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日中労働者交流協会結成50周年記念集会

 日中労働者交流協会は結成50周年を記念して、「和解から友好へ—日中労働者
交流の新しいチャンス」をテーマに、下記のとおり集会を開催します。

○日 時  2024年8月24日(土)13時30分〜16時50分
○場 所  アジュール竹芝 16階「曙」
        東京都港区海岸1-11-2
○記念講演 「和解学から見た日中友好運動」
    講師 外村大(東京大学大学院教授)
○パネルディスカッション
      「和解から友好へ—日中労働者交流の新しいチャンス」
  パネラー  内田 雅敏(弁護士)
        鳥井 一平(移住連共同代表理事)
        熊谷伸一郎(月刊「地平」編集長)
        有田 純也(新潟県平和運動センター事務局長)
○参加費  1500円(学生1000円)
○事前申し込み 会場設営の都合上、事前にメールで参加予約をお願いします。
        office@chinalaborf.org
○交通案内 JR「浜松町駅」北口改札口右折7分
      ゆりかもめ「竹芝駅」1分

結成50周年記念集会のチラシPDFのダウンロード ←ここをクリック

「南京に「日中不再戦の誓い」の碑を建てて—日中労働者交流協会50年のあゆ
み」を発売中
←ここをクリック

南京国際平和通信第51号と第52号

尊敬するご友人の皆様へ
 大変お待たせいたしました。半年ぶりの連絡です。51−52号を送りいたします。
 「南京国際平和通信」がまだ生きているのかとご心配をおかけして申し訳ございません。終わるつもりは全然ありませんが、編集上の問題で外国語版の制作は予想より時間がかかりすぎてしまいました。今後は時間の問題を改善し、南京のメッセージを送り続きたいと思います。どうかご理解いただきたいです。

編集部
追伸:51号に2023年12月紫金草合唱団のご訪問と南京児童合唱団の演奏映像を日本語字幕付きでアップしております。館の多くのスタッフが入念に作った映像なので、どうかご覧になってください。

南京国際平和通信51号 目次案内:
▼新年 人々が記念館に集まり、ともに平和の鐘を鳴らした
▼新年の始まり 見学者たちが記念館で願いを
▼30名あまりの留学生が記念館で「平和の授業」をうける
▼南京出身の画家張玉彪氏が10年をかけて112枚の作品で南京大虐殺の記憶を再現
▼南京大虐殺生存者の馬庭宝:家の半分が身近、もう半分が記念館にある
(映像)平和のために歌う(紫金草)


南京国際平和通信52号 目次案内:
▼「示唆に富む博物館」
▼南京大虐殺生存者・程福保さん死去
▼日本軍「慰安婦」制度の被害者・歐陽さん、劉年珍さん死去
▼京字第一号アルバム
▼春節の間、記念館が生存者を寒中見舞い

日中労交結成50周年記念

「日中労働者交流協会50年のあゆみ」を発刊しました!

注文受付中

 日中労働者交流協会(日中労交)は、1974年8月21日、総評系産別24単産、9地県評、同盟系産別1単産、中立労連が結集してつくられました。初代会長は市川誠(総評議長)、初代事務局長は兼田富太郎(全港湾委員長)です。総評解散後も個人加盟の形式で組織を残し、日中労働者の平和友好連帯活動を続けてきました。

 1985年8月15日、中曽根首相が靖国神社に公式参拝した日、市川会長は南京の侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館の開館式に出席し、「日中不再戦の誓い」を刻んだ「鎮魂の時計」を南京市に寄贈しました。日中労交はこの「誓い」の精神をもとに、すなわち「日本軍国主義の中国侵略戦争を労働者人民の闘争によって阻止し得なかったことを深く反省し」、「日中不再戦、反覇権の決意を堅持し、子々孫々、世々代々の友好発展、平和の確立」のために活動を続けています。

 このほど結成50周年を記念して「南京に『日中不再戦の誓い』の碑を建てて―日中労働者交流協会50年のあゆみ」(発行:労働教育センター)を発刊しました。価格は2000円(税別)です。送料は日中労交が負担します。(2024年9月25日まで)

本の紹介チラシPDFダウンロードはここをクリックしてください。

 

