カテゴリー別アーカイブ: 会員から

日本反戦平和記憶国際シンポジウム (3/8) へのご案内

連日のご奮闘に心から敬意を表します。
さて、来たる3月8日16時から、村山首相談話の会の主催で、衆議院第1議員
会館で、中国から著名な学者の皆さんを招聘し、日本の各界でご活躍の大学教授
・ジャーナリスト・市民運動家の皆さま方の出席のもと、「日本反戦平和記憶国
際シンポジウム」(添付のカラーチラシを御参照下さい)を、下記の要領で開催
いたします。
大変、中味の濃い、充実した内容の国際シンポジウムとなりますので、ご多忙
中、恐縮ですが、万障お繰り合わせの上、ご出席いただきますようお願い申し上
げます。

村山首相談話の会・理事長・藤田高景(携帯090-8808-5000)

*****************************************************************
「村山首相談話を継承し発展させる会」主催/「国際アジア共同体学会」後援

●●日本反戦平和記憶国際シンポジウム●●

第二次安倍内閣は、防衛費を毎年増加させ続け、2015年には集団的自衛権
の行使容認を含む安保法制を制定して憲法の平和主義を形骸化させようとしています。
現在、安倍首相は2020年の憲法改正で自衛隊を憲法に盛り込み平和主義の核
心である憲法9条2項の「戦力不保持、交戦権否認」を死文化させようと狙っています。
このように日本の政治状況は大変危険な方向に向かって進んでいますが、日本
人の中には政治に無関心な人も少なくありません。その原因は、一つには日本人
が過去の旧日本軍による中国・アジア諸国への侵略と植民地支配という歴史につ
いて教育を受けていなことにあります。
同時に、日本人、特に若者が憲法の平和主義を支えてきた戦後の日本民衆の粘り強い反戦平和の運動を知らないことにあります。
今回、私たちが中国からお招きする南京師範大学の林敏潔教授は、「日本の民
衆の反戦運動とその記憶」ついて研究されています。林敏潔教授は、中国の人々、
特に若い世代に日本での反戦・平和の活動の事実を正確に伝えることは、長期的
に見れば日本と中国の友好と和解と共生に役立つという信念から、地道な研究に
取り組んでこられました。林教授の研究は、実は日本人にとっても極めて重要です。
私たちは、アジアと世界の平和実現をめざし林敏潔教授の日本における反戦・
平和の活動記憶を後世に残そうと言う思いに賛同し、日本の学者・研究者・ジャー
ナリスト・社会運動家が一堂に会し、日本反戦平和記憶国際シンポジウムを下記
の要領で開催する事にしました。多くの皆様方のご出席をお待ちしております。

日時 2019年3月8日(金)16時~19時30分
15時30分から、衆議院第1議員会館のロビーで入館証を配付します。
会場 衆議院第1議員会館・B1・大会議室
※必ず、事前申し込みが必要です。

●申込先:会場は300名定員です。300名で申し込みを締め切りますので、恐縮ですが、大至急、以下までメールでお申し込みを、お願い致します。
村山首相談話の会・Email : murayamadanwa1995@ybb.ne.jp
<mailto:murayamadanwa1995@ybb.ne.jp>
携帯電話 : 090-8808-5000

*日本反戦平和記憶国際シンポジウム案内チラシ

第5次「日中不再戦の誓いの旅」 ~北京、南京を訪問~

2018年12月20日

日中労交訪中団報告

 伊藤彰信

第5次「日中不再戦の誓いの旅」訪中団団長

 日中労交の第5次「日中不再戦の誓いの旅」は、12月11日に出発し、北京、南京を訪問して15日に帰国しました。この旅は、中国職工対外交流センターの受け入れで実現したもので、訪中団は、団長=伊藤彰信(日中労交会長、元全港湾委員長)、副団長=前川武志(日中労交事務局長)、秘書長=藤村妙子(南部全労協事務局長)、団員=渡部公一(前目黒区職労委員長)、広岡浄進(大阪市大人権問題研究センター准教授)、横山貴安基(全港湾大阪支部執行委員)、神部紅(ユニオンみえオルグ)の7名です。

以下、旅の経過と概要を簡単に報告します。

<北京>

中華全国総工会の看板(毛沢東筆)の前で

12月11日、訪中団は、東京・羽田、名古屋・中部、大阪・関空から北京に着きました。北京空港には、中国職工対外交流センター技術経済交流処の李晶宇さん、石晶晶さんが出迎えてくれました。空港で昼食をとったあと、職工の家(中華全国総工会が所有するホテル)に移動しました。その後、中国職工対外交流センター技術経済交流処の何際霞処長らと懇談しました。

中国職工対外交流センターとの懇談(一番左が何際霞処長)

伊藤団長から「8月に中国職工対外交流センターと日中労交の共催によって日中友好労働者シンポジウムを成功裏に開催できたこと、日中労働者の友好の歴史を学び、日中の労働者が現在のそれぞれの取り組みと課題を紹介し、今後の連携の方向性を確認できたことは、非常に意義あることでした」とお礼を述べ、「安倍首相は、憲法9条に自衛隊を銘記しする憲法改正を何が何でも実現しようとしています。憲法改正問題は歴史認識問題です。今回の訪問を通じて、日本軍国主義が犯した加害行為を知り、安倍が目論む9条改憲を絶対に阻止する決意を改めて固めたいと思っています」とあいさつしました。

新しく着任した何処長は、彭勇秘書長らが出張のため不在であることを謝りつつ、「日中友好労働者シンポジウムは今後の交流の方向を示す意義あるものでした。日本の中国侵略を否認する安倍首相の改憲策動は日中関係にダメージを与えました。しかし、日中平和友好条約締結40周年の今年、中日両国のトップレベルの交流が盛んになっています。このような時期に皆さんが訪中されることは意義深いことです」と歓迎のあいさつを述べました。

