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「中国人強制連行フォーラムin大館」の新聞報道

 6月29日は、「中国人強制連行フォーラムin大館」に参加しました。翌30日は、
大館市主催の中国人殉難者慰霊式に参列し、その後、フィールドワークに参加し
ました。3年ぶりに県外からの参加者を迎え入れての開催でした。
 日中労交としては、初めての参加でしたが、非常に勉強になった2日間でした。
参加者から、報告と感想が寄せられると思います。私は、地元の秋田県北部の新
聞である「北鹿新聞(ほくろくしんぶん)」の切り抜きを添付して、先ず、雰囲
気を伝えます。
 大館の報告会は、7月23日(土)19時30分からの日中友好カフェで行います。
伊藤 彰信

慰霊を続けることが同じ過ちをしない誓いとなる  ー花岡慰霊(2022.6.30)の旅に参加してー

藤村 妙子 日中労交事務局長

花岡フォーラム 池田さんと実行委員の方

 日中労交は、6月29日~30日秋田県大館市で開催された1945年6月30日にあった花岡鉱山鹿島組において働かされていた中国人労働者が蜂起した「花岡事件」犠牲者の慰霊式に参加した。日中労交からの参加者は東京から3名、小名浜から2名だった。
「花岡事件」とは、戦争末期日本は鉱物資源の採掘、生産のため足りなくなった労働力を補うため中国から捕虜や農民などを強制連行し鉱山などで働かせた。この一つが現在の秋田県大館市花岡鉱山鹿島組の現場である。ここでは、最盛期986人(別に来日までに死亡者7人)が使役され、粗末な食事と過酷な労働のなか酷使された。中国人労働者達は、座して死を待つより闘おうと1945年6月30日深夜に蜂起した。しかし、翌日から行われた山狩りで検挙され、共楽館前の広場に集められ3日3晩食事も水も与えられずに置かれ、中心人物とみなされた人たちは過酷な拷問にあった。蜂起までに130名が死亡しており、蜂起後7月~敗戦までに116人、敗戦後166人合計419人が死亡している。

6月29日フォーラムと交流会 
「歴史に学ぶ」という事は、現実を直視することでもある

 地元をはじめ全国各地から集まった人たちは、まず大館市労働福祉会館「2022.6.30現地実行委員会」主催で開かれた「中国人強制連行 フォーラムin大館」参加した。まず、川田繁幸現地実行委した員長が「今のロシアのウクライナ侵攻は1931年~45年までのわが国ととても似ている。実際は侵略戦争なのに宣戦布告することなく「満州事変」などといい、今回ロシアはウクライナへの侵攻を「特別軍事作戦」と称している。こうした時だからこそ、実際にこの地あったことを慰霊することは大切なことである。そして、私たち市民が中国との関係をことは、今だからこそ大切です。」と開会の挨拶をした。
その後、田中宏一橋大学名誉教授が「歴史に学ぶとはどういうことだろう」と題する基調講演を行った。田中氏は、伊藤博文が1千円札の肖像画となったときに、在日コリアンの友人に「日本人の薄気味悪さを感じる。私たちの国を侵略した象徴的人物をお札に刷り込み毎日使うことに違和感を持たない。」という話をされたときに、自分がいかに歴史を学んでこなかったのかを意識した。1965年12月21日に国連総会において人種差別撤廃条約を採択した後一週後の12月28日文部省は「民族性又は国民性を涵養することを目的とする朝鮮人学校は、わが国の社会にとって、各種学校の地位を与える積極的意義を有するものとは認められないので、これを各種学校として許可すべきではない」という文部次官通達を出している。そして、2010年には朝鮮人学校を高校無償化から排除している。などの例を挙げながら日本政府が未だにアジア諸国で起きたことを反省していないことを問題にしながら、この大館地で毎年開かれている市主催の慰霊式は、国を超えた大切な行事であると語った。