日中労交では以下の書籍や50周年記念バンダナを取り扱っていますので、合わせてご注文ください。

 

注文ページへクリック

本を発送するとき、郵便振込用紙を同封しますので、代金+送料をお支払いください。 

正 誤 表

「日中労働者交流協会50年のあゆみ」の校正で誤りがありました。謹んでお詫びいたします。

正誤表へクリック


 取扱い書籍

・南京の侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館の売店でのみ販売している「南京大虐殺の史実展」(日本語版)価格は98元ですが頒価2000円です。

南京出版伝媒集団 南京出版社

・内田雅敏著「飲水思源 以民促官」藤田印刷エクセレントブックス、価格は1200円(税別)です。

内田雅敏著「飲水思源 以民促官」

・日中労交50周年記念バンダナ、価格は1000円(税別)です。

日中労交50周年記念バンダナ

日中労交2024年度総会報告

伊藤彰信

 日中労交の2024年度総会が4月27日に東京・蒲田の日港福会館で開かれました。

伊藤会長あいさつ

 伊藤会長は「日中労交の現在の最大の課題は『台湾有事』を阻止することである。安保三文書によって、中国を仮想敵国として、防衛費の拡大、日米共同軍事体制の強化、南西諸島のミサイル配備、戦闘機の輸出、軍事産業の育成など進められている。経済安保体制は職場でのレッドパージに通じるものであり、人権や民主主義を抑圧する政策がすすめられている。『台湾有事』となれば、全国の自衛隊基地から、民間の空港・港湾を利用した兵器・部隊の輸送が行なわれる国家総動員体制づくりが進んでいる。また、練馬の森の朝鮮人追悼碑撤去にみられるように強制連行と発言することが許されない状況になった。日中労交は、昨年4年ぶりに訪中し、コロナ後の交流を再開することができた。日中労交50周年の今年は、50年の歴史をふり返りながら、新しい会員を獲得し、日中平和友好の強化のために活動していきたい」とあいさつしました。

第一部「総会議事」

 議事では、2023年度活動報告を藤村事務局長が、2024年度活動計画(案)を伊藤会長が、2023年度決算報告を伊藤事務局次長が、会計監査報告を水摩会計監査委員が、2024年度予算(案)を伊藤事務局次長が、それぞれ提案し、承認されました。

 今年度の活動計画の重点は、50周年記念事業を成功させることです。今年度の総会で議論した50周年記念事業のイメージは、昨年度の総会で議論していたものとは変化してきてきました。今年度の議論は、「台湾有事」を阻止するにはどうしたらよいか、日中労交の存在意義、役割はどのようなものなのか、50年を振り返りながら考えようというものです。

 「50年のあゆみ」の出版、8月24日のシンポジウムの開催について確認しました。問題は、その財政の確保です。カンパを集めると同時に「50年のあゆみ」の販売促進です。本の販売促進、シンポの企画運営を行うために50周年事業実行委員会を設置することを確認していただきました。運営委員だけでは力量不足ですので、会員からも実行委員になってもらい、組織をあげて50周年記念事業を成功させたいと思います。

第二部「日中労交の50年を語ろう」 

 第二部の「日中労交の50年を語ろう」では、「50年のあゆみ」の執筆者である藤村事務局長が、日中労交の前史にあたる在華同胞帰国事業と中国人俘虜殉難者遺骨送還運動について説明をしました。平石昇さんは、平坂春雄元事務局長が大阪エルライブラリーに寄贈した段ボール200箱を超える資料から、日中労交関係の資料を見つけ出し整理した3年以上にわたる作業の苦労話をしました。伊藤会長は、日中関係の緊張の高まりに押されて単なる記録ではなく日中友好運動のなかで日中労交が占めた位置と役割を記述せざる得なくなったこと、和解を国家間和解と民衆間和解のふたつの視点から描いたこと、中国人の戦後補償裁判では謝罪、補償、歴史伝承の3っつが和解の条件であったこと、南京に碑を建てた意味は若い人への歴史伝承になること、日中友好運動の入門書になるよう書いたことなどを語りました。

