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差別排外主義を煽る社会を断つ―関東大震災97周年中国人受難者追悼集会

関東大震災97周年中国人受難者追悼集会(9月6日、江東区東大島文化センター)
関東大震災97周年中国人受難者追悼集会(9月6日、江東区東大島文化センター)

「関東大震災97周年中国人受難者追悼集会」が9月6日、江東区東大島文化センターで開かれました。主催は関東大震災中国人受難者を追悼する会です。今年はコロナ対策のため、参加者を40名に制限したため、参加をお断りした人がかなりいたそうです。また、例年、中国からご遺族の方が参加していましたが、今年は実現しませんでした。張玉彪(南京芸術学院教授)さんが描いた「東瀛大屠殺」(関東大震災中国人虐殺の図)が披露されました。

主催者を代表して田中宏があいさつのあと、中国人遺族からのメッセージが紹介されました。日本政府が、虐殺の事実を認め、謝罪し、賠償すること、紀念館の建設と教科書に記載することを要求しています。来賓として、地元の中村まさ子江東区議会議員があいさつしました。参加者が献花をし、追悼式は終了しました。

そのご、中国人虐殺を考える集いが開かれました。開会のあいさつに立った林伯耀さんは、関東大震災後、伯父さんが身の危険を感じ、親戚一同が警察に保護を求め、習志野の収容所にいたことを話しました。

張玉彪(南京芸術学院教授)さんが描いた「東瀛大屠殺」(関東大震災中国人虐殺の図)
張玉彪(南京芸術学院教授)さんが描いた「東瀛大屠殺」(関東大震災中国人虐殺の図)

事務局の木野村間一郎さんが「政府が扇動する排外主義とヘイト」と題して問題提起をしました。今、コロナで危機管理が問われ、自粛警察、感染者やその家族などへの差別が問題になっている。関東大震災の際、朝鮮人・中国人を虐殺したのは、流言飛語に踊らされた日本人民衆であるといわれている。それは、差別意識が社会的に蔓延していたこと、その差別意識が虐殺に至らしめる社会構造が存在していたことが問題である。戒厳令、自警団の組織化、軍による情報操作が虐殺をもたらした疑う余地はない。当時、軍は総力戦を戦えるよう民衆を治安管理に動員する意図をもって、在郷軍人会、警察、町会、青年団などの組織化をすすめていた。後方を固めなければ、前方で戦闘はできないのである。米騒動や大正デモクラシーの人権意識、民衆運動の高まりが、関東大震災を契機に治安維持法、軍国主義の流れになり、社会運動、労働運動が弾圧され、南京大虐殺につながる侵略の道になる。コロナ対策では政府の言う通りみんなが自粛した。支配権力への同調や強権的政治への願望の意識が、排外主義的差別意識と同様に恐ろしい。木野村さんの話は、関東大震災をとおして、コロナ時代の危機管理体制のあり方を問う内容でした。

閉会のあいさつを内海愛子さんが行い「追悼式を行い、私たちの問題意識を積み上げ、それをいかに若い人に繋いでいくことが課題です」と訴えました。

(報告・写真:伊藤彰信)