そのご、10月に開催された中華全国総工会第17回全国代表大会について、①労働運動の時代的テーマを巡って、広大な労働者を団結させ、主人公として積極的に功績を立てる、②労働者の権益を擁護し、労働者にサービスする、③労働組合改革の3点にわたって説明がありました。(詳しくは別紙中華全国総工会第17回全国代表大会について参照

張茂華総工会書記処書記と記念写真、一番右が何際霞処長
張茂華総工会書記処書記(右から二番目)による歓迎夕食会

懇談会のあと、張茂華・中華全国総工会書記処書記が主催する歓迎夕食会が開かれました。

12日は、午前中、盧溝橋にある中国人民抗日戦争記念館を見学し、午後から高速鉄道(新幹線)で南京に移動しました。

<南京>

南京駅には江蘇省総工会弁公室副主任の高華さんが出迎えてくれました。

江蘇省総工会の歓迎夕食会が催され、朱勁鬆・江蘇省総工会党組書記・副主席、曹海・江蘇省総工会副巡視員が歓迎してくださいました。

朱勁鬆江蘇省総工会党組書記副主席から記念品を受け取る伊藤団長

13日は南京大虐殺犠牲者追悼国家公祭に参加しました。全国人民代表大会の王晨・常務委員会副委員長があいさつしました。午後は南京大虐殺遇難同胞記念館の本館を見学しました。夜は記念館で行われたキャンドル祭に参加しました。南京の小学生、中学生も参加し、宗教者の祈りなどがありました。今回の訪中団の秘書長を務めた藤村さんらが執筆した「東京満蒙開拓団」を江蘇省総工会と記念館に寄贈しました。

南京大虐殺死難者国家公祭の式場で
キャンドル祭(侵華日軍南京大虐殺遇難同胞記念館:祭場)

14日午前は、2015年12月にオープンした利済巷慰安所旧址陳列館を見学しました。中国各地の慰安所、日本、アジアの慰安所の資料が展示されており、日本軍の従軍慰安婦の実態がわかる陳列館です。午後は、明時代の城壁、中山陵、夫子廟を見学しました。

城壁から玄武湖を眺める(右:石晶晶さん、左:高華さん)
城壁からみた鶏鳴寺
392段の階段が続く中山陵

15日は、南京から上海まで高速鉄道を利用し、上海駅から浦東空港まで車で移動しました。浦東空港で昼食をとったあと、夕方の便で成田、中部、関空へと飛び立ちました。通訳として全行程を同行してくださった石晶晶さんには大変お世話になりました。

来年は、日中不再戦の誓いの碑を侵華日軍南京大虐殺遇難同胞記念館に建立して10年にあたります。8月に東北(旧満州)の訪問、12月に南京の訪問を計画しています。「お子さんを連れてきてもいいですよ」と言われました。学生の参加を含めて検討したいと思っています。

 写真:神部紅


<関連記事>

「中華全国総工会第17回全国代表大会について」何際霞(中国職工対外交流中心技術経済交流処処長)
「誓い」の碑を前にしてーー藤村 妙子 (東京南部全労協事務局長/東京の満蒙開拓団を知る会共同代表)

 

韓国大法院、三菱重工に元徴用工への損害賠償を命じる(11/30)

昨日、韓国大法院は、三菱重工に対し元徴用工へ損害賠償を支払うよう命じる
判決を下しました。10月30日に新日鉄住金にも同様の判決がありました。
安倍首相は、1965年の日韓請求権協定により「完全かつ最終的に解決した」問
題と述べ、マスコミも同様に韓国を非難する論調を続けています。しかし、韓国
大法院の判断は、日韓請求権協定によって外交保護権も被害者個人の賠償請求権
もいずれも消滅していないというものです。日本政府もいままで個人の損害賠償
権は消滅していないと述べてきました。
弁護士有志の声明が発表されています。また、中国新聞に在間秀和弁護士の記
事が掲載されています。添付します。

伊藤 彰信

外国人技能実習生が働く現場で何が起きているか?外国人技能実習生権利ネットワーク主催(11/11)

 衆議院で出入国管理法改正案の審議が11月13日から始まるのを前にして、「外
国人技能実習生の実態を知って!」と訴える集会が11月11日、東京で開かれ
た。外国人技能実習生権利ネットワークが、総会後の記念講演として開催した
「技能実習のリアル~いま、現場で何がおこっているのか」である。

外国人技能実習生権利ネットワーク共同代表・大脇雅子弁護士

はじめに同ネットワークの共同代表である大脇雅子弁護士(元国会議員)が
「送り出し機関での借金、日本の管理団体の搾取、まったく人道に反する扱いで
ある。公的な職業安定機関が労働者の権利が守られるよう紹介すべきで、12カ月
以上の外国人居住者を移住者として保護する国際ルールも知らない人がつくろう
とする制度は、技能実習生制度の問題を拡大するだけである」とあいさつし、改
正案を批判した。

そのご、クリーニング業界の外国人技能実習生の実態について鈴木和幸さん
(NPO法人クリーニング・カスタマーズサポート)、外国人技能実習生問題に長
年取り組んできたが講演し、さらに佐々木史郎さ
ん(全統一労働組合書記長)、土屋信三さん(スクラムユニオン・ひろしま委員
長)、指宿昭一弁護士が報告した。

甄凱さん(岐阜一般労働組合)

鈴木さんは、クリーニング業界が価格競争によって組織的に技能実習生を使う
ようになり、不正・不当な競争が拡大していった経過を報告した。甄凱さんは、
カンボジア、中国、ベトナムの実習生の事例について、早朝から深夜までの長時
間労働、残業代は時給300円、賃金未払、強制貯金、給与明細書や雇用契約書の
不提示、労働災害、うつ病による自殺未遂、さまざまな差別・いやがらせなどを
報告した。