 参加者の語らいの中では、「50年のあゆみ」に詳しく書かれていない、旅順大虐殺、関東大震災時の中国人虐殺、日中友好協会の分裂、技術交流などが議論されました。それぞれの日中関係の事象を断片的に捉えるのではなく、権力を握った中国の労働者と権力を握ったことがない日本の労働者との交流が、時代の変化の中で揺れ動いていく様子を見ていくべきではないかという話になりました。

南京国際平和通信第50号

2024/02/08 木曜日

南京国際平和通信第50号が送られてきました。中国の春節(旧正月)は明後日2月10日です。明日は大みそかです。


尊敬するご友人の皆様へ

 明日は「大年三十」と呼ぶ今年(うさぎの年)旧暦大晦日で、いよいよ旧暦新年を迎えることになります。
一年前を振り返って、コロナにみんなが苦しまれた最も大変な時期でした。
この一年は町全体が模索しながら少しずつ回復されましたが、コロナの記憶も少しずつ遠ざかったような気がします。
忘れたいですけど忘れられないでしょうか。
 一年を締めくくりとして国際平和通信50号の2023年12月国家追悼式の内容を送りいたします。
今までは決して順調とは言えませんが、この小さな通信を作り、そして送り続けたいと思います。
どうか皆様のご支持とごアドバイスを頂きたいです。
 今年(龍の年)もどうぞよろしくお願いいたします。

編集部

 50号ウェブ版:(メモリーオーバーの可能性があるので、パソコンで開けない恐れがあります。開けない場合は添付ファイルのPDFバージョンをご覧になってください)

50号ウエブ版

50号PDF版

50号目次案内:

■ 南京大虐殺犠牲者国家追悼式典が中国で開催
■ 国内外の参加者がロウソク祭・国際平和集会に参加
■ 57か国と地域の130の海外華僑団体が同時に平和集会を行う
■ 南京安全区ハイキング、「大いなる愛の道」を再び歩く
■ 先祖の供養、忘れぬ記憶のために

南京国際平和通信49号

2024/1/30 火曜日

尊敬するご友人の皆様へ
遅くなりましてすみません、今回は2023年11月分の49号を送付いたします。ご一読頂ければ幸いです。
今年もどうぞよろしくお願いします。
編集部

49号目次案内:
■ スペイン、ハンガリーで「南京大虐殺史実展」を開く
■ 「大王」:1937年ヴォートリン氏と共に戦った時間
■ アイリス・チャン氏を偲ぶ

下記のURLからご覧ください。

49号ウェブ版

49号PDF版

南京国際平和通信 第48号

2024/01/09 火曜日

南京記念館から「南京国際平和通信」No48が送られてきました。下記のURLからご覧ください。

48号目次案内:

■ 歴史記憶に加筆「慰安婦」テーマ彫刻が南京に安置

■ 世界遺産教育モデルの革新を模索、記念館が国際賞を受賞

■ 国際平和の日に留学生が記念館に集まり平和を語る


南京国際平和通信 No48 ウエブ版

南京国際平和通信 No48 PDF版

第8次「日中不再戦の誓いの旅」

4年ぶりの訪中、北京・南京を友好訪問

伊藤彰信(訪中団団長)

 日中労交の第8次「日中不再戦の誓いの旅」は、12月11日に出発し、北京、南京を訪問して15日に帰国しました。コロナの世界的な流行により、4年ぶりの訪中でした。今回も学生2名が参加し、平均年齢をぐっと下げた老・壮・青の訪中団になりました。

 訪中団は、団長=伊藤彰信(日中労交会長、元全港湾委員長)、副団長=新崎盛吾(元新聞労連委員長)、秘書長=有田純也(新潟県平和運動センター事務局長)、団員=佐久原智彦(全港湾大阪支部特別常任執行委員)、今村錬(上智大学4年)、遠山和泉(長崎大学4年)の6名です。

 訪中団は、南京大虐殺犠牲者追悼国家公祭に参加するとともに、北京では中国職工対外交流センターの張広秘書長と懇談し、南京では南京師範大学の林敏潔教授ならびに学生と交流してきました。以下、旅の経過と概要を簡単に報告します。