 花岡の心を受け継ぐ       

 続いて『花岡の心を受け継ぐ』(かもがわ出版)の著者のひとり池田香代子さんのお話があった。池田さんは、2000年に鹿島と和解したことを知り「花岡事件の場所を見てみたい」と初めて花岡の地を訪れた以降何度も来て、何も知らないからいろいろな人たちにインタビューをした。この皆さんの声が結実したものがこの『花岡の心を受け継ぐ』となったと語った。そして、「延べ24000人の人たちが決起して逃げている中国人を探して動員された、まさに地域が加害者となったことをインタビューの中で実感した。しかし、戦後花岡町は、慰霊を行い、骨を収集し、慰霊碑を建設した。これは、保守・革新の違いを超えた『人として当たり前のこと』として現在も受け継がれている」と語った。そして会場にいる当時を知る地元の人も証言をした。「1940年生まれの自分は当時5歳。母親からブドウ畑にあった豚小屋の中に隠れ豚の餌を食べている中国人がいたと聞かされた。自分は、中国人の人たちが捕まえられて並ばされていた共楽館前の広場に行き『チャンコロ捕まった』とはやし立てたことを覚えている。」と語り当時、町中を巻き込んで中国人狩りが行われていた姿を語った。記念館を作った川田NPO花岡平和記念会理事長は「加害の歴史をしっかり伝えていくことが大切であると記念館を作った」と語った。池田さんは「慰霊式は謝罪する場などではなく、痛み続ける傷を癒し『あなたが受けた扱いは不当な事であった』と分かち合う場。その本質を胸に刻み市民の皆さんが手を携え合って臨みましょう」と結んだ。
 この後、参加した団体・個人の自己紹介がありこの集まりに花岡に心を寄せる人たちがたくさん来ていることを確認してこの日の行事を終えた。

6月30日 慰霊式
「事件を後世に語り継ぐことは市民の使命」大館市長の哀悼の辞

 6月30日は中国殉難烈士慰霊碑がある大館市花岡町の十瀬野公園墓地の「中国受難者慰霊式」に参加した。式では福原大館市長が「どのような状況下であっても人の自由、尊厳を奪い傷つける心無い行為は決して許されるものではない。長い年月が経過しようとも、事件を後世に語り継ぐことこそが私たち市民の使命」と哀悼の意を示した。遺族を代表して日本に住んでいる3名の方が参加した。「今年は日中国交正常化50周年。戦争に反対し、平和を守ることが共通の願い。」と慰霊の言葉を述べ、献水が行われた後、全参加者による献花が行われた。

花岡 中国殉難烈士慰霊之碑
花岡 中国殉難烈士慰霊之碑

受難の地を見学 
この場所で働き傷つき、立ち上がり 死んでいった人たちに思いをはせる

 続いて花岡体育館(旧共楽館)で昼食を食べた後、バスで信正寺と花岡記念館に向かった。信正寺は、決起後捉えられ、炎天下に晒され又は拷問された結果死亡した中国人労働者遺骨を安置した寺である。この寺の裏山には1949年鹿島が作った粗末な供養塔の前に2001年に建立された供養塔が建っていた。そばにある碑文には決起の日が7月1日となっていた。このことについて質問すると、「決起は6月30日の夜中に起きた。警察や町が知ったのは翌朝の7月1日だったので当初7月1日に起きたとも言われていたが、生存者の証言により6月30日夜であったことが確定している」とのことであった。

花岡 信正寺 新旧供養碑
信正寺 新旧供養碑
花岡 信正寺 慰霊の記
信正寺 慰霊の記

 続いて花岡平和記念館に行った。記念館は、2010年4月にオープンした。当時の花岡町の様子や労働者の姿や決起後死亡した人たちの氏名などが展示され、当時の死亡者についての記録もあった。

花岡平和記念館 中国人労働者
花岡平和記念館 中国人労働者
花岡平和記念館 当時の様子の木版画
花岡平和記念館 当時の様子の木版画

 次に中国人労働者たちが劣悪な環境の下に置かれた中山寮があった第二滝野沢ダムと寮を見下ろす山の上に建てられた「日中不再戦友好の碑」に向かったが、残念ながらクマが出没していて、バスを降りることは危険だと判断されていくことができなかった。是非、次回は行ってみたいと思った。
 次に「滝之沢暗渠跡」に行った。これまで中国人労働者が働いていたのは花岡川の改修工事だと言われていたが、鹿島建設と藤田組(現同和鉱山)の工事請負契約には「中国人使役条件」として「排水暗渠」「築堤」「山腹水路」に300人をと書かれている。使役とは強制連行して働かせることである。1944年8月8日に299人が中山寮に到着している。ここに働いていた生存者の証言でもこの場所で働いていた事が示されている。花岡川改修工事は、1944年11月から始まり、ここへは第二次強制連行以降であるという事が最近判明したとのことであった。

この史実を多くの人に伝え続けたい

花岡 滝ノ沢暗渠跡
滝ノ沢暗渠跡

  私は、市主催の慰霊式には中国人の人たちも参加している事の大切さを感じた。蜂起の中心人物だった耿諄大隊長が以前訪日した後『花岡は第二の故郷だ』と語ったというように、日本人が侵した行為によって奪われた命はもう戻らないが、こうした慰霊を続けていくことが二度と同じ過ちをしないという誓となると思った。しかも、市主催で行われている事の大切さを感じた。そして、この史実を是非多くの人たちに伝え続けたいと思った。