佐々木さんは、岩手県の建設会社に雇用されたベトナム人技能実習生が福島県
で除染作業に従事させられた事件について報告した。土屋さんは、日立製作所笠
戸事業所(山口県)でフィリピン人技能実習生が、電気機器組み立てという実習
計画とは異なる新幹線車両に窓や排水パイプ、カーペットやトイレを取り付ける
作業しかしていなかったこと、法務省と外国人技能実習機構の調査により実習計
画違反を指摘され、99名の実習生が解雇された事件について報告した。解雇から
30日間の短期滞在許可期間の中で日立と団交を行い、残りの実習予定期間22か月
分の所定賃金の支払いを確認した。指宿弁護士は、茨城県の「協同組合つばさ」
で農業に従事していた中国人技能実習生の裁判で、残業代の支払いを命じた判決
があったが、日常的なセクハラ行為は認められなかった。控訴して争うと述べた。

最後に、移住連の鳥井一平代表理事が「報告された実態は氷山の一角。日本は、
研修生・実習生と称して人権を無視した単純労働、低賃金労働者を受け入れてき
た。いまや、外国人労働者なしに日本経済は回らない状況になっている。新たに
外国人を受け入れても、実習生制度の問題を解決するものでなく、問題を引き起
こす制度をさらにつくることに過ぎない。技能実習生制度を廃止し、人権と労働
権が保障された多民族多文化共生社会をつくろう」と発言した。

<報告と写真:伊藤 彰信>

明治150年」徹底批判! 侵略と植民地支配の歴史を直視し、アジアに平和をつくる国際シンポジウム(11/29)

「アジアと日本の連帯実行委員会」の主催で、来たる11月29日(木)と30日の
2日間、衆議院第1議員会館で「軍備拡大と改憲・戦争への道を許すな!「明治
150年」徹底批判!侵略と植民地支配の歴史を直視し、アジアに平和をつくる国
際シンポジウム」が開かれますので、ご案内します。(詳細は、添付のPDFチラ
シをご参照下さい)

軍備拡大と改憲・戦争への道を許すな!
「明治150年」徹底批判!
侵略と植民地支配の歴史を直視し、アジアに平和をつくる国際シンポジウム

11月29日(木)14時(開場13時30分)

会場:衆議院第1議員会館・B1・大会議室

総合司会:市来伴子 (杉並区議会議員)
主催者挨拶:藤田高景 (村山首相談話の会)
連帯のご挨拶 野党各党 、福山真劫・平和フォーラム共同代表

基調講演: 「明治150年」史観批判
―近現代日本の戦争・植民地支配と国民統制―
山田朗(明治大学教授)

※ 韓国・中国の戦争被害者の発言があります

11月30日(金)

▼午前:10時(開場9時40分)

会場:衆議院第1議員会館・B1・大会議室

●韓国・中国の侵略被害者の証言を聞く集い

▼午後:14時(開場13時30分)

会場:衆議院第1議員会館・B1・大会議室

総合司会:坂本洋子(ジャーナリスト)
◎基調講演①: 内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)
   サンフランシスコ講和体制を考える
  ―戦争裁判・賠償そして日米安保条約―
◎基調講演②: 田中宏(一橋大学名誉教授)
   継続する植民地主義と朝鮮学校差別
●韓国・中国からの発言
●総括発言:林郁(作家)

代表呼びかけ人
鎌田慧(ルポライター)、鎌倉孝夫(埼玉大学名誉教授)、田中宏(一橋大学名誉教授)、内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)、高嶋伸欣(琉球大学名誉教授)、鳥越俊太郎(ジャーナリスト)、山田朗(明治大学教授)、高野孟(インサイダー 編集長、ザ・ジャーナル主幹)、前田朗(東京造形大学教授)、藤田高景(村山首相談話の会・理事長)

消防法の関係で会場は300人定員です。定員になりしだい締め切りますので、恐縮ですが、大至急、下記のメールアドレスまで、出席申し込みをお願いいたします。

アジアと日本の連帯実行委員会
☆連絡先  E-mail : e43k12y@yahoo.co.jp
携帯 : 090-3163-3449

中華全国総工会第17期全国大会が閉幕(10/26)

中華全国総工会第17期全国大会が閉幕

安倍首相の訪中は、ちょうど中華全国総工会の第17回全国代表大会の開催期間中でした。
リンク先の紹介だけですが、以下経過です。

同大会は10月22日から26日までの期間、北京で開催されました。ご存じのように、総工会は文革中は活動停止を余儀なくされていましたが、改革開放で復活し、現在に至っています。
22日の開幕式には、習近平国家主席、李克強首相はじめ、党のトップである政治局常務委員7人全員が参加。
映像・画像報道(中国語

序列5位で「党の頭脳」と呼ばれる王滬寧が党中央と習近平総書記の委託を受けてスピーチしました。
王滬寧スピーチ(中国語)

王東明・総工会主席らもが各代表団の会議に積極的に参加し、党中央からのスピーチの意義を共有したという報道があります。
王東明・総工会主席ら大会の各会議に出席(中国語)

大会報告などはウェブでは確認できませんが(数日後にはUPされるか)、開催に先立って行われた記者会見では、前回の16回大会(2013年10月)からの5年間の成果や今大会の重点などが述べられています。また別の報道ではこの5年間の理論面での成果も報じられています。
記者会見(中国語)
  *五年来の成果(中国語、イラストあり)
  *理論面での成果(中国語)

安倍首相と会見し、第三国での共同投資や日中間の交流拡大を話した李克強首相は、前回16回大会で大きく報じられた「リーコノミクス経済講義」と同じく、今17回大会でも経済情勢に関する報告を行っていますが、報じられかたは前回のときよりも抑制されている感じで、まだ全文の報告はウェブでは確認できません(全文は掲載されないかも)。李首相の経済報告については、今年9月に大連で行われた「夏季ダボス会議」で、世界中のエスタブリッシュメントに向けて経済情勢を報告しており、そちらのほうは全文が公表されていますが、米中貿易戦争がいっそう深まる最中で、労働者に向けてどのような経済報告がなされたか、気になるところではあります。

