新たな50年へ出発を誓う
日中労交の2025年度総会が4月6日(日)午後、東京都大田区で開催されました。
あいさつに立った伊藤会長は「昨年は日中労交50周年事業をやりきった。これからは日中労交の活動をどう継承していくのか、世代交代を図っていくのかが課題である。トランプが再び米大統領となり、関税戦争がはじまった。WTO体制が崩壊したと言える。刃を突き付けながら米中平和共存体制を模索することになるだろう。習近平主席が言うように100年に1度の世界の大転換を迎えようとしている。台湾の頼総統は『中国政府は敵対勢力』と発言した。これは内戦布告とも受け取れる発言である。ヘグセス米国防長官は『日本は中国共産党の軍事侵略を抑止する上で不可欠なパートーナー』と述べ『西太平洋のいかなる有事においても日本は最前線に立つ』と述べた。長射程ミサイルが九州に配備されるが、米軍が発射命令を出し、ボタンを押すのは自衛隊という体制ができている。日本の労働運動は賃上げで浮かれているが、満額回答を上回る回答が防衛産業で続出している。日中労交は、連合に行かなかった労組を中心に継承されているが、総評時代のような日中友好運動を行うことは出来ない。新しく日中労働者の友好交流を地道につくりあげながら、日中不再戦の誓いを実現するよう頑張りたい。」とあいさつしました。
議事に入り、第一議題の2024年度活動報告を藤村事務局長が、付属討議資料の50周年事業総括を伊藤会長が提起しました。伊藤会長は、「9月に訪中したとき領土問題で議論になったが、領土問題で対立を煽るのではなく、『棚上げ論』を堅持すべきだ』と反論した。」、「原水禁大会で中国人民平和軍縮協会の安月軍秘書長が『中国は核先制不使用を宣言している。核保有国の先制不使用条約を締結したい』と述べたことを支持したい。しかし、その後の国際会議ではこの議論は進んでいない。日本の原水禁運動が分裂している状況では後押しする力が弱いし、核弾頭保有数を増やしている中国に対して冷ややかな目が強い。」、「被団協がノーベル平和賞を受賞したが、中国の見方は冷ややかである。『原爆投下は戦争終結を早めるためにやむを得なかった』、『日本は原爆の悲惨さを強調することによって、中国侵略を免罪しようとしている』、『日本人は天皇の戦争責任をなぜ問わないのか』という意見がでてくる。」、「日中労交として日本の平和運動・原水禁運動の論争に深入りするすることは止める。日中友好の原点は、日中共同声明で中国が戦争賠償請求を放棄したことである。悪いのは日本軍国主義者であって日本人民は悪くないという周恩来総理の『二分論』を踏まえて、日中労働者間の相互理解を深め、和解から友好をつくりあげていく。日中労交は南京に『日中不再戦の誓い』の碑を建てたのだから、南京に行くことを軸に交流を続けていく。」と発言しました。
参加者(傍聴者を含めて)からは、いま日中友好運動を強めることの必要性、中国を訪問した時の想いと感動などについて発言がありました。
第二議題の2025年度活動計画案を伊藤会長が「今年12月の訪中では参加人数枠が増えたので教育労働者や若い人の参加を促したい。国内フィールドワークに積極的に参加してほしい。学習会を開催し会員の相互交流と活動の後押しをしていきたい」と提起しました。また、リニューアル工事中のホームページについて担当者から説明がありました。討論では、どのような学習会を開催したら良いか、若い人が興味を引く企画ができるか、さまざま意見が出されましたが、まずはいろいろな課題について自分たちがレポーターになって相互学習をすることが出発点だということになりました。学習会には口コミで会員以外の人も誘って、会員拡大を図っていきたいと思います。
今回の総会は、結成50周年後の活動方向をつくりあげていく重要な総会でした。情勢が大きく動く中で、日中友好の原点を押さえながら、枠を外さずに、着実に前進していく決意を固めることができました。今の日本には日中友好を語ることに気まずい思いをする雰囲気がありますが、内にこもることなく、会員がそれぞれの場で自信をもって活動できるように、協力し合いながら進めていくことについて話し合いました。