気に遼寧省、吉林省、黒竜江省を占領しました。いわゆる満州事変です。その経過が描かれ、日本の侵略に抵抗して闘った抗日軍民の様子が展示されています。

遼寧省総工会の楊忠林主席(右)
遼寧省総工会の楊忠林主席(右)

 夜は、遼寧省総工会の楊忠林主席の歓迎宴がありました。

<撫順>

 22日は、瀋陽から1時間ほどの撫順を訪れました。撫順は、巨大な露天掘り炭鉱があり、石炭の町として有名です。午前は撫順戦犯収容所を、午後は平頂山惨案遺址紀念館を見学しました。

 撫順戦犯収容所は、日本人戦犯約1000人が収容され、教育、坦白、認罪という思想改造が行われたところです。食事、健康にも配慮した生活が行われ、戦犯は処刑されることなく日本に帰国しました。満州国皇帝であった溥儀も収容されていたところです。

 平頂山惨案遺址紀念館は、1932年9月16日、日本守備隊や警察は、抗日軍が日本人を襲撃したことに対する仕返しとして、平頂山村の住民約3000人を野原に集めて射殺し、遺体にガソリンをかけて燃やし、山を爆破して埋めるという虐殺事件の現場に建てられた記念館です。遺骨館には発掘された遺骨がそのままの姿で横たわっていました。折り重なるようになった遺骨には、子供や赤ん坊、妊婦の遺骨もあり、脇にある黒くなった坑木やガソリン缶が惨状をリアルに伝えていました。

<大連>

 23日は、瀋陽から高鉄(新幹線)で2時間ほどかけて大連に移動しました。高鉄は上野駅を模して造られた大連駅まで延伸していました。

大連市総工会の超宏副主席が昼食会を開いてくださいました。

大連現代博物館の展示
大連現代博物館の展示

そのご、大連現代博物館を見学しました。アヘン戦争以後、遼東半島は、渤海の防衛拠点として重要な位置を持ち、清が旅順を開発、日清戦争で日本が旅順を占領、「三国干渉」でロシアが哈爾浜から旅順までの鉄道敷設権を得て大連を開発、日露戦争で日本統治へと目まぐるしく変わります。日本軍国主義の残虐行為を展示するだけでなく、大連の歴史を民衆の視点から「多元文化の交流と融合」と見る博物館の捉え方に敬服しました。近くの星海広場を散策し、景勝地の老虎灘をドライブしてホテルに戻りました。

<旅順>

万忠墓記念館の入り口
万忠墓記念館の入り口

 24日は大連から1時間ほど離れた旅順を訪れました。現在は大連市の行政区だそうです。1894年11月21日に旅順を占領した日本軍は、4日間にわたって民間人を含めて約2万人を虐殺しました。その犠牲者を祭った墓が萬忠墓です。萬忠墓紀念館は、日清戦争の経過と虐殺の様子、その報道、萬忠墓の建立経過が展示されています。日本の中国侵略は、当初から虐殺を伴っていたことが分かりました。なぜここまで残忍なことができるのか? 差別意識とナショナリズムの恐ろしさを改めて考えさせられました。

 昼食後、旅順港を一望できる白玉山に上がりました。大連に戻り、ショッピングをし、ロシア人街を散策しました。

 翌25日、大連から成田に、関西空港に戻ってきました。通訳として全行程を同行してくださった李明亮さんには大変お世話になりました。

 * 掲載写真は、津和崇さんと伊藤彰信が撮影

歴史を銘記し、未来に目を向け、友好交流を促進しよう――「日中友好労働者シンポジウム」(8/27~8/30)参加の報告

 日中平和友好条約締結40周年「日中友好労働者シンポジウム」

日中平和友好条約締結40周年を記念して、8月28日北京で「日中友好労働者シンポジウム」が中国職工対外交流センター(以下「対外交流センター」)並びに日中労働者交流協会(以下「日中労交」)の共催で開かれました。日本から日中労交の15名の訪中団が、8月27日から31日まで北京を訪問し、シンポジウムに参加するとともに、人民網(人民日報のインターネット版)、京東グループ(無人コンビニなど)の職場見学、さらに抗日戦争記念館、故宮、中国国家博物館、藍色港湾(ショッピングモール)の見学をし、中国の歴史、中国の発展する姿を知ることができました。 続きを読む 歴史を銘記し、未来に目を向け、友好交流を促進しよう――「日中友好労働者シンポジウム」(8/27~8/30)参加の報告

第4次「日中不再戦の誓いの旅」~北京、天津、南京を訪問~ (2017/12/21)

