盧溝橋事件80年を迎えた今年の7月7日は日本の侵略を反省し、中国民衆に謝罪する行事が国家=政府によって何も行われない中で、市民たちの手で多彩な行事が開かれた。その一つの行事、7月8日(土)午後3時から国会正門前の道路で開かれた「日中戦争80年 国会前市民集会」に参加した。前日夜も同じ日中戦争80年市民フォーラムが主催する参議院会館前と国会正門前集会が開かれ、延べ300名が参加した。この日の東京の気温は35度を超える猛暑であったが、およそ50名の市民が参加した。最初の呼びかけた日中戦争80年市民フォーラムの植松青児さんが集まりの目的を以下の集会宣言を朗読した。
「私たちの立つこの場所、この一帯は、かつて侵略行為の中枢であった陸軍省と陸軍参謀本部があった場所です。80年前、正確にはそれ以前から大日本帝国の軍隊は、中国をはじめアジア太平洋地域の広範な地域に侵略し、多くの人の声明を奪い、多くの人の暮らしと人生を踏みにじりました。<中略> 私たちは、7月7日という日を、二度と同じ過ちを繰り返さないと誓う日、不戦の誓いの日、この国が本当に『二度と戦争をしない国』に生まれ変われたのか、大日本帝国を本当に『終わらせる』ことができたのか、自らの足もとを問い直す日にしていくつもりです」。
ゲストなしの集会は、参加者の発言に移った。大谷猛夫さんは、日中戦争15年の間日本軍が毎日平均3,000人の中国人を殺した。また、日本軍の捨てた毒ガスの被害が中国人に続いている。そして、現在靖国神社では新たな戦死者を祀るために駐車場を更地にして新たな戦死者を迎える準備をしている」と告発した。埼玉の高校教師に男性は、「歴史を教えているが、県教委が新たに採用した教科書で満州事変や盧溝橋事件の記述がで消された。私たちは生徒たちに正しい日本の歴史を伝えていかねばならない」と訴えた。
神奈川から来た女性は「1967年生まれの私は戦争を体験していない。体験しない戦争、加害者としての戦争を伝えて行かねばならない」と語った。また、別の女性は安倍政権の下で戦争準備が進み、自由な表現ができない世の中で発言することが大事だと語った。男性の教師は、ドイツを旅行した時に若い人にアウシュビッツ収容所とナチス政権の成立のことを教えているいるのを知って驚いた。日本でも若い人に侵略の場所、朝鮮や中国の戦争被害博物館に連れて学ばせることは大事と語った。さらに、宮古島の出身の若い男性は、安倍政権が南西諸島で自衛隊の部隊配備進めているが、こうした日本の軍備拡大は中国には脅威を与えていると思うと話した。
集会の最後に「この場所(議事堂前公園)が壊されて、国立公文書館が建設される計画がある。その中に戦争加害の記録を保管する区域も作らせたい」と報告。そして、すべての戦争を始めた日に「不戦の誓い」の集会を重ねて行こうと提起され、参加者全員が拍手して確認した。
高幣真公(レイバーネット国際部・日中労働情報フォーラム会員)