日中不再戦の誓いの旅 (2015年12月)― 北京、南京を訪問

日中労働情報フォーラム代表・訪中団長 伊藤彰信

 日中労交の「日中不再戦の誓いの旅」は、12月10日に出発し、北京、南京、蘇州を訪問して、15日に帰国しました。この旅は、中国職工対外交流センターの受け入れで実現したもので、訪中団は、団長=伊藤彰信(日中労交副会長)、秘書長=前川武志(日中労交事務局長)、団員=清水英宏(全国自治体運動研究会運営委員長)、佐々木史朗(全統一書記長)、佐々木有美(レイバーネット日本事務局次長)、小林勝彦(全港湾大阪支部書記次長)、西山直洋(全日建近畿地本書記次長)の7名です。

天安門前での訪中団
天安門前での訪中団

南京大虐殺犠牲者追悼国家公祭に参加するとともに、各地での意見交換、見学など、非常に充実した旅でした。訪問先の詳しい報告は、順次、団員から行いますので、私は旅の経過と概要を簡単に報告します。

<北京>
12月10日、訪中団は、大阪・関空と東京・羽田から北京に着きました。空港には、中国職工対外交流センター技術交流部長の査良青さん、同部員の李晶宇さんが出迎えてくれました。お昼にPM2.5の赤色警報が解除されたのでの、「皆さんは青空を持ってきてくれました」と歓迎されました。
午後、中国国際交流協会を訪問し、刘凱阻副秘書長と「一帯一路」政策、「脱貧」政策などについて意見交換しました。訪中団からは、安倍首相が、中国と戦略的互恵関係を構築するとしながら、「一帯一路」政策を中国のアジア進出政策と批判し、安保法制の成立を図ったことを説明しました。
11日午前は、中国職工対外交流センターの徐璐副秘書長と会談しました。伊藤団長は「日本でジョン・ラーベの上映運動や安保法制反対運動を取り組んできました。南京に建てた『日中不再戦・反覇権の誓い』の『われわれは、日本軍国主義の中国侵略戦争を労働者人民の闘争によって阻止しえなかったことを反省し』という市川誠初代会長の言葉の重みをあらためて感じました。歴史認識問題の原点である南京を訪れ、碑文の思いを若い世代に伝えていきたい」とあいさつしました。徐副秘書長は「古くからの友人である日中労交訪中団を心から歓迎します。戦後70年、日中労交が正しい歴史認識と平和のための活動をしていることに敬意を表します。歴史を鑑とし未来に向かうことが必要です」と歓迎のあいさつを述べました。そして、来年3月の全人代で決定される第13次5カ年計画の内容、中華全国総工会の組織と活動について説明がありました。
中国工運研究所の呂国泉所長から「新常態下の和諧労働関係の構築」と題するレクチャーを受けました。最新の資料にもとづく中国の労働事情の説明は、非常に参考になるものでした。午後は、故宮博物院、瑠璃廰を見学しました。夜は、中国職工対外交流センターの彭勇秘書長の招待宴がありました。

抗日戦争記念館の盧溝橋事件のジオラマ
抗日戦争記念館の盧溝橋事件のジオラマ

12日午前は、盧溝橋の中国人民抗日戦争記念館を見学しました。今年9月3日の抗日戦争勝利70周年記念に合わせて、展示が少し変わっていました。午後は高鉄(新幹線)でノンストップ、3時間39分で南京に移動しました。

<南京>
南京駅のホームには、もう30年以上お世話になっている江蘇省総工会国際連絡部副部長の羅慶霞さんが出迎えてくれました。夜は、江蘇省総工会の張海涛副主席の招待宴がありました。南京師範大学で歴史学を専攻した張副主席と歴史問題での話が弾みました。
13日は、南京大虐殺犠牲者追悼国家公祭に参加しました。公祭の進行は昨年と同様でした。10時に一斉にサイレンが鳴り響き、市内ではすべての交通がストップして1分間の黙祷が行われていました。公祭では中国共産党政治局委員の李国建中華全国総工会主席が演説しました。

太平門(南京)の犠牲者記念碑
太平門(南京)の犠牲者記念碑

その後、太平門の虐殺現場を訪れました。午後はオープン前の南京大虐殺記念館の新館を見学しました。反ファシズム闘争勝利70年をメインにした展示でした。その後、金陵大学(現・南京大学)、金陵女子学院を訪れ、ジョン・ラーベの映画の舞台になった安全区内の史跡を見学しました。夜は、南京大虐殺記念館で行われたキャンドル祭に参加しました。南京の小学生、中学生も参加して、各国の宗教者の祈りなどがありました。この日は松岡環さんら銘心会の一行と行動を共にしました。

金陵大学難民収容所犠牲者記念碑の説明をする松岡環さん
金陵大学難民収容所犠牲者記念碑の説明をする松岡環さん

14日午前は、12月にオープンしたばかりの慰安所旧所陳列館を見学しました。韓国人慰安婦の方が慰安所に使われていた建物を特定したことを受け、整備して陳列館にしたものです。慰安所における慰安婦の生活がわかるように展示されていました。また、中国各地の慰安所、日本、アジアの慰安所の資料も展示されており、日本軍の従軍慰安婦の実態がトータルに展示されている陳列館です。その後、孫文の墓がある中山陵を見学しました。

南京利済巷慰安所旧址陳列館
南京利済巷慰安所旧址陳列館
慰安婦の顔写真
慰安婦の顔写真

<蘇州>
昼食後、高鉄で蘇州に向かいました。夜は、蘇州市総工会の劉方寧副主席の招待宴がありました。
15日は、寒山寺、水郷の街・周荘を見学し、夕方、上海の浦東空港から、大阪・関空と東京・成田に向け、帰国しました。全行程の同行してくださった李晶宇さん、大変お世話になりました。

<資料>