「人民網日本語版」2022年6月後半 抜粋(2022/06/30)

<20> 「人民網日本語版」2022年06月30日
モバイルインターネット青書2022」が発表
「モバイル融合イノベーションを推進、デジタル化モデル転換・高度化をサポート」

人民網主催で、人民網研究院が実施するモバイルインターネット青書2022発表会が29日午後、人民日報社新メディアビルで行われた。「モバイル融合イノベーションを推進、デジタル化モデル転換・高度化をサポート」をめぐり議論が展開された。中国のモバイルインターネットの発展は2021年、第14次五カ年計画(2021−25年)の幸先の良いスタートを切った。いかにモバイルインターネットと実体経済の融合発展を推進し、デジタル化モデル転換により生産方法、ライフスタイル、ガバナンス方法の変革を全体的に駆動し、中国のデジタル経済、デジタル社会、デジタル政府の建設をサポートするかが、現在のモバイルインターネット分野の重要課題となっている。

<19> 「人民網日本語版」2022年06月28日
北京市で学校登校が再開へ
北京市内の高校1・2年生、中学1・2年生および小学校全学年(1~6年生)の登校と授業が6月27日に再開された。

<18> 「人民網日本語版」2022年06月28日
設備容量が世界最大の太陽光発電パークを空撮
設備容量が世界最大の太陽光発電パークは、青海省海南蔵(チベット)族自治州共和県に位置し、最大設備容量は8430MW。同州1000万kW級生態太陽光発電プロジェクトは、中国初の1000万kW級太陽光生態発電パークであり、また世界で一度の投資総額が最多で、単体の容量が最大で、集中発電規模が最大の太陽光発電所クラスターでもある。

続きを読む 「人民網日本語版」2022年6月後半 抜粋(2022/06/30)

「人民網日本語版」2022年6月前半 抜粋(2022/06/16)

<20> 「人民網日本語版」2022年06月15日
中日韓協力国際フォーラム、「未来志向の三国協力」に焦点
「中日韓三国協力国際フォーラム2022」が14日、「未来志向の中日韓三国協力――恒久の平和、地域の繁栄、共通の文化的価値」をテーマに、韓国の首都ソウルで開催された。中日韓協力事務局の欧渤芊事務局長は開会の挨拶で、「中日韓協力事務局は、三国政府から与えられた使命を履行するために全力を尽くし、中日韓協力の水準をさらに高め、この地域の恒久の平和、地域の繁栄、共通の文化的価値を力強く促進していく」と述べた。中国の邢海明駐韓大使は祝辞で、「中日韓は海を隔てて相望む隣国であるだけでなく、地域と世界に重要な影響力を持つ国でもある。未来を展望すると、中日韓協力は既存の基盤の上で、三つの方向へ深化・前進し続ける必要がある。すなわち、地域の恒久的平和の維持、地域の普遍的繁栄の実現、東アジアの共通文化の構築に尽力するべきだ」とした。

<19> 「人民網日本語版」2022年06月14日
福建省竜岩市で豪雨 被災者約260人が一時避難
福建省竜岩市は6月13日午前6時から再び豪雨に見舞われ、市内の各所で冠水や土砂崩れが発生。一部の低い土地にある住宅などでは水害による被害状況が深刻となり、住民の多くが身動き取れない状態となっている。災害発生後、地元の消防救助隊は、洪水被災地の最前線へと出動。同日午前9時の時点で、通報を受けた水害の救援・救助要請は17件に上り、消防救援隊員延べ203人と救援車両延べ27台が動員され、260人以上の被災者を安全な場所に一時避難させた。救助活動は今も続けられている。

<18> 「人民網日本語版」2022年06月13日
「ロシア版マック」開業 店名は「おいしい。ただ、それだけ」
米マクドナルドがロシア市場から撤退すると、マックのロシア業務を手がけていたロシア企業が現地時間の12日、店名を「Vkusno i tochka(おいしい。ただ、それだけ)」に変更して、モスクワと周辺エリアの15店舗の営業を再開した。マックはロシア市場撤退後、店舗を現地のフランチャイズ契約先であるアレクサンドル・ゴボル氏に売却した。マックのロシア店舗は約850店あり、その大部分が直営店だった。報道によると、新たなファーストフードチェーンの最高経営責任者(CEO)のオレグ・パロエフ氏は、「第一弾の15店舗のほか、50店舗の営業をこちらの時間で13日に再開する予定だ。当社の計画では6月中に200店舗、夏が終わるまでに850店舗すべてで営業を再開する」と述べた。

続きを読む 「人民網日本語版」2022年6月前半 抜粋(2022/06/16)

