中華全国総工会第17回全国代表大会について

何際霞

何際霞 氏

(中国職工対外交流中心技術経済交流処処長)

 2018年12月11日

 

 

中華全国総工会第17回全国代表大会は、今年10月下旬に開催されました。この大会は、中国の小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的な完成の決戦段階そして中国の特色ある社会主義が新時代に入った時に開催された重要な大会です。大会で習近平主席の中国の特色ある社会主義の思想を指導理念として、労働者階級と労働組合活動に関する重要な討論を深く行いました。過去5年間の成果をまとめ、今後5年間の目標と任務を定め、規約を改正し、新しい指導部を選出しました。大会の性格は、団結、実務、激励、闘争の大会です。

大会は、中国共産党中央に高く重視されました。習近平主席が開幕式に出席し、李克強首相が中国経済情勢に関する報告を行いました。王滬寧・中国共産党中央政治局常務委員が中国共産党を代表してあいさつしました。習近平主席は、大会後に新しい指導部と会談し、重要なスピーチを行いました。スピーチの中で、総工会の5年間の活動を評価し、今後5年間の活動の方向性を示しました。このスピーチにもとづき今後5年間の基本的方向を決めました。

総工会は、中国共産党の指導の下で労働者自身が自発的に結合した団体です。総工会の組合員は3億人、基層組織は250万ほどあります。中国経済の発展に労働組合は重要な役割を果たしています。中国労働組合が国際交流を行うときに、平和・発展・協力・労働者権益を旗印に掲げています。労働組合の国際活動は、一帯一路建設を巡って各国労働組合の積極的交流を強化して、労働者の権益を守って実務的な協力を深化しようとしています。

これから、3つの方面から大会の紹介をします。

労働運動の時代的テーマを巡って、広大な労働者を団結させ、主人公として積極的に功績を立てる

労働運動の時代的テーマというと、中国の夢を実現する、中華民族の偉大な復興を実現するために努力することです。労働者に、自分の運命は国家の運命、民族の運命と緊密につなげる、自分の夢と国家の夢を緊密につなげるよう指導しています。中国の夢を実現するために、職場を愛して、まじめに仕事をして、幸せな生活をよりよくする未来を築くように共に頑張ります。具体的にはいくつかのやり方があります。

ひとつは、労働競技・技能競技を開催します。中国経済は高速成長段階から高質経済段階に変化しています。国家の重大な戦略やプロジェクト、重要な産業や職種、重点的な分野に沿って職種ごとの労働競技・技能競技を開催します。労働競技・技能競技のテーマは「主人公として新時代に功績を立てる」です。これがキーワードです。労働競技・技能競技によって技術の革新とか、発明・創造によって中国の質の高い発展、また近代化、経済体系の構造改革に役に立つように取り組んでいます。

もうひとつの重要なキーワードは、産業労働者のチームづくりの改革案です。2017年に中国共産党は新時代の産業労働者のチームづくりの改革法案をつくりました。実施は総工会が行っています。グローバル化のなかで競争力を向上させるには、労働者の質を高めなければなりません。待遇、職業訓練、労働模範の促進などの実施にあたっての細則をつくり実施しました。終身的な労働者の職業訓練のプログラムをつくっています。キャリアや社会的地位、いろんな面で産業労働者の能力を高めようとしています。総工会は関係省庁と連携して改革法案を実施していますが、改革によって中国の広大な知識型、技能型、革新型の産業労働者のチームをつくるようにしています。

もうひとつは、労働模範精神、職人精神を発揚します。日本の職人精神と似ていると思いますが、職人の精神を発揚して労働を栄養あるものとする社会的気風と研鑽に励む勤勉な気風をつくります。誠実に働く、勤勉に働く社会的雰囲気を醸成します。

労働者の権益を擁護し、労働者にサービスする

労働組合は労働者のために活動します。労働者が最も関心のある最も現実的な利益を巡って労働者の権益擁護を着実に実現します。労働者を重視して、どこかの労働者の合法的権益が侵害されたら、どこかの労働組合が立って発言しなければならないのです。

中華全国総工会は労働者にサービスする活動のブランドがあります。例えば、温もりを贈るイベントです。旧正月の前に総工会の幹部は全国を回ります。秋錦助学は、就学困難な労働者の子どもたちに援助する活動です。職業援助は、失業した労働者に就職促進活動、例えば職業紹介、職業訓練をする活動です。

もうひとつは、中国でインターネットが発達していますので、スマート労働組合を建設することに力を入れています。ネットを活用した情報提供です。4、5年前から行っています。インターネット・プラスですが、プラスはいろいろあります。労働組合加入もネットで可能です。買物、映画・演劇鑑賞の割引などです。

もうひとつは、農民工が増えましたので、農民工を集団的に組織化する活動です。労働組合に加入すれば、労働組合がよりよく農民工の権益を守ることができます。大きなプロジェクトは貧困援助です。国全体のプロジェクトでもありますが、労働組合としては困難のある労働者に困難から脱出する援助を行っています。労働者の合法的権益を守る面では、労働組合が労働者の利益の代弁者として活動しなければ、労働組合自身の存在の意味もなくなります。労働者の利益を守るには、まず源から、つまり労働者の利益を守る法律の策定に労働組合が積極的に参与します。

もうひとつは、供給側、サプライサイトの改革です。労働組合としては改革に積極的に参与して、改革による失業者に就職援助をします。新しい職を見つけるには職業訓練、就職先の紹介、社会保険との接続、労働関係の接続とか、いろいろなサービスを提供しています。労働組合で解決できることは労働組合で解決しますが、解決できないことは共産党や政府に反映して解決を積極的に推し進めます。

もうひとつは、調和のとれた労働関係の構築です。日本では労使協調ですが、中国では労働三者の協調システムを強化しています。シェアリング経済が進むにつれて、新しい労使関係も現れていますので新しい問題に直面しています。労働組合としては新しい労使関係を分析して、新しい労働組合の役割、対処を検討しているところです。

労働組合の改革

8月にも彭勇秘書長が詳しく説明しました。その時は4つの「化」、娯楽化、貴族化、行政化、官庁化を取り除く話でした。今日は3つの「性」を強化する話です。政治性、先進性、大衆性です。3つの「性」を強化するには、組織の設置、管理のパターンや運営のメカニズム、活動のやり方などいろいろな方法で労働組合の改革を行っています。

改革の目的は、より多くの労働者大衆とつながる組織をつくることです。労働組合の末端組織を強化します。現場にいる労働者と関わって、労働者大衆が一番関心を持つ問題、直接的に関係する利益を労働組合が取り組むことが改革の出発点です。末端組織の活性化、強化によって、より良いサービスを提供する、労働者の権益を守ることです。

もうひとつは、労働組合の組織の気風を変えます。労働組合のメリット、優位性は、一般労働者大衆と緊密に関わることです。一番危ないことは労働者と離れることです。気風を変えるには、まず労働組合幹部を教育しなければなりません。労働組合幹部を実践のなかで訓練するメカニズムをつくっています。労働組合の末端組織の活動は、労働者に焦点をあて、労働者によって評価する、労働者のなかで活動を行うことです。

以上、中華全国総工会第17回全国代表大会について簡単に説明しました。今後の我々の交流にも参考になると思います。


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