中華全国総工会第17期全国大会が閉幕

17回大会での李首相報告の概要(2018/10/24中国語)
*李首相の16回大会での経済講義1~3(2013/10/21中国語)
http://cpc.people.com.cn/n/2013/1104/c64094-23421964.html
http://cpc.people.com.cn/n/2013/1104/c64094-23421964-2.html
http://cpc.people.com.cn/n/2013/1104/c64094-23421964-3.html
夏季ダボス会議(2018/9/19)でのスピーチ(中国語)
(英文)https://www.en84.com/jh/5861.html

10月25日には、新執行部が選出され、王東明氏が主席に、李玉賦氏が第一書記に再選されました。
同日、全国総工会と国の住宅都市建設部が共同で全国の街頭清掃工を慰問する呼びかけを発しています。

全国の街頭清掃労働者を慰問する呼びかけ(中国語)

そして、10月26日午前、17回大会は習近平総書記と党中央の呼びかけに応えようと訴えて、閉幕しました。

17回大会閉幕(中国語)


10/22-26の日程で開かれていた中華全国総工会第17回代表大会ですが、追加で中国語の資料がウェブに公開されていました。

・大会での報告(王東明主席 10/22)

・閉幕の挨拶(李玉賦第一書記 10/26)

・規約改正に関する決議(10/26)

・改正された規約

・規約改正についての記者会見

日中友好労働者シンポジウムに参加して(野島聡子)

日中平和友好条約締結40周年を記念して北京で行われた、「日中友好労働者シンポジウム」に初めて参加した。「日中友好労働者シンポジウム」も「中国職工対外交流センター」も「日中労働者交流協会」も初めて耳にする言葉ばかりであった。

今回の訪中は、いつもお世話になっているマエダさんから声をかけていただいたことからはじまる。中国の労働組合はおろか、日本の組合組織図なども正確に理解していないのに大丈夫かな…という不安もありながら……しかし、盧溝橋事件の記念館に行きたいためにはりきって参加。

親しくなった唐さん(総工会)と共に、野島聡子

中国人にとって日本や日本人についてリアルな声が聞けたら

わたしの中国のイメージは、厳かな漢詩の世界、またそこから見える圧倒的な力強さを持つ大自然、ラストエンペラー、パンダ…。中国共産党を頂点にまだ言論の自由がないと言われるなか、目覚ましい経済発展を遂げ人々は実に多様に生きているように見えた。テレビで見るニュースやドキュメンタリー番組を通し、行ったことのない中国という国や、親しくなったことのない中国の人を想った。 続きを読む 日中友好労働者シンポジウムに参加して(野島聡子)

中華人民共和国成立69周年および中日平和友好条約締結40周年―国慶節を祝う(9/27)

程永華駐日中国大使
ホテルニューオータニで開かれた祝賀宴は盛会

 中華人民共和国成立69周年および中日平和友好条約締結40周年の祝賀宴が、9
月27日、東京のホテルニューオータニで開かれました。日中労働者交流協会を代
表して参加してきました。
程永華駐日中国大使は、「今年5月には久方ぶりに春らしさを迎えた。チャン
スを逃さず、中日間の4つの政治文書および四つの原則的共通認識を固く守り、
中日関係が確実に安定の中で前進・発展することを希望する」とあいさつしまし
た。
昨年は、日中共同声明45周年ということもあって、安倍首相、河野外務大臣
が出席し、あいさつがありましたが、今年は国連総会に出席のため不在。林文科
大臣(日中議連会長)、中根外務副大臣があいさつし、福田元総理が乾杯の音頭
をとりました。
祝賀宴は、相変わらずの盛会で、参加者は約2000人。知り合いの中国大使館員
とあいさつしたが、労働組合関係者は誰もいないし、知っている国会議員も来て
いなかったので、食べることに集中。北京ダック、羊の火鍋、羊のリブなどを食
し、「日中友好労働者シンポジウム」でごちそうになったことを思い出していま
した。ワインもおいしいかったですよ。

伊藤彰信(日中労働情報フォーラム・代表)

日中友好労働者シンポジウム報告書

歴史を銘記し、未来に目を向け、

友好交流を促進しよう

日中友好労働者シンポジウム報告書

と き 2018年8月28日
ところ 日壇賓館(北京市)
 主催=日中労働者交流協会・中国職工対外交流センター

報告書の発行にあたって

伊藤彰信(日中労働者交流協会会長)

 このたび「日中友好労働者シンポジウム」を日中労働者交流協会と中国職工対外交流センターとの共催により北京で開催しました。シンポジウムのスローガンは「歴史を銘記し、未来に目を向け、友好交流を促進しよう」であり、回顧、現状、展望とテーマを分けて日中双方が報告し合う形でシンポジウムを行いました。

日中労働者交流協会にとってこのようなシンポジウムを開催することは初めてのことです。昨年12月に南京大虐殺犠牲者追悼国家公祭に参加する際に北京を訪れ、中国職工対外交流センターの彭勇秘書長からシンポジウムを開こうと提案を受けた時は、開催出来るかどうか自信がありませんでしたが、日中平和友好条約締結40周年にあたる今年に開催する意義は大きいと判断してシンポジウムの開催に向けて努力してきました。

4月の南北首脳会談、6月の米朝首脳会談によって、朝鮮戦争の終結と朝鮮半島における恒久的で強固な平和体制の構築、朝鮮半島の完全な非核化を確認されました。平和五原則と反覇権を謳った日中平和友好条約の意義を改めて確認できると思います。また、日中関係は新段階へステップアップし、新技術の日中協力が進むと思います。AIなど技術革新による「第4次産業革命」といわれる時代は、労働者の雇用と働き方をどのように変えていくのか、そのなかで労働者の権益を守るにはどうすればよいのかということも、これからの日中労働者の交流の重要な課題となるでしょう。

