台湾:操縦士組合が団体協約を締結し7日間のスト終結(2/14)

台湾のチャイナエアラインの操縦士組合のストライキですが、2/14の夜に労使合意に達して協約を締結したことで解除されました。

以下、合意の内容を報じた台湾の社会運動系ウェブサイト「焦点事件」からの粗訳です。

「本国籍者」と「外国籍者」というのが、祖国を持たない労働者階級の立場としては目につきますけど、よくわかりませんが、たぶん航空会社や操縦士や乗務員などは、すごくグローバルに展開しているので、いろいろと事情があるのでしょうね。

原文はこちら


平和条項3年半の団体協約を締結し7日間のストが終結
2019/02/14

焦點事件 侯百千 記者

(写真)労使双方が記念撮影

チャイナエアラインのストライキが終結した。11時間におよぶ交渉のすえ、組合の五大要求が完全に実現したわけではないが、労使双方は合意に達した。2月14日午後10時20分、操縦士組合の李信燕委員長とチャイナエアラインの謝世謙CEOが労使双方を代表して団体協約に署名し、ストライキは正式に終結した。団体協約では三年半のあいだはストライキは実施しないことなどが明記された。

五大要求のうち、13日に妥結した「過労フライト便の増員」以外では、「昇格評価の透明化」について台湾籍の操縦士の雇用と昇進を保障することで合意に達したほかは、「13か月目の月給(飛行安全奨励金)全額を保証する」については合意に達せず、21日に再度協議することが明記され、団体協約となった。「問題のある管理職」については、会社側は「労使紛争の原因となったケースについては協議して管理制度を改善し」、コミュニケーションを強化することの約束にとどめた。

三点目の要求にある「組合への報復禁止」と「フリーライド条項」については、チャイナエアラインの謝世謙CEOは、組合の好意によって協約内容の当該組合の専権事項を「非組合員」にも拡大する、と述べた。交通部も、今回の協議には「フリーライド条項はない」と述べ、今回の協議内容は組合員以外にも適用されることになった。

「組合への報復禁止」については、法律で保障された争議行為についての組合および組合員の言動に対して、会社は「尊重」し、「組合法」「労資争議処理法」その他の関連法に違反して組合および組合員に対応することはしないと約束した。

組合の要求のほか、今日から2022年8月31日までの協約有効期間のあいだは、もし労使紛争が発生しても、争議行為の権利は放棄し、調停あるいは仲裁によって紛争を解決することに組合は同意するという内容が記された。協約締結から少なくとも三年半はストライキを行わないということである。

労使双方のほか、行政院副院長[副首相]の陳其邁、交通部長[大臣]の林佳龍、労働部長[大臣]の許銘春、桃園市長の鄭文燦らが交通部にきて、調印式に参加した。チャイナエアラインの操縦士ストライキから7日目の2月14日、朝10時から始まった四回目の団交は11時間に及び、労使双方は夜8時30分に合意に達し、夜10時20分に団体協約を締結した。

李信燕委員長は、組合は正式にスト中止命令を発した、スト期間中に操縦士から預かっていた飛行士認定証を順次返還しており、24時間以内に操縦士に返却される、順序が前後するが明日(15日)の運行には問題ないと述べた。謝世謙CEOによると、2月15日の予定フライト率は96%、16日は100%に達する、協約履行のコストは1億5000万台湾ドルにのぼり、その内容は2月15日に株主と利用者に公表すると述べた。

以下、2月14日の団体協約の概要(抄訳)

一、過労フライト便への増員
1、8時間以上のフライトには3人、12時間以上には4人とする。
2、以下の便については別途とりあつかう。A、アメリカ国内のアンカラ-ニューヨーク便は3人にする。B、重慶への深夜貨物便は4人とし、帰路後正常の休憩とする。C、西安便は3人。D、パラオ便は3人とする。E、グアム便は2人とし、日帰りではなく一泊とする。
3、以上の協議で不利益変更があってはならず、何らかの変更がある場合は協議を行う。緊急の事態においてはこの限りではない。

二、昇格制度について
1、会社は二年以内に、外国籍の操縦士の場合には副操縦士として採用し、機長として採用しない制度を実施する。特段の必要がない場合、外国籍の機長は採用しない。
2、定員に満たない事態が発生した場合、対応は公平、公正、公開とすること。同じ条件の場合は本国籍を優先して採用すること。台湾に居住する外国籍者はこの限りではない。
3、毎年の人事計画は、3月と9月の昇格会議の前に欠員状況を公表し、操縦士の考課成績は本人に開示すること。
4、昇格審査で同点の場合は、本国籍者を優先すること。毎回の昇格では本国籍者は外国籍者を下回ってはならない。台湾に居住する外国籍者はこの限りではない。

三、組合への報復禁止について。(略)

四、管理制度の検討(略)

五、飛行安全奨励金(略)

六、平和条項(略)