<12月11日>

 訪中団は前日、東京で結団式を行い、11日は羽田空港から飛び立って北京首都空港に着きました。前日の東京の気温は21度でしたが、北京の気温は1度で雪が積もっていました。空港には中国職工対外交流センター技術経済交流部の石晶晶さんが出迎えてくれました。昼食をとったあと、マイクロバスで宿泊先である職工之家に向かいました。職工之家は中華全国総工会が経営するホテルです。

中国職工対外交流センターの張広秘書長と伊藤彰信訪中団団長が懇談

 中国職工対外交流センターの秘書長は、前任の王舟波秘書長が5月に定年退職して以降空席のままでした。10月に中華全国総工会の第18回全国大会が開かれ、総工会の新しい体制が選出されましたが、職工対外交流センターの秘書長はなかなか決まらず、張広秘書長が着任したのは、訪中団が北京に着いた当日でした。歓迎夕食会の前に少し懇談する時間がありました。張秘書長は「国家公祭に毎年参加している日中労交の訪中団を歓迎する」と述べたあと、第18回大会について以下のように簡単に報告しました。

 中華全国総工会は、世界最大の労働組合であり、中央、省、市、県、郷・鎮、職場のレベルまで整った組織である。第18回大会では、この5年間の総括、向う5年間の方針の確立、章程(規約)改正、役員の選出を行った。方針の主な柱は、労働者の権益の擁護、経済の発展、調和のとれた労使関係である。この5年間で、職工図書室、職人学院をつくった。貧困者への支援やカンパ支給、農民工の相談業務、屋外労働者向けのサービスステーションの設置、コロナ対策では77.5億元を使って労働者対策を行った。また活動項目のひとつに組合交流を加えた。一帯一路の交流、技術交流、国際的な労組交流などを行う。交流を通じて平和に貢献したい。

 伊藤団長からは、日中労交が名実ともに日中労交として再出発したことを報告し、「市川誠初代会長の『日中不再戦の誓い』の精神を継承し、加害の歴史を忘れずに『台湾有事』を阻止するために活動している。日中友好運動を若い人に引き継ぐようにし、平和構築に努力している。来年は日中労交結成50年にあたる。8月に祝賀会を行うので参加してほしい。」と述べました。

 懇談会・夕食会には、何際霞技術経済交流部部長、2019年の東北旅行でお世話になった李明亮さんも参加し、4年ぶりの再会を喜び合いました。

<12月12日>

 7時30分にホテルを出発し、北京南駅から高鉄(新幹線)で南京に移動しました。何際霞部長も同行しました。乗車時間は3時間25分ほど、途中の停車駅は済南だけ、時速350㎞の運転でした。到着した南京南駅では、江蘇省職工服務センターの盛卯弟副主任、南京市総工会の付光宇弁公室副主任が出迎えてくれました。駅近くのレストランで昼食をとった後、南京市総工会の工人文化宮と職工服務中心(労働者サービスセンター)を訪問しました。工人文化宮は、1951年につくられたものですが、2021年に新しい施設がオープンしました。総建設面積は約73,000㎡、トレーニングジム、プール、バスケットやバトミントンのコート、健康相談室、劇場、イベント広場があり、貸衣装など文化芸術活動の支援などを行っています。職工服務センターは、2019年にも訪れた施設ですが、以前のところから移転して工人文化宮に併設してつくられ、2022年5月に新装オープンしました。業務内容は、①職業訓練、②起業への貸付、③職業紹介、④困難な労働者の生活支援、⑤インターネットを活用した包摂的なサービスの5部門です。インターネットでの事務手続きがほとんどなので、窓口に来て相談している人はいませんでした。新しい施設になって、以前より活動が充実しているように感じました。

 宿泊先は南京市総工会が経営するホテルである天豊大酒店です。夜は、江蘇省総工会のミョウ(糸へんに翏)建華二級巡視員が主催する歓迎宴が開かれました。ミョウさんは以前、江蘇省職工対外交流センターの秘書長をしていた方で古くからの友人です。白酒がすすみました。

