タグ別アーカイブ: 内田雅敏

ブックレット「『平和資源』としての日中共同声明」が発売されます(7/7)

当会の会員でもある内田雅敏弁護士が、日中両政府が結んだ4つの基本文書をたどりながら、日中間の平和で安定した未来を切り拓くため、ブックレット「『平和資源』としての日中共同声明」を著しました。
A5判128ページで、資料も充実しています。1972年の日中共同声明、1978年の平和友好条約、1998年の平和友好協力パートナーシップ宣言、2008年の戦略的互恵関係声明、2014年の合意文書が全文収録されています。その当時の新聞記事も掲載されており、社会状況もわかります。また、井上ひさし作の「シャンハイムーン」を引き合いに日中関係を見つめなおすことも資料に加えられており、政治文書の解説だけではなく、日本が中国とどう向き合うのかを問いかける内容になっています。 続きを読む ブックレット「『平和資源』としての日中共同声明」が発売されます(7/7)

中国を敵国とする考える改憲論者を批判し、日中不再戦の誓いを新 たにー朝日紙上の内田・佐伯論争

5月5日の朝日新聞「異論のススメ」で京都大学名誉教授の佐伯啓思氏が「平
和を守るため戦わねば」と書きました。国際情勢が変化したのだから、「平和を
愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」(憲法前文)
するという非武装平和主義ではいかなくなった。平和を守るためには、その侵害
者に対して身命を賭して戦うことは、それこそ「普遍的な政治道徳の法則」では
ないだろうかと言うのです。
佐伯氏に反論して、日中労働情報フォーラムの会員である内田雅敏弁護士が、
5月20日の朝日新聞「私の視点」に「民衆は戦争を望まない」を書きました。
内田弁護士の当初の文章は、もう少し長かったのですが、スペースの関係で掲載
された文章になったようです。 続きを読む 中国を敵国とする考える改憲論者を批判し、日中不再戦の誓いを新 たにー朝日紙上の内田・佐伯論争

第9回「中国人受難者を追悼し平和と友好を祈念する集い」(10/15 広島) 内田 雅敏

 広島での第9回「中国人受難者を追悼し平和と友好を祈念する集い」に行ってきました。
2009年10月中国人強制労働西松和解の翌年10年から毎年、広島、太田川上流の中国電力発電所の一角に建立した「中国人受難の碑」の前での追悼会です。地元、安芸太田町長、中国電力、在大阪中国総領事館等からも参加を頂いております。
今回は前日に、「中国人強制連行の戦後 民間が拓いてきた日中交流 引揚げ・遺骨送還から和解へ」というシンポジュームを行ないました。
戦後なお中国に残留(いわゆる残留婦人、孤児とは別)していた約3万人の日本人の帰還事業(旅費を中国政府が負担)に対応した、日本からの民間の手による遺骨(強制連行・強制労働の受難者)送還運動→強制連行・強制労働の実態調査→賠償請求→裁判→付言による和解の流れがよく理解できました。
西松安野友好基金も来年で、任務を終え解散し、再来年からは、地元広島の「中国人強制連行・強制労働の歴史を継承する会」が追悼式を引き継ぎます。「中国人受難の碑」がいつか「日中友好の碑」になることを願っています(追悼式に参加した、或る遺族の言葉)。
来年からは、先日和解が成立した三菱マテリアルの追悼式(私の担当は長崎)も始まることになると思います。 続きを読む 第9回「中国人受難者を追悼し平和と友好を祈念する集い」(10/15 広島) 内田 雅敏

歴史に向き合い、和解から友好強化へ 内田雅敏講演会(2016年9月30日)

「過ちて改めざる、是を過ちという」、三菱マテリアル社(旧三菱鉱業)が中国人強制連行事件の和解にあたって受難生存労工に述べた謝罪の言葉である。同事件の和解を経て「日中友好の展望」と題する内田雅敏弁護士(戦争をさせない1000人委員会事務局長)の講演会が、9月30日、連合会館で開かれた。930uchida_a2

伊藤彰信(日中労働情報フォーラム代表)
伊藤彰信(日中労働情報フォーラム代表)

はじめに日中労働情報フォーラム伊藤代表が「日本の平和運動の弱さは加害者意識が薄いことである。二度と戦争を起こさないために中国人強制連行・強制労働問題を加害者としての反省を背負いながら考えてみたい」とあいさつした。(伊藤代表のあいさつ詳報)
内田弁護士は、鹿島建設の花岡和解、西松建設の広島安野和解の経験を踏まえながら、今回の和解が「平和資源」と言える内容を持つものだと評価し、次のように講演した。
いままでの和解より前進した点は、①三菱鉱業だけでなく下請先を含む3765人を対象とした、②会社の代表者が中国に赴き受難者に直接謝罪した、③和解金額が大幅に増額された、④その使途も明確に定められた。裁判では、元労工の請求を棄却する決定がなされ、確定しているが、和解ができた根拠は、西松建設事件での最高裁判決の「西松建設を含む関係者(註=国を指す)において、被害者らの被害の救済に向けた努力が期待される」という「付言」である。 続きを読む 歴史に向き合い、和解から友好強化へ 内田雅敏講演会(2016年9月30日)

隣国すべてが友人になるために ―戦後70年、米戦略と安保法制、そして平和を考える― 内田雅敏

内田雅敏 弁護士

 1 戦後70年の光景

2014年7月1日、安倍政権は閣議決定による解釈改憲を行い、これまで憲法上許されないとしてきた集団的自衛権行使容認した。そして関連法案が国会で審議される前に、日米外務・防衛担当閣僚会議(2+2)において日米防衛協力に関する指針(ガイドライン)を策定した。閣議決定は立憲主義を無視した違憲なものであり、新ガイドラインの策定は、国会無視、立法権の侵害である。安保法制については、その内容の曖昧さが指摘されたにもかかわらず、本年7月16日、衆議院で強行採決がなされた。
2013年、安倍政権は、多くの国民の反対の声を押し切って特定秘密保護法を制定し、14年これを施行した。その他にも、国是であった武器輸出禁止原則を緩和し、防衛設備移転三原則を作成した。そして、英国、仏国、豪州らとミサイル、潜水艦などの共同研究、共同開発の協議を始めた。 続きを読む 隣国すべてが友人になるために ―戦後70年、米戦略と安保法制、そして平和を考える― 内田雅敏

言葉は形容詞によって腐る―靖国史観が透けて見える安倍首相の70年談話― 内田雅敏

2015年8月15日
内田 雅敏

「百年以上前の世界には西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていました。圧倒的な技術優位を背景に、植民地支配の波は、19世紀、アジアにも押し寄せました」。2015年8月14日、安倍首相によって発せられた戦後70年首相談話の冒頭部分である。
正直、驚いた。「戦後」70年談話であるから、当然、これまでの首相談話等 ― 「日本側は、過去において、日本国が戦争を通じて、中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」(1972年日中共同声明)、 続きを読む 言葉は形容詞によって腐る―靖国史観が透けて見える安倍首相の70年談話― 内田雅敏