「人民網日本語版」2022年5月後半 抜粋(2022/06/01)

<20> 「人民網日本語版」2022年05月31日
活況を呈する日本向けブリ稚魚輸出 海南省万寧
地域的な包括的経済連携協定(RCEP)は2022年1月1日から正式に発効となり、中国と日本との間で締結された初の経済連携協定となった。貿易円滑化に向けたRCEP関連規定のおかげで、海南省の日本向けブリ稚魚の輸出は著しい成長をみせている。5月30日現在、海南省から延べ34隻・約550万尾のブリ稚魚が日本に輸出されており、輸出額は1億3千万元(1元は約19.2円)、2022年輸出総額は1億8千万元をそれぞれ上回る見通し。

<19> 「人民網日本語版」2022年05月30日
アジア最大の国境を跨ぐ滝が壮大な「黄金の滝」に
雨季の大雨が連日にわたり降り続いた影響で、中国とベトナムの国境を跨ぐ徳天瀑布景勝地では、今年最初の増水となった。これまで透明だった滝の水は、一転して金色に変わり、水量が目に見えて増加し、急流が川床を削ることで泥や土砂を含んだ水が、迫力満点に大きな音を響かせて流れ落ち、太陽の光に照らされて金色となり、壮観な「黄金の滝」という奇観を作り上げている。中国とベトナムの国境沿いにある帰春河の上流に位置する徳天瀑布は、隣接するベトナムのバンゾック滝とつながっており、アジア最大、世界で4番目に大きい国境を跨ぐ滝となっている。

<18> 「人民網日本語版」2022年05月27日
習近平総書記が全国陳情対応業務会議代表と会見
第9回全国陳情対応業務会議が25、26両日に北京で行われた。習近平中共中央総書記(国家主席、中央軍事委員会主席)が会議代表と親しく会見し、表彰を受けた模範的な団体と個人に熱烈な祝意を表し、全国の陳情対応機関の無数の幹部と職員へのメッセージを伝えた。

続きを読む 「人民網日本語版」2022年5月後半 抜粋(2022/06/01)

「人民網日本語版」2022年5月前半 抜粋(2022/05/16)

<20> 「人民網日本語版」2022年05月14日
上海の一定規模以上の工業企業の操業再開率が約50%に
上海市が今月13日に開催した新型コロナウイルス対策をめぐる記者会見で、同市の一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)約9000社のうち、約半数を占める約4400社が操業を再開していることが明らかになった。うち、金山区、青浦区、奉賢区、松江区の一定規模以上の工業企業の操業再開率は、市の平均水準を上回っており、金山区は約70%、青浦区は約60%となっている。戦略機能や都市運営保障、防疫物資、連続生産、インフラといった分野をめぐり、上海市はまず、ホワイトリストに名を連ねる計約3000社が3陣に分かれて操業を再開できるよう推進し、市全域の操業再開率を70%以上に引き上げたい考えだ。うち、第一陣の666社の操業再開率は95%に達しており、外資系企業847社の操業再開率も80%に達している。

<19> 「人民網日本語版」2022年05月13日
西側の制裁が世界を巻き添えに 世界経済に幾重ものリスク
ロシア・ウクライナ紛争の「世界への衝撃」

ロシア・ウクライナ紛争の激化後、米国とその同盟国は全面的な対露制裁を発動し、世界経済を政治化、道具化、兵器化して、国際食糧・エネルギー価格に大きな衝撃を与え、世界のサプライチェーンの滞りをさらに深刻化させ、困難な回復の途上にある世界経済の阻害要因を増やすこととなった。ロシアとウクライナは共に農産物輸出大国だ。世界貿易機関(WTO)事務局の統計によると、2019年には世界の小麦輸出量の25%、大麦輸出量の15%、ヒマワリの種輸出量の45%をロシア・ウクライナ産が占めた。世界銀行のマルパス総裁は「ロシア・ウクライナ紛争と西側の対露制裁の招く食糧・エネルギー・化学肥料不足は、食糧安全保障の危機を引き起こす。これによって最大の打撃を受けるのは最も貧しい人々だ」と指摘する。

<18> 「人民網日本語版」2022年05月12日
中国の2021年末時点の看護師の数が500万人以上に
5月12日は111回目を迎えた「国際看護師の日」。2021年末の時点で、中国の看護師は500万人以上の規模になっており、2025年には、その数が550万人に達する見込みだ。中国国家衛生健康委員会医政医管局の監察専門員・郭燕紅氏は11日、北京で「ここ10年、中国の看護師の数は毎年平均8%のペースで増加し、2021年末の時点で、その数は501万8000人に達した。2012年と比べると約252万人増(101%増)となっている。中国全土の医師1人に対する看護師の数を表す比率は、2012年の1:0.95から2021年に1:1.17まで上昇した。つまり、医師のほうが多いという問題は根本的に解決されたということだ。また中国全土の看護師約500万人のうち、男性の割合は3%で、2012年の1.8%に比べて上昇した」と説明した。