今回の参加者は、地方でユニオン運動を担っている人が多くなりました。シンポジウムでは、連合の路線とは異なる平和運動、労働運動を闘い、中国脅威論を掲げる安倍政権を打倒しようと活動している労働者がいることを強調することができたと思います。また、日本側の発表についても日本側参加者にとって参考になることがありました。

シンポジウムでは討論時間がなくなり十分に「研討」することができませんでしたが、初めてのシンポジウムとしては大成功だと思います。日中労交の活動の過去、現在、未来を語ったことは、日中労交としても今後の日中労働者の友好と交流をすすめる上で新たな出発点になりました。シンポジウムの記録を残しておくことは重要なことだと考え、この報告書を発行することにしました。

日本側の報告については、発言原稿にパワーポイントの図表・写真を組み込んでまとめました。中国側の報告については、シンポジウムで配布された発言要旨を日本側の責任でまとめました。

ウェブ上で公開する報告書になりましたが、訪中の報告・感想なども参照していただき、さらなる、日中両国の労働者の友好と交流に役立てていただければ幸いです。

2018年9月29日(日中共同声明46周年の日に)


 プログラム

*各報告の見出し(ゴチック体・下線)をクリックすれば、報告本文(PDF)が開きます。

 開会あいさつ

江広平(中華全国総工会副主席、書記処書記)

伊藤彰信(日中労働者交流協会会長)

 テーマⅠ 回顧:日中民間交流の歴史

日中労働者交流協会と中華全国総工会の交流の歴史及び活動
(日本)伊藤彰信

中日民間交流を強化することが両国関係の改善に役立つ意義
(中国)文 徳盛

日本人の歴史観及び日本から見た中国
(日本)大城 航

友好往来を促進し、交流を深めよう
(中国)周 利民

 テーマⅡ 現状:中日労働者の重要な活動

中国労働組合の概況と主な取り組み
(中国)李 睿褘

日本労働組合の主な活動
(日本)広岡法浄

職人精神の育成に大いに力を入れ、労働者・
職員の資質を全面的に向上させる
(中国)彭芸

日本社会の現状と労働運動の役割
(日本)春川広司

労働模範の精神に学び、労働模範の手本と引率の役割を果たす
(中国)陳 伶浪

 テーマⅢ 展望:新時代における中日両国労働者の交流と協力の強化

新しい業態における働き方の変化と労働者保護
(日本)千葉雄也

新業態における道路貨物運輸産業の労働組合活動の革新
(中国)劉 路剛

有期ローテーション外国人労働者の権利保護護
(日本)甄 凱

中国科学技術交流センターが日本と交流と協力する概要
(中国)劉 暁燕

 総 括

日中労働者の交流と協力を深めようー展望と提案
(日本)伊藤彰信

中日友好労働者シンポジウムにおけるまとめの発言
(中国)彭 勇


参加者

日本側(15名)

1 伊藤彰信(日中労働者交流協会会長)
2  広岡法浄(三重一般労働組合書記長)
3  千葉雄也(労働運動研究討論集会実行委員会事務局員)
4  平安隆雄(国立木更津工業高等専門学校名誉教授)
5  保田 泉(地域労組愛知ユニオン委員長)
6  門永三枝子(神戸ワーカーズユニオン組合員)
7  前田純一(さかいユニオン執行委員)
8  春川広司(おきたまユニオン書記次長)
9  甄 凱(岐阜一般労働組合第二外国人支部支部長)
10 川中 厚(中国残留日本人孤児を支援する兵庫の会会員)
11 岡崎彩子(憲法を生かす会・ひょうごネット会員)
12 大城 航(沖縄県高教組那覇支部書記)
13 水摩雪絵(葛飾区議会議員)
14 木村匠吾(自治労山形県本部執行委員)
15 野島聡子(全国保険医団体連合会事務局員)

中国側(23名)

1  彭 勇(中国職工対外交流センター秘書長)
2  徐 璐(中国職工対外交流センター副秘書長)
3  文徳盛(中国国際交流協会参事官)
4  彭 芸(中華全国総工会宣伝教育部職工教育処処長)
5  李睿褘(中華全国総工会研究室理論処処長)
6  陳伶浪(中華全国総工会労働と経済工作部労働模範管理処処長)
7  張 偉(中華全国総工会女性労働者部総務処処長)
8  周利民(中国教育科学文化衛生体育工会弁公室主任)
9  劉路剛(中国海員建設工会弁公室主任)
10 劉暁燕(中国科学技術交流センター副研究員)
11 劉元文(中国労働関係学院工会学院副院長)
12 何際霞(中国職工対外交流センター国際連絡処処長)
13 王国卿(中国職工対外交流センター弁公室副主任)
14 宋秀菊(中国職工対外交流センター技術交流処副訳審)
15 満慶生(中国職工対外交流センター技術交流処副訳審)
16 李晶宇(中国職工対外交流センター技術交流処副処長)
17 李明亮(中国職工対外交流センター技術交流処講師)
18 冀永宏(中国職工対外交流センター台湾・香港・マカオ処幹部)
19 石晶晶(中国職工対外交流センター技術交流処幹部)
20 曹英超(中国職工対外交流センター国際連絡処幹部)
21 唐昭羽(中国職工対外交流センター弁公室幹部)
22 彭文卓(工人日報記者)
23 王 鑫(中工ネット記者)

