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若い人に反戦平和の闘いを伝えることが歴史認識を深めるー日本反戦平和記憶国際シンポジウム(3月8日)報告

「日本反戦平和記憶国際シンポジウム」が3月8日、衆議院第一議員会館で開催され、中国・南京から3名の学者をはじめ250名が参加した。

田中宏さん(ノーモア南京の会・東京)が特別報告

シンポは、山口たか(戦争をさせない市民の風・北海道)さんの司会ですすめられ、はじめに主催者を代表して「村山首相談話を継承し発展させる会」の藤田高景理事長が「日本の反戦運動とその記憶を研究してきた林先生を迎えてシンポを開催できることは光栄です。安倍政権は、日本の中国への侵略を認めない、朝鮮半島の植民地化を正当化する。そうではない、平和、護憲、福祉の社会をつくろう」とあいさつした。

連帯のあいさつとして、福山真劫(平和フォーラム代表)さんが「憲法改正発議を絶対に阻止する」と決意を述べ、今後の行動を提起した。また、日弁連の福山洋子弁護士が日弁連の憲法ソング「わたしたちのねがい」を紹介した。

田中宏(ノーモア南京の会・東京)さんが「南京大虐殺を問い続ける意味」と題して特別報告を行った。

シンポジウムの発言者は、鳥越俊太郎(ジャーナリスト)、林敏潔(南京師範大学教授)、香山リカ(精神科医)、葉琳(南京大学教授)、高野孟(ジャーナリスト)、姜勝龍(南京師範大学・博士課程)、木村朗(鹿児島大学教授)、纐纈厚(明治大学特任教授)の8人。

林さんは「日本民間反戦記憶に関する多分野研究」を報告

林さんは「日本民間反戦記憶に関する多分野研究」と題して発言し、「日本民間の反戦資料は反戦平和の呼びかけの貴重な基礎的資源である。日中戦争期の史料を発掘し社会研究の領域を広げ、平和に関する市民的関心を喚起し、日中両国の相互理解を深め、中日友好促進の多様なモメントを形成する」とその研究意義を述べ、文学、メディア、映像、音楽などの反戦記憶の研究、整理、データベース化、日本人青年層の戦争記憶調査、戦争体験者の口述記録整理などのテーマで研究を進めていると説明した。葉さんは「日本戦後文学における反戦記憶研究」について、姜さんは「日本戦後文学からの反戦意識を考える」について発表した。

林敏潔(南京師範大学教授)さん

鳥越さんは「多くの米軍基地が存在する日本はアメリカの支配下にあるといっても過言ではない」、香山さんは「戦争によるトラウマについての研究はフロイトから始まったが、PTSDの概念が出来上がってきたのはベトナム帰還兵からであり、戦争被害者の研究は稀である」、高野さんは「安倍政権は、憲法改正、統計疑惑、アベノミクス、辺野古基地建設、原発、北方領土、拉致問題など、どれをとっても八方ふさがりである」、木村さんは「戦争終結の決断が早く行われていたら、東京大空襲、原爆投下、ソ連参戦、朝鮮半島の分断はなかったろう。植民地主義を清算するチャンスも失った」、纐纈さんは「明治以降、日本は10年おきに戦争してきた。日本は中国に敗北し、アメリカに降伏した。朝鮮戦争は脱植民地戦争だった。中国・朝鮮を蔑視し続ける思想が歴史認識を不在にしている。安倍は、歴史の暗殺者としての権力者だ」と発言した。

続いて、東京朝鮮人強制連行真相調査団、731部隊・細菌資料センター、重慶大爆撃の被害者と連帯する会、朝鮮人強制労働者補償立法をめざす日韓共同行動、安倍靖国参拝違憲訴訟の会から、それぞれの活動について報告があった。