日中労交の第4次「日中不再戦の誓いの旅」は、12月11日に出発し、北京、天津、南京を訪問して、15日に帰国しました。この旅は、中国職工対外交流センターの受け入れで実現したもので、訪中団は、団長=伊藤彰信(日中労交副会長、全港湾顧問)、副団長=福元勇司(沖縄高教組委員長)、秘書長=前川武志(日中労交事務局長)、団員=押田五郎(清掃・人権交流会会長)、相澤瑞男(宮城県教組OB)、林繁行(全港湾大阪支部書記長)、渡辺学(全労協青年委員会代表)の7名です。
南京大虐殺犠牲者追悼国家公祭に参加するとともに、意見交換、見学などを行いました。私たちの希望に沿った日程を組んでいただき、非常に充実した旅でした。以下、旅の経過と概要を簡単に報告します。(伊藤彰信記) 続きを読む 第4次「日中不再戦の誓いの旅」~北京、天津、南京を訪問~ (2017/12/21)

第3次「日中不再戦の誓いの旅」― 北京、哈爾浜、瀋陽、撫順、大連を訪問(2017/8/12)

日中労交の第三次「日中不再戦の誓いの旅」は、7月25日に出発し、北京、哈爾浜、瀋陽、撫順、大連を訪問して、30日に帰国しました。「日中不再戦の誓いの旅」としては、初めて旧満州を訪れました。訪中団は、団長=伊藤彰信(日中労交副会長、全港湾顧問)、副団長=藤村妙子(南部全労協事務局長、東京の満蒙開拓団を知る会共同代表)、秘書長=  千葉雄也(東京清掃労組元組合員)、団員=吉原節夫(元「国際労働運動」編集長)、清水英宏(全国自治体労働運動研究会運営委員長)、伊藤光隆(東京都公立学校教職員組合元執行委員)、春川広司(米沢市職員労組特別執行委員)、奥田耕司(NTT労組元組合員)の8名です。全員60歳以上の高齢者の団であったことは残念でしたが、元気に交流、見学の日程を消化してきました。 続きを読む 第3次「日中不再戦の誓いの旅」― 北京、哈爾浜、瀋陽、撫順、大連を訪問(2017/8/12)

若者層にしっかりと伝えたいー「日中不再戦の誓い」の旅に参加して : 北村司

今訪中団参加者最年少の北村です。

北京に着いて最初に行った資料館で改めて「日中不再戦の誓い」と言う思いを実感しつつ少し気が重くなりましたが、その日の夜の中国職工対外交流センター主催の宴席で今回担当していただいた李さんが自分と年齢が近いと知り気分的に楽になりました。

2日目の中国国際交流協会との意見交換会では、国際情勢や中国共産党の歴史など正直?????なところだらけでどうしようかと思いました。

3日目はメインである南京大虐殺国家公祭であります。緊張感なのか重々しい雰囲気なのかなんとも言えない雰囲気の中式典に参列し並んだ所が結構前の方だった事に驚きました。午後からの虐殺資料館と4日目の慰安所資料館の見学時間を例年より長くしていただきゆっくり・じっくりと色々なことを考えさせられながら見学することができました。

日本側・中国側又は被害にあった各国の主張は色々有るにしろ、今後二度と繰り返させないために「不再戦の誓い」という思い、そして今回見た事聞いた事を時間がかかるかもしれませんが自分なりに整理し若者層にしっかりと伝えていきたいと思います。

最後にこんな若造ではありましたが今訪中団に参加された皆様に大変お世話になり有意義な時間・貴重な体験を出来た事をありがたく思います。本当に有難うございました。

北村 司(全港湾敦賀支部委員長)

<参考>
◇南京大虐殺国家公祭参加、交流協会訪問、慰安所旧址見学など充実した旅ー日中労交
◇「日中不再戦の誓いの旅」に参加して   もう一度原点から : 福山 真劫
◇若い労働者こそ歴史の現場を訪ねてほしい : 平賀雄次郎

若い労働者こそ歴史の現場を訪ねてほしい : 平賀雄次郎

12月11日から15日、初めて中国を訪問した。これは、12月13日に開催される南京虐殺79周年の国家公祭に参加することを目的とする日中労働者交流協会訪中団の一員として機会を得たものである。

私は、中小企業労働組合の組織化・運営に携わってきた。その立場からも、この間、中小・未組織・非正規の労働者を直撃している貧困と格差の拡大の中で、自己防衛のため差別分断の排外主義、国家主義が自らの内部に台頭しつつあることに危惧をいだいてきた。
そうした傾向の原因のひとつが、侵略戦争に対する歴史認識の問題があると考えていたところ、「南京大虐殺遭難者国家公祭」参加の機会を得たのである。