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日中友好労働者シンポジウムに参加して

岡崎彩子

故宮前の集合写真

日中平和友好条約締結40周年を記念して、8月28日、北京で「日中友好労働者シンポジウム」が中国職工対外交流センター(中国における唯一のナショナルセンターである中華全国総工会の対外交流部門)と日中労働者交流協会の共催で開かれた。訪中団は8月27~31日まで北京を訪問しシンポジウムに参加するとともに、人民網(人民日報のインターネット版)、京東グループ(電子商取引大手)などの職場見学、さらに抗日戦争記念館などを見学した。訪中団は15人(内、兵庫からは3人)。

中国の労働組合は役割が日本と根本的に違う(当局の指導の下に活動する)と聞き、どのように交流するのか不安もあったが、せっかくの機会、しっかり見てこようと参加した。

中国中央テレビ局のビル、後ろは北京で一番高いビル

初めて見た北京は、経済発展の最先端。官庁や企業本社など超高層ビルがどこまでも広がり、おびただしい車の渋滞で、あのセグウェイで移動する人の姿もあった。ハイブランドや、ユニクロなどのファストファッションの店、映画館やレストランが並び、日本でよく見る“再開発されどこも同じ街の風景”だった。準備していたスマホ決済が役立つ場面に遭遇し、噂に聞いていたキャッシュレス社会を実感した。

職場訪問した人民網は、平均年齢32才、みなラフな格好で、圧倒的に女性が多い。中国では大学で外国語を専攻する9割が女性で、外国語を扱うこの分野も必然的にそうなるとのことだった。一方、中国での女性の社会進出については、公務員以外、ほとんどの女性は採用過程で有期雇用しか選ぶことができず、最近は専業主婦願望者が増えていると聞き、想像と違い残念に思った。

女性たちの日中団結(北京空港)前列が岡崎さん

シンポジウムは、中国側の報告では“模範労働者の育成”や“経済の発展”という言葉が多く使われ、違和感も感じたが、ITやAIの導入が急激に進む社会で、雇用関係のない働き方が増え競争にさらされていること、AIに仕事が奪われることなど、直面する共通課題に取り組んでいることも知った。日本側は、沖縄の歴史の研究活動を行う大城航さん(沖縄県高教組)や、岐阜一般労組の専従として外国人研修生の問題に取り組む甄凱(ケンカイ)さんらが報告した。

私たちが見た中国はごく一部だが、中華全国総工会は今年秋、5年に一度の全国大会を開催し、大きな改革に取り組むことが報告されるなど、常に変化する中国を感じさせられた。

(憲法を生かす会・ひょうごネット会員)


広岡法浄

夜中に目が覚めて眠れない。肩がコリコリに凝っていたのだ。日中労働者交流協会の訪中団に誘われ、慣れないネクタイを締めて日中友好労働者シンポジウムに出席し、日本労働組合の主な活動と題してユニオン運動を紹介する発表を行い、さらに、シンポジウム終了後の中国職工対外交流中心主催の歓迎宴会に中華全国総工会副主席でILO理事でもある江広平氏の隣に副団長として座って話をするという大任をこなしたのだ。その後も、行くところ行くところネクタイを締めての訪問だ。明日で最後、そのまま眠ることなく朝を迎えた。

思えば、団長の伊藤氏にメールで副団長を引き受けるよう要請された時点で、気がつくべきであった。隣に座っているだけで何もしなくていい、形だけだからという、甘い言葉に惑わされて引き受けてしまった私が浅はかであった。常識で考えて、そんなことで済まされるはずはないのだ。騙された私がバカだった。肩が凝らないわけはないのだ。しかし、それ以外は、極めて順調に推移した。

歓迎宴で江広平副主席と握手する広岡さん

中華全国総工会といえば3億300万人の労働者の組織、すなわち労働組合の総本部だ。我々ユニオンみえは700人、約50万倍の組合員を抱える組織だ。コミュニティユニオン全体との比率でも約2万倍だ。組織の大きさではまさにアリと象の関係になる。こんな組織どうしがシンポジウムを開催しどうなるのか、という疑問はある。しかし、中国側はこんな小さな組織でもきちんと一人前に扱ってくれ、微に入り細に入りの歓迎をしてくれた。決して奢るような素振りもなく、接していただいた。

総工会は10月に大会を開くという。そこで四つの「化」を取り除く方針が決定される予定だとのことであった。四つのうちの一つが「娯楽」という。これまでの総工会各組織の予算は文化やスポーツに関わる行事に費やされ、活動の中心もその分野であったところを改め、労働者の権利を守る活動に移行するとのことであった。次の一つが「貴族」だ。幹部の中の特権貴族のような振る舞いをなくし、一般の労働者の中に入り、労働者の声に耳を傾けるのだという。三つ目が「行政」だ。行政のごとく、上から命令し、指示を出すような対応をなくすのだという。四つ目が「官庁」だ。幹部は公務員ではない。組合員から選ばれた幹部であり、労働者の中に入って活動するようにする、ということであった。

習近平主席になってからの改革の一環でもあるようだ。かつて、日本の連合が中坊公平弁護士らに要請し、連合評価委員会が立ち上げられ、2003年9月に「連合の労働運動のあり方についての提言」が出されたことを思い出した。15年前の話になる。今やあの提言はオクラ入りし、連合の中にそんな提言があったことは忘れ去られたようになっている。企業別組合主義からの脱却や非正規雇用労働者への均等待遇実現などを謳ったものだ。一方の総工会。現状がどうなっているかわからないが何となく想像はつき、言われていることはもっともで、実現すれば、良い方向に向かうと思う。上が決めたことは従うということを無くすという、自己矛盾とも思える方針ではあるが、下からの要求があっての方針決定になると思うので、良いことだ。大いに期待したい。

日本軍の中国人捕虜刺殺場面(抗日戦争記念館)