 進藤栄一(筑波大学)さんが総括発言

最後に進藤榮一(筑波大学大学院名誉教授)さんが総括発言を行い「『知識は人間を自由にする』と初代国会図書館館長だった羽仁五郎さんの碑があります。『歴史は人間を自由にする』ことを改めて感じました。歴史を忘却する者は歴史のトラウマにあって反逆される。日本はバブルが弾けて立ち直れないでいる。日米半導体協定が日米安保同盟から逃れられなくした。米中貿易摩擦は同様のせめぎあいである。左派、リベラル派は、経済、外交を語らなければならない。平和とは暴力がない状態を言うのではなく、構造的暴力のない状態、抑圧のない状態をいうのです。子どもの貧困、子どもの虐待が常態化してるではないですか。平和にとって最大の脅威は敵をつくることです。戦争をすすめようとする人間、抑圧を強めようとする人たち、それによる利益を求める者たち、集団、国家がいるのです。21世紀はパックス・アシアナの時代です。3.1独立宣言は日中韓が軸となって新しいアジアをつくろうとした。習近平の『一帯一路』は新しいグローバル・ガバナンスです。国と国の関係は敵をつくる同盟関係ではなく、連結する関係がキーワードです。私たちは、平和なアジアをつくっていこうではありませんか」とまとめた。

<報告と写真・伊藤彰信>

「中国・北朝鮮脅威論を超えて 3・28緊急市民集会」ご案内

安倍政権は秘密保護法・戦争法・共謀罪の強行成立や憲法改悪への策動など、日本を平和・民主国家から戦争・警察国家への転換・戦前回帰という極めて危険な方向に国の形を変えようとしている。朝鮮半島危機を最大限に政治的に利用・扇動しながら、悲願の憲法改悪を強行しようというのが安倍政権の軽薄な“戦略”だ。
中国や北朝鮮を敵視する「安倍歴史修正主義政権」は、アジア諸国との緊張をいたずらに高め、この地域に再び戦火を招こうとする米国の軍産複合体の恰好な餌食となっている。
日本を代表する学者・ジャーナリストが、安倍首相の戦争政策の馬鹿さ加減を暴露し、日米安保条約を基盤とする日米軍事一体化論ではない、東アジアに平和で繁栄をもたらす構想を明らかにしたいと考えている。
日本の国益を損なう安倍政権の退陣を訴える緊急市民集会に皆さまのご出席をお待ちしております。

中国・北朝鮮脅威論を超えて 3・28緊急市民集会
――東アジア不戦共同体の構築を目ざして――

日 時 2018年3月28日(水) 16:30~19:30(開場16:00)

会 場 衆議院第一議員会館・B1・大会議室
16時から衆議院第一議員会館のロビーで、入館カードを配布します。
当日は、満席が想定されますので、早めのご来場をお願いいたしす。

主 催 村山首相談話を継承し発展させる会
共 催   東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会

◆ 資料代 500円

◆ 内 容
プレイベント 歴史紙芝居「赤い夕日」(9・18柳条湖事件 竹内洋子)
モデレーター 木村朗(鹿児島大学教授)
主催者挨拶  藤田 高景(村山首相談話の会・理事長)
連帯の挨拶  福山真劫(平和フォーラム・共同代表)
立憲野党からの連帯挨拶
講 演
1 高野孟(ジャーナリスト・インサイダー編集長)「台頭する中国脅威論と東アジアの平和」
2 李鍾元(早稲田大学大学院教授)「切迫する北朝鮮問題と東アジアの平和」
3 前田哲男(軍事評論家)「安倍政権の対北敵視政策がもたらす悪夢――『朝鮮戦争』から何を学か」
4 柳澤協二(元防衛庁官房長)
5 成沢宗男(「週刊金曜日」編集部員)「米国の対北朝鮮核攻撃計画――ICBM実験に端を発した危機の根本要因とは何か
総括発言  進藤榮一(筑波大学名誉教授)

申 込
E-mail  murayamadanwa1995@ybb.ne.jp
恐縮ですが、上記のメールアドレスまで、大至急、出席申し込みをお願いいたします。消防法の関係で会場は300人しか入れませんので定員になりしだい締め切らせていただきます。

●なお、終了後、講師の先生方を囲んで、近くのレストランで懇親会(飲み放題がついて会費2500円)も開催いたしますので、あわせてご出席をお願いいたします。このレストランは、30名定員ですので、あわせて事前にお申し込みいただければ幸いです

    資料: 中国・北朝鮮脅威論を超えて 3・28緊急市民集会の案内チラシ