内田雅敏弁護士が「元徴用工 和解への道―戦時被害と個人請求権」を出版

 日中労働情報フォーラムの会員でもある内田雅敏弁護士が本を書きました。
「元徴用工 和解への道―戦時被害と個人請求権」ちくま新書、880円+税です。

内田雅敏弁護士
内田雅敏弁護士


 「韓国人元徴用工問題を解決済とする日本政府。一方で元徴用工が補償を求める個人請求権が存在することも認めている。彼らの訴えに耳を傾けることが、戦後75年間、民間人の空襲被害や外国籍の人々への戦後補償を放棄してきた日本社会に問われているのではないか。著者は弁護士として中国人強制労働事件の和解交渉にかかわった経験を踏まえ、元徴用工問題和解への道を探る。」(カバーのそで)

「元徴用工 和解への道―戦時被害と個人請求権」


 内田弁護士は、本書に特徴があるとすればと「1、同種の中国人強制連行・強制労働問題における和解事例を参考にしながら元徴用工問題の解決を模索、2、和解、勝訴判決、付言、など、被害者に向き合った裁判官たちの心情、及びその後の和解事業への参加による感慨、3、和解に応じた企業のトップ、担当者らの思い。」の3点あげています。また、「被害者への謝罪と和解金のお届け、追悼、という和解事業の実践の中で、判決がうまくいかないから和解ではなく、歴史問題の解決は和解こそふさわしいということを実感してきました。歴史問題の解決は安全保障にも資するということも含めてです。」と言っています。
 私たちは、内田弁護士から中国人強制連行裁判の経過などを教わってきましたが、先生がこの間発表してきた内容をまとめた本と言えます。先生も「ある意味、45年間の弁護士生活のまとめのようなもです。」と言っています。
 和解なくして友好は築けません。私たちの活動も「日中不再戦誓い」をもとに和解と友好の内実を探る活動です。会員の皆さんにおすすめの一冊です。

伊藤 彰信(日中労働情報フォーラム代表)