南京大虐殺国家公祭参加、交流協会訪問、慰安所旧址見学など充実した旅ー日中労交2016年訪中団報告

日中不再戦の誓いの旅

 北京、南京を訪問

 

中国人民抗日戦争記念館で団員の記念写真
中国人民抗日戦争記念館で団員の記念写真

日中労交の第二次「日中不再戦の誓いの旅」は、12月11日に出発し、北京、南京を訪問して、15日に帰国しました。この旅は、中国職工対外交流センターの受け入れで実現したもので、訪中団は、団長=伊藤彰信(日中労交副会長、全港湾顧問)、秘書長=前川武志(日中労交事務局長)、団員=福山真劫(平和フォーラム共同代表)、松野菊美(メディア新日中役員)、平賀雄次郎(全国一般全国協議会委員長)、平賀萬里子、北村司(全港湾敦賀支部委員長)の7名です。

南京大虐殺犠牲者追悼国家公祭に参加するとともに、意見交換、見学など、非常に充実した旅でした。以下、旅の経過と概要を簡単に報告します。

<北京>

12月11日、訪中団は、大阪・関空と東京・羽田から北京に着きました。空港には、中国職工対外交流センター技術交流部長の査良青さん、同部の宋秀菊さん、李晶宇さんが出迎えてくれました。空港で昼食をとったあと、盧溝橋の中国人民抗日戦争記念館を見学しました。記念館では、教育交流部の張栓中さんの説明で館内展示を見学しました。閉館時間である4時30分までの1時間弱の忙しい見学でした。夜は、中国職工対外交流センターの彭勇秘書長の招待宴がありました。

11日午前、中国国際交流協会を訪問しました。昨年同様、刘凱阳副秘書長、文徳盛参事、王琳アジア太平洋処長が対応してくれました。伊藤団長が「安倍は真珠湾に行く前にまず南京を訪れて犠牲者の慰霊をすべきだと思います。日本は、1945年にポツダム宣言を受け入れて戦争を終結しました。それは、15年間にわたる中国への侵略、50年間の台湾での植民地支配、35年間の朝鮮での植民地支配、そして、5年間の東南アジアや太平洋での戦争の終結を意味します。しかし、安倍の真珠湾訪問は、先の戦争を日米間の太平洋戦争のみに印象付け、日米同盟の強化をアピールするものに他なりません。
今、日本での重要なたたかいは、安倍政権が目論む憲法改正を阻止すること、戦争ができる国づくりを阻止することです。昨年は、安全保障法制に反対するたたかいを労働者・市民が一緒になって組織し、大きな盛り上がりをつくりました。しかし、今年の参議院選挙では、改憲勢力が議席の3分の2を占めることを許してしまいました。
日中労交は、『日中不再戦・反覇権の誓い』の碑文にもあるように、『われわれは、日本軍国主義の中国侵略戦争を労働者人民の闘争によって阻止しえなかったことを反省し』という市川誠日中労交初代会長の言葉をかみしめて、さらなる運動の強化を図っていきたいと決意しています。そして、加害の事実を決して忘れず、正しい歴史認識を若い人に伝え、良好な日中関係の構築を図っていきたいと思っています」とあいさつしました。

刘副秘書長は、今年9月に杭州で開催されたG20について説明し「世界経済の回復力がついていない中で、その問題を抉り出し、改革、活力、連帯、包摂のテーマに沿った協力のメカニズムについて議論した」と述べました。文参事は、中国共産党が「二つの100年」(2021年の中国共産党結成100年までに全面的な小康社会を、2049年の中華人民共和国創建100年までに近代的な国家に)に向けて努力していることを説明しました。

王所長は対日民間外交の発展について説明しました。

午後は高鉄(新幹線)で南京に移動しました。

 

<南京>

南京駅のホームには、もう30年以上お世話になっている江蘇省総工会国際連絡部副部長の羅慶霞さんが出迎えてくれました。

雨の中キャンドル祭に参加
雨の中キャンドル祭に参加

13日は、一日中雨でした。南京大虐殺犠牲者追悼国家公祭に参加しました。参加者1万人がビニールコートを着て整列している姿は圧巻でした。10時に一斉にサイレンが鳴り響き、市内ではすべての交通がストップして1分間の黙祷が行われていました。

虐殺された人の遺骨(南京大虐殺記念館)
虐殺された人の遺骨(南京大虐殺記念館)

午後は南京大虐殺記念館の本館を見学しました。9年前に新しくなってからゆっくり見るのは初めてでした。展示も分かりやすくなり、証言や資料が充実していることが分かりました。記念館は多くの犠牲者の遺骨がある万人抗のところに建てられたものですが、いまなお、遺骨の発掘が行われていることを聞いて、心が痛みました。

日本軍による百人切り競争の様子(南京大虐殺記念館)
日本軍による百人切り競争の様子(南京大虐殺記念館)

夜は、南京大虐殺記念館で行われたキャンドル祭に参加しました。南京の小学生、中学生も参加して、各国の宗教者の祈りなどがありました。ジョン・ラーベのお孫さんも参加していました。

南京利済巷慰安所旧址陳列館
南京利済巷慰安所旧址陳列館

14日午前は、昨年12月にオープンしたばかりの利済巷慰安所旧址陳列館を見学しました。韓国人慰安婦の方が慰安所に使われていた建物を特定したことを受け、整備して陳列館にしたものです。慰安所における慰安婦の生活がわかるように展示されていました。また、中国各地の慰安所、日本、アジアの慰安所の資料も展示されており、日本軍の従軍慰安婦の実態がトータルに展示されている陳列館です。昨年よりも展示スペースが拡大され、韓国の慰安婦の資料も充実していました。

夜は、江蘇省総工会の張海涛副主席の招待宴がありました。南京師範大学で歴史学を専攻した張副主席と歴史認識をどう若い人に伝えて行くか、話が弾みました。次回は教育工会と懇談したいと申し入れたところ、快く承諾してくださいました。

15日は、南京から上海の浦東空港まで車で移動し、成田、関空へと飛び立ちました。

日中労交は、来年7月下旬に東北地方(旧満州)に、来年12月に南京に「日中不再戦の誓いの旅」の団を派遣することにしています。

<参加者の感想>
◇ 「日中不再戦の誓いの旅」に参加して  もう一度原点から : 福山 真劫
◇ 若い労働者こそ歴史の現場を訪ねてほしい : 平賀雄次郎