新装されたという南京記念館の見学、日本軍施設の跡地に整備された慰安婦に関する記念館は、展示方法、展示物を含め、百聞は一見にしかずの思いを与えてくれた。なによりも歴史的過ちとしての侵略戦争の現実、人々の怒りと悲しみの重さが心にこたえた。今、進行している歴史修正主義を許さない運動を労働者の草の根から構築する必要を改めて痛感した。来年は南京虐殺80周年を迎える。若い労働者の仲間に働きかけ、学習・交流・行動をとおして歴史の現場を訪ねてほしい気持ちが募っている。

北京・南京での中国職工対外交流センターをはじめ関係者の皆さんの温かなご案内と、短時間ではあったが、真摯な現状についての意見交換をお世話いただいたことに改めて御礼申し上げたい。

全国一般労働組合全国協議会
中央執行委員長 平賀雄次郎

<参考>
◇南京大虐殺国家公祭参加、交流協会訪問、慰安所旧址見学など充実した旅ー日中労交
◇「日中不再戦の誓いの旅」に参加して   もう一度原点から : 福山 真劫

南京大虐殺国家公祭参加、交流協会訪問、慰安所旧址見学など充実した旅ー日中労交2016年訪中団報告

日中不再戦の誓いの旅

 北京、南京を訪問

 

中国人民抗日戦争記念館で団員の記念写真
中国人民抗日戦争記念館で団員の記念写真

日中労交の第二次「日中不再戦の誓いの旅」は、12月11日に出発し、北京、南京を訪問して、15日に帰国しました。この旅は、中国職工対外交流センターの受け入れで実現したもので、訪中団は、団長=伊藤彰信(日中労交副会長、全港湾顧問)、秘書長=前川武志(日中労交事務局長)、団員=福山真劫(平和フォーラム共同代表)、松野菊美(メディア新日中役員)、平賀雄次郎(全国一般全国協議会委員長)、平賀萬里子、北村司(全港湾敦賀支部委員長)の7名です。

南京大虐殺犠牲者追悼国家公祭に参加するとともに、意見交換、見学など、非常に充実した旅でした。以下、旅の経過と概要を簡単に報告します。 続きを読む 南京大虐殺国家公祭参加、交流協会訪問、慰安所旧址見学など充実した旅ー日中労交2016年訪中団報告

日中労働情報フォーラム第4回総会を開催

日中労働情報フォーラム第4回総会(2016/4/16)
日中労働情報フォーラム第4回総会(2016/4/16)

日中交流助成基金の創設を決定

第4回総会を4月16日、東京・蒲田で開催しました。11名が出席しました。
はじめに伊藤代表が「昨年は、映画ジョン・ラーベの上映運動、12月の訪中、学習会の開催など積極的に活動してきた。中国職工対外交流センターの受け入れも、中華全国総工会から引き継がれ、われわれの要望を受け止めて対応してくれた。3年目にしてフォーラムの活動も基礎を築くことができた。安倍首相の改憲策動の中で、「日中不再戦の誓い」の原点を忘れずに、日中友好活動をおこない、若い人につないでいきたい」とあいさつしました。
議事では、若い人の訪中を援助する日中交流助成基金の設立、ホームページを充実するために中国労働問題に関する資料の掲載、会員からの感想を含めたメーリングリストへの投稿の促進、会計を単年度黒字にするために会員の拡大と会費の完納、などの意見が積極的に出されました。
日中交流助成基金の運営要綱を一部修正して活動報告・方針が採択されました。また、剰余金から5万円を基金に繰り入れることにし、決算・予算が承認されました。
役員改選では、新たに副代表3名、運営委員2名を加えて、役員体制を強化しました。

藤村妙子さんが「東京の満蒙開拓団」を講演

藤村妙子さんが「東京満蒙開拓団ーその背景と史実から学ぶもの」を講演
藤村妙子さんが「東京満蒙開拓団ーその背景と史実から学ぶもの」を講演

総会後、藤村妙子さんの「東京の満蒙開拓団―その背景と史実から学ぶもの」と題して講演を受けました。会員以外の方の参加が8名あり、このテーマに関する関心の高さがうかがわれました。講演についてはホームページで報告します。
近日中に議案書など総会資料を郵送します。振込用紙を同封しますので2016年度の会費納入をお願いします。新たに日中交流助成基金についても一口5000円です。任意のカンパになりますが、ご協力をお願いします。

<伊藤 彰信 >