台湾:キャビンアテンダント労組はなぜストライキに突入したのか

台湾:キャビンアテンダント労組はなぜストライキに突入したのか(1)
台湾:キャビンアテンダント労組はなぜストライキに突入したのか(1)

台湾の客室乗務員組合のストライキですが、労基法の労働時間規制適用除外を受け入れる協約に反対しているということもストライキの理由でした。

ストライキは続いており、南部の高雄からも組合員60名が駆け付けています。高雄の組合員は当局から「スト権がない」という不当なデマにも屈せずにストライキに合流しています。まもなく就任する新理事長もストの現場にきて一時的に出勤地点を元に戻すことを約束しましたが、その他の要求については「検討する」ということしか言わなかったことから、組合は街頭でのストライキを継続することを宣言しています。

がんばれ!

以下、苦労網からの翻訳です。原文と写真などはこちら。

ストライキ宣言もありますが、それはまた時間のあるときにでも。。。

以下翻訳です。

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もう一度、客室乗務員がなぜストライキを打ったのかを考える
その日の夜、桃園空港では何が起こっていたのか?

2016/6/24 苦労報道
王顥中 苦労網記者

昨晩、中華航空の客室乗務員たちによる国内初の航空関連のストライキの歴史を切り開いた。組合のベストを着た1,000名の客室乗務員たちは南京東路の中華航空台北支社の前に集まり、たくさんの人々を興奮に包み込む一幕となった。客室乗務員たちはなぜストライキを打ったのだろうか。この間の労使紛争の経過をふりかえってみよう。

2016年5月5日、中華航空はショートメールを通じて、客室乗務員らの出勤地点を台北から桃園へ変更するとともに、「労基法」84条1項の責任制にもとづいた協約に署名することを要求した。

それはどのような影響をもたらすのだろうか?

まず、客室乗務員の業務は飛行機の離着陸のあいだの時間だけに限定されるものではない。離陸前には準備、飛行安全報告があるし、着陸後にも客室整理、安全検査の補助などがある。これらすべてが実際の労働時間になる。これまで客室乗務員は離陸の140分前までに台北のオフィスに出勤する。その140分のあいだに、バスで台北から桃園へ移動し、装備、書類、服装検査などの業務も労働時間に計算されている。搭乗便の着陸後は60分以内に客室整理などの業務を行い、その後、桃園オフィスで退勤して一日の業務を終える。

しかし5月はじめ、中華航空は規定を変更し、客室乗務員は搭乗便の離陸90分前までに桃園オフィスに出勤し、着陸後30分間で退勤することとした。しかし業務内容はそのままであり、台北から桃園へ移動する時間も同じなので、労働時間以外の時間をつかって従来の仕事を終えなければならなくなった。

従来の労働時間計算:140分+飛行時間+60分
新しい労働時間計算:90分+飛行時間+30分

会社からの一通のショートメールによって、頭とお尻のあわせて80分の労働時間が削られた(そして、それが休息時間を圧迫することになる:訳注)。

責任制の協約書は、国際便は一回のフライトで12時間を超過することがままあることから、労働部(労働省)は客室乗務員を「労基法」84条1項にある責任制の対象としており、それにより労使双方の協議のうえで労基法に定められている一日最長12時間という労働時間の制限が適用されない。5月5日のショートメールでは、中華航空はすべての客室乗務員(国際便に搭乗しない客室乗務員を含む)にもこの責任制の協約書へのサインを要求した。12時間を超過する状況は国際線だけである。組合はもし国内線の客室乗務員にまでそれが拡大適用されるとなると、責任制の濫用にあたると考えている。

組合のストライキ宣言では次のように述べている。

「84条1項によって、客室乗務員は労基法の労働時間規制を免れることになり、フライト中の休憩時間も労働時間から削除しようとしている。多くの人が私たちの仕事は華々しいものだと考えているようだが、一カ月で8日間の休みも保障されず、夜中の2時から5時の真夜中便への搭乗が私たちの心身を締めつけている。客室乗務員は怠け者ではない。私たちはただ休憩時間は雇用主から自由の時間であり、労働者一人ひとりが自分の時間であることを知っているだけだ。それは一人の人間としての時間なのだ。わたしたち客室乗務員は人間としての時間がもうすこし多くてもいいではないか、と希望しているだけなのだ。」

◎その夜、空港では何が起こっていたのか?

6月21日、桃園市客室乗務員職業組合は96%の投票率、99.5%賛成という完璧な投票結果により合法的にスト権を確立した。中華航空もすぐに対策を発表した。ストライキに参加しない客室乗務員、外国籍の客室乗務員、かつて客室乗務員で現在は内勤や地上勤務に転勤した人員などを要員にあてるとした。その他、すでに退職した客室乗務員も「◆回復トレーニング」を経て要員にあてることが可能だとしている。また600人の後援人員を準備しているとして、ストライキが旅客に影響をあたえることないと放言した。

組合は当初ストライキの期間は夏休みだと発表していたが、6月23日夜6時に突如、24日の零時からストライキに入ることを発表し、当局側の対応能力を削ぐことに成功した。夜9時に24日正午の8便の欠航を発表し、夜11時半までには24日の朝6時から10時までの桃園、松山両飛行場の全便のキャンセルを発表した。

24日の1時55分に桃園から東京へ向かう中華航空CI-108便は、ストライキ突入後の最初のフライト便であり、会社側の対応能力を誇示する代表的意味があった。

23日の11時から、出国ロビーに集まっていた旅客が搭乗手続きを開始したが、その日のフライトを表示する電子掲示板には「キャンセル」「キャンセル」の文字が続いた。出国ロビーには焦燥感が充満していた。CI-108便は「キャンセル」の文字が何度も現れては消えた。誰もがCI-108便が順調に離陸することはないだろうと感じていた。

午前零時を回った12時40分、この便の定時運行が確定した。大型バスがCI-108便の搭乗スタッフの8人を第二ターミナルまで運んだ。8人は、2名のキャビンマネージャー(男性)と事務長、そして5名の日本人客室乗務員であった。

客室乗務員組合の監事会代表の劉偉国によると、当初CI-108便に搭乗する予定だったキャビンマネージャーはストライキに参加する予定だったことから、会社は急きょ別の人員を臨時でかきあつめたという。通常のフライトではキャビンマネージャーは1名だけだが、会社は念のために2名のキャビンマネージャーと事務長を充てた。またCI-108便はエアバスA330を使用しており、これまでは少なくとも夜間便では11人の派遣人員を充てていたが、今回は8人だけで、派遣人員の定員ギリギリだった。

劉偉国は、また客室乗務員全員が日本人であり、もし緊急事態の場合に、日本語と英語だけのアナウンスしかできないが、乗客の多くは台湾人であることから、この事態を民航局はどのように説明するのか、と疑問を呈した。

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