シンポの次の日に、抗日戦争記念館を訪れた。日本軍の蛮行を各時代に分けて展示していた。日中友好は過去を忘れて未来志向で、とはならないと思う。なぜ、日本は明治以降、かくも中国の民衆に酷い扱いをし、残虐になれたのか、そのことの分析・総括・反省がなされていないと思う。敗戦後、アメリカがソ連に対抗するために、占領政策の中でそのことを曖昧にし、日本の民衆も戦争を被害者意識の中でしか捉えられず、平和運動もしかりであった。その結果、安倍政権の登壇を許し、安倍政権は日本を戦争のできる国に作り直そうとしている。今、明治150年として、明治政権が誕生したことを肯定的に捉え、日本が明治以降行ってきた戦争を美化する動きが強まっている。私はここで、明治政権とオウム真理教との比較を行い、明治政権とカルト教団・オウム真理教との類似性を考えていきたい。

麻原も天皇もただの人なのに神格化され、絶対的存在としてその権力の及ぶ範囲の中では崇められ、これに反対するものは排除されるだけではなく、殺す対象として扱われ、殺す側は何の疑問も抱かない。記念館で「百人斬り競争」の記事を知っているかと問われた。日中戦争のさなか、野田毅・向井敏明両少尉が中国の民衆を含む中国人の首をはねる競争を行い、どちらが先に100人斬りを果たすか競争し、それが日本国内でも報道され、両少尉が英雄扱いされていたという。オウム真理教の中でも当時1歳の子供も含む坂本弁護士一家殺害事件について、オウムに反対するものを殺すのが当然視され、実行犯は英雄視されていたのだろう。同じことだ。ただ、違うのは、オウムの連中は捕らえられ、死刑にされたということだ。ちなみに、野田毅・向井敏明両少尉もGHQに捉えられ、南京軍事法廷において「連続して捕虜及び非戦闘員を虐殺した罪」にて死刑となっている。

一方、神と崇められた天皇裕仁はソ連との対抗上、人間宣言をすることで生きながらえることを許され、日本人のマインドコントロールは中途半端なままとなり、現在に至り、天皇を崇めアジアを蔑視する在日特権を許さない市民の会をはじめとする勢力の台頭を許している。この事態を踏まえ、中国をはじめとするアジア諸国との平和と友好を築くために何が必要で、私に何ができるか。同行した沖縄の青年の提起「被害の歴史、加害の歴史に加え、抵抗の歴史をきちんと教えること」がヒントになる。歴史を学び、それを元に活動することだ。

近代日本の中国侵略経過図(抗日戦争記念館)

前述の江広平氏が「万引き家族の映画を見てきた」と言っていた。日本で活躍している親戚のことも聞いた。人と人の親しい関係を築き、歴史を踏まえての友好を進めていきたい。また、日本における中国人実習生をはじめ、外国人労働者の権利を守る取り組みをさらに強化したい。それが真に日中友好に寄与することだ。実習生問題解決に向けた中国におけるきっかけもできたように思う。活かしていきたい。

(三重一般労働組合書記長)


前田純一

北京訪問の感性的印象:中国は急速に成長し発展しつつある若い国だ。人にたとえるならば、ついこの前まではやんちゃな小学生だったお隣りの知り合いが、今やエリート大学生になって、今後とも成長しつづける勢い。年老いたこちらをはるかに凌駕してまばゆい限りといった感じ。

すさまじいモータリゼーション、日本国内の6倍を超え、なおかつ伸び続ける自動車販売台数。新車の半数はEV車が義務付けられている。世界のEV保有台数の4割を中国が既に占めている。

夏ということもあり空は晴れわたっていたが、大気汚染は急速に改善されつつあるという。石炭ストーブが禁止され、工場の排出も規制が進み、次の冬には劇的な改善が進むと言われている。この辺りは強力な政府のなせる技。

レンタサイクル

北京の大規模なレンタサイクルは、乱立していた業者が競争で淘汰され、ほぼ3社に。レンタサイクルの先発、ロンドンやバルセロナよりはるかに進んでいる。ステーションでスマホ決済して借り、大通り沿いの歩道に乗り捨てる。通りに乗り捨てられた自転車を業者が回収して回っているのも目にした。ほとんどの通りの両端は二輪車専用道が設けられている。でも交差点は相当危険そう。電動自転車も多い。ただ、バイク含めヘルメット着用はほぼ皆無なのは心配。

安価な商品は、どんな重砲隊も打ち壊せなった万里の長城をも打ち壊し、どの地域の住民であろうと容赦なく単一の世界市場に引きずりこむ。山形であろうと、大阪であろうと、那覇であろうと、北京であろうと、似通った巨大ショッピングモールが出来上がり、その陳列棚には世界中の商品が並べられる。そこから一歩出て見渡す風景は、ここはどこの都市だろう、ロンドン?ニューヨーク?東京?北京? モノトーンのコピーのような都市風景が目の前に現れる。

シンポジウムでは、中国側の発表もさることながら、日本側の報告に大いに学ばされた。

有期ローテーション外国人労働者の組織化を進めている甄凱(けん・かい)氏(岐阜一般労働組合第2外国人支部支部長)による、リアルな外国人労働者に対する使い捨ての実態と、ユニオンショップ方式導入やシェルター作りの努力のレポートには頭が下がる思い。日本は実際には今や世界第4の「外国人労働者『移民』大国」。去年の政府発表で128万人、前年比20万人増。ブラック留学生ビジネスも横行し、日本語学校は5年で200校増の643校にのぼる。

沖縄歴史教育研究会・大城航氏(沖縄高教組那覇支部)の優れた報告にも学ばされた。日本から差別され被害を受けると同時に、台湾先住民を差別し、中国侵略に熱狂したという加害者としての沖縄人の複合的構造、沖縄の若い世代の歴史認識の欠如等について。