<12月13日>

 南京大虐殺受難者追悼国家公祭に参加するため、8時40分にホテルを出発し、侵華日軍南京大虐殺遇難同胞紀念館に向かいました。「日中不再戦の誓い」の碑を見たあと、式場に入りました。4年ぶりの参加ですが、参加者の顔ぶれが変化しているのに気づきました。隣との間隔が今までより広くなっていました。全体の参加者を以前より制限しているように感じました。昨年のビデオをみるとマスクを着用していましたが、今年はマスクを外すように言われました。外国の大使館からの参加がありませんでした。日本人参加者のブロックには日本からの高齢者の参加がほとんどなく、南京在住日本人留学生が参加しているとのことでした。初めて前から3列目での参列となりました。

 国家公祭のあと、長江ほとりの南京大虐殺遭難者中山港記念碑を訪れました。南京市内には20か所以上の記念碑があります。慰霊式が行われます。10時には歩いている人も、バスも自動車も止まって、黙とうをします。昼食後、侵華日軍南京大虐殺遇難同胞紀念館を見学しました。17時30分からキャンドル祭に参加しました。キャンドル祭も演出が変わりました。宗教行事がなく国際平和集会となりました。参加人数も制限された代わりに、大型ビジョンが設置され、ドローンを使って記念館全体を撮影しながら中継で発信されていました。マギー牧師のお孫さんがあいさつし、南京紫金草芸術団の小学生が歌いました。紫金草合唱団の日本からの代表者が、南京の子どもたちに引き継いだというあいさつは、今回の集会を象徴する出来事でした。幸存者が38人になった現在、南京大虐殺の記憶を若い人に伝えていくことを重視した集会だったと思います。

<12月14日>

 午前中、2015年12月にオープンした利済巷慰安所旧址陳列館を見学しました。中国各地の慰安所、アジアの慰安所の資料が展示されています。

南京師範大学、東アジア文化研究所所長の林敏潔教授と同大学院学生と訪中団が交流

 午後は、南京師範大学を訪ね、東アジア文化研究所所長の林敏潔教授と同大学院学生と交流しました。林教授は、日本民間反戦記憶に関する多分野研究をおこなっており、戦争関係のあらゆる分野についてデータベース化をすすめています。過去の歴史を忘れず、日中は平和共存しなければならないと熱い挨拶で迎えてくれました。そのあと、新崎副団長を司会役にして、日中学生の交流会が行われました。学生たちは校門まで見送ってくれました。日中の学生たちはウィチャット仲間になったようです。若者交流、民間交流の実際を見たような気がしました。その後、南京博物院、夫子廟を見学して南京での日程を終了しました。

<12月15日>

 5時にホテルを出発し、マイクロバスで上海浦東空港に向かいました。9時30分に空港に到着し、午後の便で関空、成田へと飛び立ちました。

 通訳として全行程を同行してくださった石晶晶さんには大変お世話になりました。

中帰連平和記念館を訪ねて

伊藤彰信(日中労働者交流協会会長)

 11月25日(土)、埼玉県川越市笠幡にある中帰連平和記念館を訪れた。記念館では10月29日から12月27日まで関東大震災から100年を記念して「仁木ふみ子と『平和の環』展」が行われており、11月25日には記念講演会「王希天から仁木ふみ子へ」と追悼座談会が行われた。

 私は仁木ふみ子さんについてまったく知らなかった。日教組の婦人部長をしていたという経歴から、労働運動として日中友好運動にどのようなかかわりをしていたのか興味があった。また、「平和の環」として、仁木ふみ子、宋慶齢、周恩来、王希天、遠藤三郎、藤田茂の名前が上げられているが、この環のつながりを知ることも私の参加理由であった。

 展示のひとつに月間「総評」1982年11月号に仁木さんが書いた関東大震災時の中国人虐殺事件の原稿があった。月刊「総評」は全港湾の組合事務所にも送られてきていたので、私は読む機会があっただろうに、記憶にない。

 講演会ははじめに関東大震災で日本陸軍に密殺された王希天の碑を浙江省温州に建てた記録である30年前に作成された32分のDVD「関東大震災の中国人虐殺-謝罪と償いの旅」が上映された。続いて仁木さんが1980年に上海の華東師範大学の日本語教師として赴任したとき、通訳兼助手だった王智新さんが「王希天-仁木ふみ子へーその精神を受け継ぐにあたって」と題して次のように話された。