続きを読む 「人民網日本語版」2022年5月前半 抜粋(2022/05/16)

日中労交2022年度総会  ~100年に一度の大変動の時代に「日中不再戦の誓い」の意義を確認

藤村 妙子(日中労交事務局長)

総会において更に活動を発展すると確認

 5月8日午後 東京大田区蒲田の日港福会館において日中労働者交流協会(日中労交)の2022年度総会が開かれました。総会はWEB併用で行われ、委任状も含め38名で行われました。そして、総会当日に新たに加入した方がいたことは、大変良かったと思います。

 第一部の議案については、「2021年活動報告」「2022年活動計画」「決算・予算案並びに会計監査報告」「役員選出」がそれぞれ提案され、了承されました。

 コロナ禍の中、昨年は訪中も国内でのツアーもできませんでしたが、日中国交回復50年の節目の年として集会を行ったことや南京から毎月のように送られてくる「南京国際平和通信」や「人民網日本語版」を会員に知らせるとともにホームページに載せ日中友好の糧としてきました。そして、今年は引き続き日中国交回復50年の各種催しを他団体と協力しながら行うことを決めました。また、国内ツアーの第一弾として6月30日に行われる大館市主催の「花岡事件 中国人殉難者慰霊式」に参加する予定です。また、秋には長野の「満蒙開拓記念館」へ訪問する計画であることが了承されました。この国内ツアーには、是非とも若い人たちの参加を呼び掛けたいと思っています。

憲法と「日中共同声明」に基づく外交を

 第二部は伊藤会長の「日中共同声明を発展させ、日本国憲法に基づく国連憲章の改正を」という講演でした。私は、2021年4月の日米首脳会談において「台湾条項」が書き加えられ、再び日中戦争が起きるかのような喧伝が行われている中で私たちが考えていく視座を提起するとても有意義な講演だと思いました。しかも現下の「ロシアによるウクライナに対する侵略」という事態の中で、これを奇禍として軍事費増強、敵の中枢への攻撃をも行う「反撃能力」の整備、更には憲法改悪まで目論まれている中で、労働者市民が現政権批判において不十分な点を明らかにした示唆に富んだものでした。

 日中共同声明を結んだ田中角栄が「一番の安全保障は隣国と仲良くすることだ」と言っていたと伝えられています。しかし、現政権は隣国と仲良くするどころか、過去の反省もなく、アメリカと一緒に隣国への非難の急先鋒に立っています。そして、平和運動の側でも隣国との平和友好のために交流と連帯を行うことを躊躇する傾向が残念ながらあります。私たちの役割は「子々孫々、世々代々にわたる両国労働者階級の友好発展を強化し、アジアの平和を確立する」(「日中不再戦の誓」より)ことだと改めて思いました。

 また、今回の講演で「目から鱗」だったのは、私たちが今回のウクライナで起きていることを批判する時によって立つ立場は「日本国憲法」と「日中共同声明」にあるという事でした。

ロシアのウクライナ侵略は「国連憲章違反」と言われていますが、「武力による威嚇と武力の行使を慎む」(国連憲章第2章4項)というように「慎む」と書かれているだけで明確に否定していません。そして、お互いに「武力の行使を慎もう」と呼びかけても紛争(戦争)が止まらない場合は、国連軍が到着するまで「自衛権の行使」を認め、また「集団的自衛権

」も認めています。そして、「国連軍」が武力による制定を行うと定めています。話を聞きながら「朝鮮戦争」を思い浮かべていました。朝鮮戦争時には「国連軍」が武力をもって威嚇し、停戦となりました。現在も「終戦」していないので、「朝鮮戦争国連軍本部」は日本の米軍横田基地内の一角にあります。まだ終わっていない戦争が現実にあります。ロシアや中国が(今回以外の戦争ではほとんど場合アメリカが)常任理事国として「拒否権」を使うから戦争が終わらないのではなく、「武力のバランスによる平和を謳う国連憲章」(レジュメより)だから難しいという証左ではないでしょうか。