シンポに先立つ中華全国総工会への表敬訪問で語られた中国労組の「4つの『化』」。

娯楽化:労働者の要求を組織することより、娯楽が中心になっている。

貴族化:一般労働者が組合役員になれていない。

行政化:命令や指令で動かそうとしている。

官庁化:幹部が9時~5時勤務で労働者との接触ができていない。

これはそのまま日本のほとんどの労組に当てはまる話し。

人民日報ネット版=1997年開設の「人民網」見学。平均32歳のスタッフ2600名余りが働く。中国の今風の職場を垣間見る。テレビ局並みのスタジオ。ラフな服装でそれぞれがノーパソに向かっている。見学後、日本語版スタッフ(総勢は13名)と交流。海外セクションに女性スタッフが圧倒的に多い原因は、中国の外国語学部の学生は9割が女性となっていること。中国では、1980年代生まれと豊かな中国を経験した90年代生まれのジェネレーションギャップが激しいとも。豊かさを享受して成年になる層が社会の中堅層になる時、中国の特色ある社会主義はどう変化するのだろうか。

京東グループビルの顔認証画面を見る前田さん(右)

百度(バイドゥ)、アリババ、ティーセント、京東(ジンドン)のBATJ=中国4大企業集団 の一つ、京東集団本社を訪問。ネット物流、金融を手がける巨大企業。無人コンビニ、顔認証、注文から1時間以内の配達、スマホ決済で着払い受取、無人配送センター等々を見る。後発発展国が先発国を技術的に乗り越える歴史を目の当たりに。この技術が日本では大量の雇用崩壊をもたらすだろう。

(さかいユニオン執行委員)


保田 泉

印象に残った事を箇条書きに記します。自分にとっては、3回目の訪中です。前の2回は、普通の観光地ツアーでの参加だったので、北京では有名どころで、故宮と万里の長城、市内のお墓や寺などを見て回るだけで、中国の人と交流する機会はなかった。

今回の街の風景・歩いている人の服装・デパート

北京市内では、個人の建物がほとんど皆無と言っていいほどの、高層マンション、オフイス街・デパートという感じの建物が続く感じで。以前来た時は、どんよりした街の空気を感じましたが、今回は空の雲も日本の空に浮かぶ雲と何ら変わらない感じでした。

車の数も半端ではなく、国産から、韓国車、日本車、欧州車など、多種の車が走っている。また、デパートでも、レストランでも、日本に来ている中国人の印象が、大声を出して買い物をするという印象があるのだが、静かな雰囲気がそこにあった。女性のファッションも、東京を歩くのと何ら違わない感じで。街は、日本の様に広告が林立するようなけばけばしさはないので、建物だけが目立ち、靜かな感じがする。公共の標識も漢字表示なので、何となく表示している内容がわかる感じがした。

中国職工対外交流センターとのシンポジウム
シンポジウムで司会を務める保田さん

中国側の話しは、労働者の権益を守るという立場で、組織をして、運営をしているという話だった。対外交流センターに表敬訪問した時には、自分たちが抱えている、四つの課題を話された。そこには、日本の労働者の幹部の状態に通じる物があり、親しみを覚えた面はありました。そういう点では、立っている地点は同じような感じを受けたが、いざ報告や資料では、多くが生産性を高めるために、模範労働者を作り出すという話しに代表されるように、生産性を高めると言うことが強調されていた。自分たちは生産性を上げるために、QC活動や長時間労働を強いられているので、このあたりの問題意識は、わかりづらいなと言うのが率直な感想です。

ただ交通労働者の組織化で、労働強化の話が出ていたのは、現場に近い人だから、そういう話が出るのかなと思って、聞いていた。通訳の人と感想の突き合わせが少し出来たが、中国側の人がどう感じたのかが判らない。

歴史の面では、日中の友好は中国側から始まっていると。なぜこの100年近く、日本は中国と仲良くしようという意識が薄いのかと考えさせられた。

見学
抗日戦争記念館で説明を聞く保田さん(右から2人目)

人民日報社、無人コンビニ、故宮・故宮博物館、盧溝橋抗日記念館など、見て回った。中国にとっては、日中戦争は大きな歴史的な出来事で、抗日記念館では中国共産党の指導の下に解放が進んだという展示になっていた。日本の歴史教科書が、中国侵略の歴史を消そうとしていると展示があり、また先の戦争で、中国戦線で日本軍は大敗をしているという事実は、日本国内では教えられていない。しかし現実には、中国大陸では押し返されている。日本でよく知られて居る、周恩来はほとんど展示には出てこない。

人民日報社では、日本人スタッフの多くが女性だったのには、驚いた。それも若い人で。自分の常識に、人民日報といわば、中国共産党の機関紙として知られており、それがかなり、オープンな形で情報を発信しているのには、驚いた。文系に進むのは女性が多く、また女性は会話が上手なので、情報を得るのに、適していると。なるほどと。

通訳している人が、日本語が上手なので、上手ですねと声をかけたら、日本人ですと。もう中国に20年住んでいますと言われたのには、驚いた。

中国でも活字離れが進んでいて、記事を読んでもらうのは苦労が多いので、ネットで発信していると。

交流のために

とにかく、3人の通訳の方には、食事からホテルの世話まで非常に世話になりました。通訳の石さんは、子供も小さく、4日間、ホテルに私たちと一緒に泊まり込みで世話をされたので、大変だったと思う。

彼女が、何気ない会話で、日本から来る労働組合の方が、中国の歴史問題になると、話題を避ける雰囲気を感じ、悲しくなると言う話しには、共感する物があった。その点、この団は、素直な交流になって、勉強になったと。

中国脅威論は、中国という国を知らない面と、アジア蔑視の日本の考え方から出ている面があり、中国の軍事とか拡大政策とかが、意図的にそういうニュースが流してきている面があると感じる。中国の文化の記事が日本では、殆ど散見できない。

民間の交流の積み重ねが、平和を作る力になると改めて感じた。

(地域労組愛知ユニオン委員長)