若い労働者こそ歴史の現場を訪ねてほしい : 平賀雄次郎

12月11日から15日、初めて中国を訪問した。これは、12月13日に開催される南京虐殺79周年の国家公祭に参加することを目的とする日中労働者交流協会訪中団の一員として機会を得たものである。

私は、中小企業労働組合の組織化・運営に携わってきた。その立場からも、この間、中小・未組織・非正規の労働者を直撃している貧困と格差の拡大の中で、自己防衛のため差別分断の排外主義、国家主義が自らの内部に台頭しつつあることに危惧をいだいてきた。
そうした傾向の原因のひとつが、侵略戦争に対する歴史認識の問題があると考えていたところ、「南京大虐殺遭難者国家公祭」参加の機会を得たのである。

新装されたという南京記念館の見学、日本軍施設の跡地に整備された慰安婦に関する記念館は、展示方法、展示物を含め、百聞は一見にしかずの思いを与えてくれた。なによりも歴史的過ちとしての侵略戦争の現実、人々の怒りと悲しみの重さが心にこたえた。今、進行している歴史修正主義を許さない運動を労働者の草の根から構築する必要を改めて痛感した。来年は南京虐殺80周年を迎える。若い労働者の仲間に働きかけ、学習・交流・行動をとおして歴史の現場を訪ねてほしい気持ちが募っている。

北京・南京での中国職工対外交流センターをはじめ関係者の皆さんの温かなご案内と、短時間ではあったが、真摯な現状についての意見交換をお世話いただいたことに改めて御礼申し上げたい。

全国一般労働組合全国協議会
中央執行委員長 平賀雄次郎

<参考>
◇南京大虐殺国家公祭参加、交流協会訪問、慰安所旧址見学など充実した旅ー日中労交
◇「日中不再戦の誓いの旅」に参加して   もう一度原点から : 福山 真劫