2018年12月20日
日中労交訪中団報告
伊藤彰信
第5次「日中不再戦の誓いの旅」訪中団団長
日中労交の第5次「日中不再戦の誓いの旅」は、12月11日に出発し、北京、南京を訪問して15日に帰国しました。この旅は、中国職工対外交流センターの受け入れで実現したもので、訪中団は、団長=伊藤彰信(日中労交会長、元全港湾委員長)、副団長=前川武志(日中労交事務局長)、秘書長=藤村妙子(南部全労協事務局長)、団員=渡部公一(前目黒区職労委員長)、広岡浄進(大阪市大人権問題研究センター准教授)、横山貴安基(全港湾大阪支部執行委員)、神部紅(ユニオンみえオルグ)の7名です。
以下、旅の経過と概要を簡単に報告します。
<北京>
12月11日、訪中団は、東京・羽田、名古屋・中部、大阪・関空から北京に着きました。北京空港には、中国職工対外交流センター技術経済交流処の李晶宇さん、石晶晶さんが出迎えてくれました。空港で昼食をとったあと、職工の家(中華全国総工会が所有するホテル)に移動しました。その後、中国職工対外交流センター技術経済交流処の何際霞処長らと懇談しました。
伊藤団長から「8月に中国職工対外交流センターと日中労交の共催によって日中友好労働者シンポジウムを成功裏に開催できたこと、日中労働者の友好の歴史を学び、日中の労働者が現在のそれぞれの取り組みと課題を紹介し、今後の連携の方向性を確認できたことは、非常に意義あることでした」とお礼を述べ、「安倍首相は、憲法9条に自衛隊を銘記しする憲法改正を何が何でも実現しようとしています。憲法改正問題は歴史認識問題です。今回の訪問を通じて、日本軍国主義が犯した加害行為を知り、安倍が目論む9条改憲を絶対に阻止する決意を改めて固めたいと思っています」とあいさつしました。
新しく着任した何処長は、彭勇秘書長らが出張のため不在であることを謝りつつ、「日中友好労働者シンポジウムは今後の交流の方向を示す意義あるものでした。日本の中国侵略を否認する安倍首相の改憲策動は日中関係にダメージを与えました。しかし、日中平和友好条約締結40周年の今年、中日両国のトップレベルの交流が盛んになっています。このような時期に皆さんが訪中されることは意義深いことです」と歓迎のあいさつを述べました。
そのご、10月に開催された中華全国総工会第17回全国代表大会について、①労働運動の時代的テーマを巡って、広大な労働者を団結させ、主人公として積極的に功績を立てる、②労働者の権益を擁護し、労働者にサービスする、③労働組合改革の3点にわたって説明がありました。(詳しくは別紙「中華全国総工会第17回全国代表大会について」参照)
懇談会のあと、張茂華・中華全国総工会書記処書記が主催する歓迎夕食会が開かれました。
12日は、午前中、盧溝橋にある中国人民抗日戦争記念館を見学し、午後から高速鉄道(新幹線)で南京に移動しました。
<南京>
南京駅には江蘇省総工会弁公室副主任の高華さんが出迎えてくれました。
江蘇省総工会の歓迎夕食会が催され、朱勁鬆・江蘇省総工会党組書記・副主席、曹海・江蘇省総工会副巡視員が歓迎してくださいました。
13日は南京大虐殺犠牲者追悼国家公祭に参加しました。全国人民代表大会の王晨・常務委員会副委員長があいさつしました。午後は南京大虐殺遇難同胞記念館の本館を見学しました。夜は記念館で行われたキャンドル祭に参加しました。南京の小学生、中学生も参加し、宗教者の祈りなどがありました。今回の訪中団の秘書長を務めた藤村さんらが執筆した「東京満蒙開拓団」を江蘇省総工会と記念館に寄贈しました。
14日午前は、2015年12月にオープンした利済巷慰安所旧址陳列館を見学しました。中国各地の慰安所、日本、アジアの慰安所の資料が展示されており、日本軍の従軍慰安婦の実態がわかる陳列館です。午後は、明時代の城壁、中山陵、夫子廟を見学しました。
15日は、南京から上海まで高速鉄道を利用し、上海駅から浦東空港まで車で移動しました。浦東空港で昼食をとったあと、夕方の便で成田、中部、関空へと飛び立ちました。通訳として全行程を同行してくださった石晶晶さんには大変お世話になりました。
来年は、日中不再戦の誓いの碑を侵華日軍南京大虐殺遇難同胞記念館に建立して10年にあたります。8月に東北(旧満州)の訪問、12月に南京の訪問を計画しています。「お子さんを連れてきてもいいですよ」と言われました。学生の参加を含めて検討したいと思っています。
写真:神部紅
<関連記事>
◇「中華全国総工会第17回全国代表大会について」何際霞(中国職工対外交流中心技術経済交流処処長)
◇「誓い」の碑を前にしてーー藤村 妙子 (東京南部全労協事務局長/東京の満蒙開拓団を知る会共同代表)