ではどうすればいいのかという事の答えは、日本国憲法の前文と第9条に象徴される「武力の威嚇・行使の放棄と戦力の不保持」と日中国交回復時の共同声明「主権及び領土の保全の相互尊重、相互不可侵、内政に関する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立する」、「相互の関係において、すべての紛争を平和的手段によって解決し、武力又は武力による威嚇に訴えない」(第6項)「アジア太平洋地域において覇権を求めるものではなく、このような覇権を確立しようとするいかなる国あるいは国の集団による試みにも反対する」(第7項)に基づいて「国連憲章を変えるべき」であると話されました。「日本は、日米同盟から脱却し、非武装・非核、中立を貫き、非同盟諸国と共に世界的に平和を築くために努力すべきである」(レジュメの結語)と強調されました。

私は、海に囲まれた島国日本が平和に生きていくためには、近隣諸国との平和友好関係を結ぶことが大切であると考えています。そしてこの平和友好関係を結ぶ際の見本が「日中共同声明」であると思います。今回のウクライナ戦争においても国連で様々な決議や動きがありますが、賛成しているのはヨーロッパやアメリカの同盟国です。世界の人口比から考えれば半分にもなっていません。こんな中で「第三次世界大戦」だという煽られ方もしていますが、誰もが幸せにならない戦争は一刻も早くやめさせなければなりません。日本は、アメリカに協力するようにアジア諸国を廻るのではなく、憲法に基づく平和外交を行うべきだとつくづく思いました。こうした考え方少しずつでも広めるために、今後も活動していくことを改めて思いました。今後WEBを使い「平和友好カフェ」を始めようという試みがあります。こうした100年に一度の転換期だからこそ、自由闊達に意見を交わし、共に考え、私たちの指針である「日中不再戦の誓い」を実践していきたいと思います。

日中労交2022総会(5月7日)

日中労交2022年度総会を開催(5月8日)

日中労交の会員のみなさん

 2022年度総会は5月8日(日)、東京・蒲田の日港福会館で開催されました。会
場出席11名、オンライン出席2名、委任状9名、議決権行使17名、計39名の参加
で、2021年度会費納入者63名の過半数32名を上回り、総会の成立が確認されまし
た。伊藤光隆さんを議長に選出し、議事を行いました。6月30日の花岡での慰霊
祭参加をどうするか、2年後の日中労交結成50周年をどうするかなどの議論があ
りました。議案は提案どおり可決されました。垣沼副会長が閉会の挨拶を行いま
した。
 第二部の学習討論会は、私が「日中共同声明を発展させ、日本国憲法にもとづ
く国連憲章の改正を」と題して問題提起を行い、活発な議論がありました。
 という形式的な報告をとり急いで行って、内容に対する意見、感想については、
参加者から投稿していただきたいと思います。懇親会では、もっとフランクに平
和と日中友好について話し合える場をつくろうという意見も出され、現実の政治
に踏込むと組織分裂を起こすのではないかという私の心配は取り越し苦労だった
と安心しました。
 総会には、中国職工対外交流センターの王舟波秘書長からメッセージが届きま
したので添付します。
 訳文は以下のとおりです。会員の稲垣さんが訳してくれました。

(報告:伊藤 彰信)


祝辞

尊敬する伊藤彰信会長ならびに日中労働者交流協会の友人の皆さま

 新緑に満ち、生気みなぎる初夏の頃、中国職工対外交流センターを代表して、
貴団体の2022年度総会の開催に熱烈な祝辞を贈ります。
 長年にわたり日中労働者交流協会は「歴史を銘記し、平和を愛する」という理
念のもと、日本軍国主義が発動した侵略戦争を深く反省し、台頭する日本の右派
勢力と断乎たたかってこられたみなさまのスタンスと壮挙は、まことに尊敬すべ
きものです。百年に一度の大変動と疫病の流行、そして地政学的な焦点の課題が
相次ぐ時代の転換点において、貴団体が2022年総会を開催され、決して平たんで
はなかった両国国交正常化50周年を振り返り、歴史の教訓と平和友好の初心を再
度確認されることは、きわめて有意義なことです。貴団体が引き続き中国との友
好の理念をかかげ、日本労働界における平和友好の力を確固たるものとして発展
させることを通じて、日中両国の労働者の相互理解と友好的交流を促進すること
に、いっそうの役割を果たすことを願っております。
 貴団体の2022年総会の成功を心よりお祝い申し上げます。早期に皆様とお会い
して友好を深め合えることを願って。

中国職工対外交流センター
秘書長 王舟波
2022年5月6日

王舟波秘書長からメッセージ(原文)

「人民網日本語版」2022年4月後半 抜粋(2022/05/01)

