「集会の自由」への侵害、歴史事実の改ざんを許すな!ー「ビザ発給拒否・集会妨害国賠裁判」報告会 (4/18)

「ビザ発給拒否・集会妨害国賠裁判」報告会が4月18日、衆議院議員会館で開かれ、80名が参加した。この日は、東京地裁で証人尋問が行われ、原告が証言した。

報告会は、吉池俊子(アジアフォーラム横浜代表)さんの司会ではじまり、主催者を代表して原告でもある藤田高景(村山首相談話の会理事長)さんが挨拶した。2015年11月に「戦争法の廃止を求め、侵略と植民地支配の歴史を直視し、アジアに平和をつくる集い」を開催した。韓国の徴用工被害者10名と中国の731部隊による細菌戦被害者12名を招聘したが、中国の参加者12名は日本外務省にビザ発給を拒否され、集会に参加することができなかった。戦争法に反対する人間を入国させるわけにはいかないというのが外務省の本音だと思う。この裁判は「集会の自由」の侵害、民主主義破壊の暴走を食い止める闘争である。

連帯の挨拶を二人の方から受けた。評論家の森田実さんは「衆議院の解散権について、マッカーサーは憲法第69条にもとづき国会にあると解釈していた。そのご吉田首相は第7条を持ち出して解散した。マスコミも解散権は総理の専権事項と報道しているが、憲法違反であり、権力の乱用である。韓国はけしからんということがまかり通るような世相に戦争の危機を感じる」と警告した。

長谷川直彦弁護士が「香港人見せしめ弾圧」について報告した。南京大虐殺の日の前日にあたる昨年12月12日、香港人ふたりが靖国神社に抗議行動を行い、建造物侵入で起訴された。今日まで拘留されている。4回保釈請求したが、却下された。過去に外国人が靖国神社に来て抗議活動をしたことは何回かあるが、逮捕もされず、国外追放になった。起訴されたことは政権の意向が強く影響したと思われる。7月7日、9月18日、12月13日に香港の日本領事館に抗議文を持っていけば、以前は受取っていたが、安倍政権になってから受取りもしなくなった。

弁護団の浅野史生弁護士、殷勇基弁護士から裁判の状況について報告があった。2016年3月に国家賠償請求の提訴をした。ビザ発給拒否によって原告らの集会の自由の権利が侵害された。国は、ビザ発給に関する外務大臣の権限は完全に自由裁量であり、理由についても明らかにする必要はないと主張した。裁判長から理由ぐらい明らかにしても良いのではないかという示唆があったので、国はしぶしぶ「中国人の招聘者である一瀬敬一郎弁護士の身元保証能力がない」というとんでもない理由を述べた。そして「集会はインターネット通信でもできる」といった。外務省の考え方は、人々が集まって顔を会わせながら意見交換することを保障している「集会の自由」を全く理解していない。外務省の担当課長を証人申請している。今後とも支援をお願いする。

原告である高鋒(中国湖南省の細菌戦被害者)さん、高嶋伸欣(琉球大学名誉教授)さん、田中宏(一橋大学名誉教授)さんが発言した。

細菌戦被害者の遺族であり弁護士である高さんは、ペストに感染した人の悲惨な死に方を説明し、「湖南省常徳市は軍事的な戦略拠点であり、日本軍は1938年から無差別爆撃を行った。空襲によって残った建物は病院と教会のふたつだけだった。1941年11月4日、ノミを投下し7643人がペストで死んだ。1943年に常徳会戦があり、虐殺も行われた。性奴隷にされた女性もいた。この事実を日本人にも中国人にも伝えたかった」と発言した。

高嶋さんは「この裁判が門前払いされずに公判が続いいていることに意味がある」と述べたあと、憲法第16条の請願権について説明し、忖度行政を正す必要があると述べた。

田中さんは「1985年の戦後40年にドイツのワイツベッガー大統領が『過去に目を閉ざす者は現在を見ることはできない』という有名な演説をし、歴史認識の重要性を説いた。同年8月15日に中曽根首相は靖国神社を公式参拝する。その日に南京に侵華日軍南京大屠殺遇難同胞記念館が、哈爾浜に侵華日軍731部隊罪証陳列館がオープンする。中国がこのような記念館をつくったのは、日本の教科書問題であり歴史の改ざんが行われようとしていたからである」と話した。

最後に、日中労交の伊藤会長が「権力の乱用、私物化、忖度の蔓延をおこなう安倍政治を許さず、歴史の改ざん、隠蔽による憲法改悪を阻止しよう」と閉会のあいさつをした。