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第9回「中国人受難者を追悼し平和と友好を祈念する集い」(10/15 広島) 内田 雅敏

 広島での第9回「中国人受難者を追悼し平和と友好を祈念する集い」に行ってきました。
2009年10月中国人強制労働西松和解の翌年10年から毎年、広島、太田川上流の中国電力発電所の一角に建立した「中国人受難の碑」の前での追悼会です。地元、安芸太田町長、中国電力、在大阪中国総領事館等からも参加を頂いております。
今回は前日に、「中国人強制連行の戦後 民間が拓いてきた日中交流 引揚げ・遺骨送還から和解へ」というシンポジュームを行ないました。
戦後なお中国に残留(いわゆる残留婦人、孤児とは別)していた約3万人の日本人の帰還事業(旅費を中国政府が負担)に対応した、日本からの民間の手による遺骨(強制連行・強制労働の受難者)送還運動→強制連行・強制労働の実態調査→賠償請求→裁判→付言による和解の流れがよく理解できました。
西松安野友好基金も来年で、任務を終え解散し、再来年からは、地元広島の「中国人強制連行・強制労働の歴史を継承する会」が追悼式を引き継ぎます。「中国人受難の碑」がいつか「日中友好の碑」になることを願っています(追悼式に参加した、或る遺族の言葉)。
来年からは、先日和解が成立した三菱マテリアルの追悼式(私の担当は長崎)も始まることになると思います。 続きを読む 第9回「中国人受難者を追悼し平和と友好を祈念する集い」(10/15 広島) 内田 雅敏

加害者としての反省を背負いながら日中友好の絆を強めよう

内田雅敏講演会あいさつ

伊藤彰信(日中労働情報フォーラム代表)

 

伊藤彰信(日中労働情報フォーラム代表)
伊藤彰信(日中労働情報フォーラム代表)

1 昨日9月29日は、1972年9月29日に、日中共同声明が発表され、日本と中国の国交が正常化された日から、44年にあたります。

日中共同声明において、日本側は「過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えてことについての責任を痛感し、深く反省する」と述べました。そして両国は「主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意」し、日中国交正常化が図られました。

2 ドイツの平和運動はアウシェビッツから始まった。日本の平和運動はヒロシマ、ナガサキから始まったと言われます。日本の平和運動の弱点は、加害者意識よりは被害者意識から始まったことです。日本国憲法前文の「日本国民は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることがないようにすることを決意し」というフレーズは、日本が戦争の被害者にも加害者にもならない決意だと思います。

3 日中労働フォーラムは、日中労働者交流協会の継承組織です。日中労働者交流協会は、日中国交正常化を受けて、1974年、中華全国総工会と総評の交流窓口として結成されました。初代会長は、総評議長だった市川誠さんです。市川会長が起草した「日中不再戦、反覇権の誓いの碑」を南京大虐殺記念館に建てました。その後、12月13日の南京大虐殺犠牲者追悼式典に参加するようにしています。今年も訪中団を派遣しますので、参加希望者は申し出てください。

4 中国から強制連行された者は、チラシにもありますように、38.935人です。うち、6,830人が日本でなくなりました。私は全港湾の委員長を2年前まで務めていましたが、港湾には10、129人が25事業所に配置され、1,173人が死んでいます。全港湾は、中国人俘虜殉難者慰霊運動に参加し、亡くなられた中国人強制連行者の遺骨返還に取り組んできました。全港湾にとっては、これが平和運動の出発でした。

5 全港湾の組合員のいる企業が、強制連行された中国人から損害賠償を求める裁判を起こされました。平和フォーラムは中国人原告を支援しましたが、その企業で働く組合員の偽らざる気持ちは、損害賠償を払えば賃上げや一時金に支障が出ると言うものでした。

6 本日、内田弁護士に6月1日に和解が成立した三菱マテリアル事件の経過を報告しながら、日中友好の展望について講演していただきますが、加害者としての反省を背負いながら、二度と戦争を起こさないために、どう日中友好の絆を強めていくのか、考えてみたいと思います。

歴史に向き合い、和解から友好強化へ 内田雅敏講演会(2016年9月30日)

「過ちて改めざる、是を過ちという」、三菱マテリアル社(旧三菱鉱業)が中国人強制連行事件の和解にあたって受難生存労工に述べた謝罪の言葉である。同事件の和解を経て「日中友好の展望」と題する内田雅敏弁護士(戦争をさせない1000人委員会事務局長)の講演会が、9月30日、連合会館で開かれた。930uchida_a2

伊藤彰信(日中労働情報フォーラム代表)
伊藤彰信(日中労働情報フォーラム代表)

はじめに日中労働情報フォーラム伊藤代表が「日本の平和運動の弱さは加害者意識が薄いことである。二度と戦争を起こさないために中国人強制連行・強制労働問題を加害者としての反省を背負いながら考えてみたい」とあいさつした。(伊藤代表のあいさつ詳報)
内田弁護士は、鹿島建設の花岡和解、西松建設の広島安野和解の経験を踏まえながら、今回の和解が「平和資源」と言える内容を持つものだと評価し、次のように講演した。
いままでの和解より前進した点は、①三菱鉱業だけでなく下請先を含む3765人を対象とした、②会社の代表者が中国に赴き受難者に直接謝罪した、③和解金額が大幅に増額された、④その使途も明確に定められた。裁判では、元労工の請求を棄却する決定がなされ、確定しているが、和解ができた根拠は、西松建設事件での最高裁判決の「西松建設を含む関係者(註=国を指す)において、被害者らの被害の救済に向けた努力が期待される」という「付言」である。 続きを読む 歴史に向き合い、和解から友好強化へ 内田雅敏講演会(2016年9月30日)

講演会「日中友好の展望 -三菱マテリアル中国人強制連行事件の和解を経てー 」

日中国交正常化44周年

講師 内田雅敏弁護士

6.12戦争をさせない全国署名提出集会・国会包囲抗議行動で発言する内田氏 (撮影・Shinya)

(戦争をさせない1000人委員会事務局長)

  • 日 時 2016年9月30日(金)18時30分~
  • 場 所 連合会館 2階 201号室

〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-2-11
TEL:03-3253-1771(代)
地下鉄千代田線 新御茶ノ水駅 (B3 出口) より 徒歩約 1 分. 地下鉄丸ノ内線 淡路町駅より 徒歩約 6 分. 地下鉄新宿線 小川町駅より 徒歩約 4 分. JR 御茶ノ水駅 (聖橋口) より 徒歩約 7 分.

  • 会場費 500円(日中労働情報フォーラム会員は無料)
  • 主 催 日中労働情報フォーラム
  • 協 賛 平和フォーラム

日本は戦時中、中国人労働者を強制連行し、鉱山、ダム建設、港湾などの労働に従事させました。連行された38、935人のうち6,830人が苛酷な労働のため命を落としています。
今年6月1日、三菱マテリアル(旧三菱鉱業)が強制連行された中国人元労働者に謝罪し、和解金を支払うことで和解が成立しました。今回の和解は、今までの中国人強制連行事件の和解に比べて、対象者が下請け先を含む3、765人と多く、和解金額も大幅に引きあがったものでした。
多くの中国人強制連行裁判に携わってきた内田雅敏弁護士に、今回の和解の意義と課題について報告していただき、昨年の安保法制成立以降、ますます緊張が高まる日中関係のなかで、日中友好を図るにはどうしたらよいか、その展望について語っていただきます。

930内田雅敏講演会
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