 仁木先生は、中国の革命運動に関心があったようである。中国共産党の初代女性部長の向警予の調査をしていた。ある日、「民国日報」を調べていたら関東大震災時に中国人労働者が虐殺されたという記事が目に留まった。どうすれば調べられるかと聞かれたので、温州市政府に手紙を出したが返事がない。そこで地方史を研究する政治協商委員会に手紙を書き、やっと返事をもらった。政府による調査が行われていない中で、日本人がひとりで当時のことを聞きに来た。政治協商委員会が手配して受難者の親戚など関係者が座談会の会場に集まってきたが、日本人を殴ってやりたいと思っている人がほとんどだった。仁木先生は、日本に帰国後、江東区の大島に住んで中国人虐殺事件の調査を続けた。日本政府は中国人虐殺事件が国際問題になることを恐れて隠ぺいを図った。今でも、関東大震災時に虐殺があったという資料はないと言い続けている。日本では8月になると平和問題を取り上げるが、それは戦争被害である。加害のことはあまり触れていない。仁木先生は、相手がどのよう被害を受けたのか、どう思ったのかということを調査していた。相手を理解しようとする努力がなければ、戦争による傷痕、恨みをほぐすことは出来ない。中国人は、日本人は過去に歴史を反省していないのではないかと思っている。不信感をなくし、不信の連鎖をなくすことが必要だ。お互いの理解や尊重があって信頼と友好が築かれる。

 午後の座談会では、仁木さんが取り組んできた、大分県立盲学校、図書館活動、読後感想文指導、全国高校女子教育問題研究会、「関東大震災の時、殺された中国人労働者を悼む会」、中国山地教育支援、無人区への教育支援、中国帰還者連絡会(中帰連)との接点、撫順の奇跡を受け継ぐ会代表、中帰連平和記念館館長という経歴を振り返りながら、それぞれ参加者が思い出を語った。聞いているうちに、「平和の環」が見えてきた。仁木さんは、孫文の妻であった宋慶齢の研究者であり、1979年に「宋慶齢選集」を発行している。宋慶齢から娘のようにかわいがられたという。周恩来は、王希天が設立した中国人労働者の救済組織である僑日共済会で活動していたことがある。遠藤三郎は、野戦重砲第一連隊大尉であったが、王希天殺害を隠蔽した人物であり、戦後は平和運動に貢献している。藤田茂は、陸軍中将であったがシベリア抑留後、撫順戦犯管理所に移され、禁固18年判決を受け、帰国後の中帰連の初代会長となり、日中戦争での加害の事実を語っていた。

 仁木さんが、「平和は座して待つものではなく、たたかいとるものだ」と宋慶齢の言葉を引用し、「日本の平和教育は、被害の事実を知ることから、加害の事実を知ることに視野を広げてきたが、さらに抵抗の事実を知らなければならない。抵抗の事実こそ、ひとをひとたらしめるものであり、その立場に立ってこそ、戦争の意味と平和の意味を正しく伝えることができ、加害の残虐さを見つめる勇気をもつことができる。」と語っていたという話が印象に残った。

 当日出来上がったばかりの「仁木ふみ子追悼文集」を買った。170名ほどの執筆者の名前を見たら、結構知っている名前があった。「平和の環」の広さを知った次第である。

南京国際平和通信 第46-47号

Mon, 13 Nov 2023

尊敬するご友人の皆様へ

冬が来ました。
式典も近づいてきました。
三年以来、普通に開催できるようになります。

今回の通信は第46号ー第47号を合わせて送りいたします。

編集部

46号目次案内:
亡くなった生存者の消灯式が行った
新しい記憶の伝承者が声を上げる
南京大虐殺史若手研究者シンポジウムが開催
南京国際平和ポスタービエンナーレが作品募集中

南京国際平和通信 第46号ウェブ版

南京国際平和通信 第46号PDF版

47号目次案内:
抗日戦争勝利78周年記念
永遠の銘刻ーー版画展が開催
「慰安婦」制度被害者二人が逝去
映画「二十二」は日本で上映

南京国際平和通信 第47号ウェブ版

南京国際平和通信 第47号PDF版