松尾直樹
9月2日、関東大震災で虐殺された中国人遺族(周松権・邱煜峰・陳興斧の3人)が来日し、参院議員会館で外務省の担当者に公式謝罪を要請しました。遺族を代表して浙江省温州の遺族聯誼会(準)のメンバーの周氏は、「2014年に最初の要望書を日本政府に手渡してから10年以上が経ったのに、未だに何ら答えも説明もない。この長期に渡る沈黙に強い怒りを感じている」と述べたうえで、5項目の要望―①関東大震災での中国人虐殺の歴史的事実を認め、犠牲者および遺族に対して日本政府は公に謝罪する②1924年に閣議決定された賠償方針に従い、物価水準や犠牲者数を考慮したうえで、速やかに賠償を実施する③虐殺の地に祈念碑を建て、中国人と朝鮮人虐殺を記録した記念館を設立して後世に伝える④この歴史的事実を日本の中学と高校で使用する歴史教科書に載せ、若い次の世代に伝えて教訓とする⑤犠牲者の財産を遺族に返還し、毎年9月に遺族代表を招いて追悼大会を行ない、日本政府代表があいさつをするーを読みあげ、「750人を超える中国人が虐殺された事実を認め、速やかに日本政府が対応するよう督促する」と強く訴えて担当者に手渡しました。
外務省の担当者は、「当時、痛ましい出来事があったのは認識しているが、日本政府には具体的な事実関係を把握できる記録は残っていない」と発言し、その後も同様の回答を繰り返すのみで、「関係各省庁でこの話を伝えて共有する」と逃げの答弁に終始していました。参加していた日本の支援者からは、「日本政府は、虐殺された被害者の遺族の声に全く応えていない」とか、「前日(9月1日)にも、日本軍による731部隊の細菌戦の被害者遺族が同じように日本政府に公式謝罪を求めたのに、いつも『持ち帰り検討する』としか言っていない。不誠実極まりない対応だ」との怒りの声が上がっていました。