<20> 「人民網日本語版」2022年04月14日
メーデー連休 北京市の外食産業が店内飲食を一時停止に
北京市は4月30日に新型コロナウイルス感染症の予防・抑制の状況を説明する第320回記者会見を開いた。北京市商務局の丁剣華二級巡視員が、「北京市でこの度発生した感染症拡大は飲食店で食事をした人と従業員の感染が多く、人と一緒に食事をすることが感染を呼び込む主要リスクとなっている。感染症の伝播リスクを引き下げるため、メーデー連休期間(5月1-4日)には、全市内の外食産業は店内飲食を一時的に停止して、持ち帰り・デリバリーサービスに切り替えることとする」と通達した。

<19> 「人民網日本語版」2022年04月29日
北京、中国国産のスマートゴミ分別システムを導入
北京市大興区西紅門鎮生活ゴミ分別センターで、中国国産のスマートゴミ分別システムが正式に導入された。同センターのゴミ処理能力を大幅に上げるだけでなく、その他のゴミに混入した回収できるものを選び出し、正確な分別を実現する。そして生ゴミで有機肥料を作り、その他のゴミで派生燃料を作ることで、資源の高効率の利用と循環利用を実現する。

<18> 「人民網日本語版」2022年04月28日
ユニバーサル・北京・リゾートで29日から24時間以内のPCR「陰性」証明必要に
一連の新型コロナウイルス対策が講じられ、安全を確保することを前提に、ユニバーサル・北京・リゾート(UBR)は現在も通常通り営業を行っている。ただ、来園者とスタッフの安全を守るため、今月29日から、リゾート内の対策が強化され、政府当局の関連する要求に基づき、入園者数制限が引き続き実施され、入園には事前予約が必要なスタイルが採用され、人の流れのリアルタイムモニタリングと調整が強化される。全ての来園者は、ユニバーサル・北京・リゾートの公式モバイルアプリを通して入園時間を選んで事前予約し、秩序に基づいた入園が求められている。

続きを読む 「人民網日本語版」2022年4月後半 抜粋(2022/05/01)
日中国交正常化50周年記念緊急集会(2022/4/14・衆議院議員会館)

日中国交正常化50周年記念緊急集会に参加して

日中労交事務局長 藤村 妙子

 4月14日衆議院議員会館で開かれた集会にスタッフの一人として参加した。当日は、集会開始前から次々と集まり、関心の高さを感じた。そして、参加者たちは、ウクライナで起きている戦争や今日本で流されている報道には満足できず真実を知りたいと真剣な表情で挨拶や講演を聞き入っていた。当日の内容を簡単にレポートしてお伝えしたい。(当日の講演などは、YouTubeで視聴する事ができる。)

日中国交正常化50周年 本来なら国が何らかの行事をすべき

村山談話の会藤田高景理事長 主催者挨拶に立った村山談話の会藤田理事長は「1972年9月29日日中国交回復から50年の今年、本来であれば国が何らかの記念行事をすべきであるが未だにその動きは無いようだ。それどころか中国への敵視政策が行われている。中国は日本の隣国であり、最大の貿易相手国でもある。今、ウクライナで戦争が起きている。故菅原文太氏は『政治の役割は、人々の頭上に爆弾を落とさせないこと、そして人々を飢えさせないこと』といった。しかし、今の日本の政治は真逆のことをやっている。いつまでもアメリカの手先になっているのではなく、自主独立を目指す『キックオフ』の集会にしたい」と語った。

アジアの平和と繁栄のために日中の協調と友好を

東日本国際大学名誉教授・政治評論家の森田実氏 東日本国際大学名誉教授・政治評論家の森田実氏が来賓のスピーチを行った。「今の外務大臣林芳正は、以前は日中友好活動をやっていたのに、中国脅威論を喧伝し、近隣国との外交を拒否している。今や中国との関係が大切だということを言う政治家はほとんどいなくなり、中国に対して酷い表現をしている。まるで皆が石原慎太郎になったようだ。隣国との平和を保たなければだめなのに、政治家が感情で動いている。これは非常に危険な兆候だ。アジアの平和と繁栄の肝は、日中の協調と友好にある。」と89歳の年を感じさせられないかくしゃくとしたスピーチだった。
沖縄の風代表伊波洋一参議院議員 続いて来賓の挨拶に立った沖縄の風代表伊波洋一参議院議員は「2019年に日中首脳会談を行った当時の首相安倍は、相互信頼関係、経済関係、国民交流などの33件の合意をした。この合意は今でも生きている。しかし、彼は戦争法を成立させ、安倍を引き継ぐ菅・岸田政権は、与那国や八重山などの南西諸島にミサイルを配備する、重要土地規制法の成立、今や敵基地攻撃能力を持つとまで言っている。台湾有事を日本有事にするための動きが強まっている。米軍に戦争を開始させてはならない。私たちは今、引き返さなければならない所に来ている」と沖縄で進む動きを暴露しながら挨拶をした。

軍国主義の亡霊は今、蘇がえりつつある

林伯耀旅日華僑日中交流促進会共同代表連帯の挨拶は林伯耀旅日華僑日中交流促進会共同代表がおこなった。「孫文は『日本は、西洋覇道の番犬になるのか、東洋王道の干城となるのか』と言った。孫文が生きていたら今も同じ言葉を言っただろう。日本は再び帝国主義者と一緒になって大陸を破壊するのか、東洋の仁義に基づいて平和の要になるのかという事が問われている。1972年に日中国交正常化した。中国ではかつて侵略した国と友好関係を結ぶことに心配する声が沢山あった。」と様々な交流友好の中での経験を語った。そして「今、軍国主義の亡霊が蘇るようだ。『暴支膺懲(ぼうしようちょう)』の時代が再びやってくるようにさせてはいけない。来年は関東大震災から100年になる。過去の歴史をもう一度見つめ直す時だ。」と現下に広がる反中の言説を批判しながら、過去と向き合うことの大切さを力説された。
 挨拶の後、日中友好の歌が田偉東方文化芸術団長から披露された。

日本はアジアを封じ込める役割を果たしてはならない

羽場久美子青山学院大学名誉教授・神奈川大学教授 講演の第一として、羽場久美子青山学院大学名誉教授・神奈川大学教授が「中国は敵ではない。東アジアは平和と繁栄の基礎」と題する講演を行った。「アメリカは中国封じ込めに躍起となっている。こうした中で、ロシアがウクライナに侵攻した。この侵攻の前からウクライナ周辺に武器と部隊が集められてきた。一方ウクライナにはアメリカから武器が持ち込まれ、アメリカ軍がウクライナ兵に訓練を行っていた。ウクライナは、ヨーロッパとアジアを結ぶ要にあり、様々な民族が住んでいる。武器を渡した国ではなく、渡された国が戦場になっている。
 今はパワーシフトの時代だ。世界地図を東を上に回転させると日本列島は、ロシア・朝鮮半島・中国を覆う弓のようにある。アメリカから見ると約3000㎞の自然要塞。ウクライナ戦争に乗じた日本の軍国主義復活を許してはならない。日本は東アジア封じ込めの役割を果たすのではなく、東アジアの共同発展に寄与する存在にならなければいけない。」などを豊富資料絵図(PDF)を使いながら講演した。

アメリカ本土の盾にされる日本

 カンパアッピールが高梨神奈川歴史教育を考える市民の会会長からあったあと、纐纈厚山口大学名誉纐纈厚山口大学名誉教授教授から「日中対立を促すアメリカの軍事戦略」と題する講演があった。「2021年6月のサミットで中国と台湾の『両岸問題が言及された』と日本のマスコミや政府はセンセーショナルに騒ぎたてたが、実はこの問題は70項のうち60項目、中国との距離の取り方は国によって異なる。アメリカは「両岸問題は平和的に解決を促す」というあいまいな態度をとっているが、日本側は「台湾有事の時は、周辺危機事態として対処する可能性がある」とアメリカに伝えている。まるでアメリカから「用意はできているか」と聞かれ「大丈夫です」と答えているかのようだ。アメリカは軍事戦略を変え、自国の軍隊を出さなくても済むように「対等同盟」を結び、旧来の対テロ戦争とは異なり国家間の紛争に対処しようとしている。日本をアメリカ本土の盾にしようと様々軍事物資を売りつけ、アメリカの軍需産業は儲けている。今度のウクライナ戦争では総額100兆円の軍事予算となっている。
 中国が攻めてくるかのような言説があるが、中国は資源大国ではない。14億の人々のために食料を確保し、生活向上のために生産力を高めなくてはならない。貿易の相手国日本を攻め込む必然性はない。「台湾有事」についても台湾の問題は台湾に住む人々の問題であり、中国の内政問題である。他国が干渉するべきではない。」等現在世界を覆う問題に対して鋭く切り込む内容だった。

軍事同盟をなくし、相互の人権尊重を

伊藤彰信日中労交会長 最後にまとめとして伊藤日中労交会長から「『争えば共に損し、和すれば共に益する』という言葉がある。最近は『争えば儲けるやつがいる』ともいえるが、争えば殺し殺されるのは民衆である。今こそ、日中共同声明の意義を再確認すべき。そして、軍事同盟をなくし、相互の人権を尊重する世界を作ろう。」と結びの言葉があった。
 集会は、9月28日に大集会を行うことが司会の方から案内がありおわった。

 以上のように盛りだくさんの内容であったが、時節にマッチしたとても有意義なものだった。YouTubeで視聴できるので、多くの皆さんに見て、考えていただきたいと思った。