第28回大阪中国人強制連行受難者追悼会が10月11日、港区の天保山公園の追悼
記念碑「彰往察来」の前で行われた。今年は中国駐大阪総領事館職員や中国人留
学生の参加もあり、約40人が参列した。
大阪には1944年10月に1000人を超える中国人が強制連行され、そのほとんどが
港湾荷役に従事させられた。過酷な労働によって1年足らずのうちに86名が死亡
した。
追悼会は、実行委員会の櫻井秀一事務局長の司会ですすめられた。櫻井さんか
ら強制連行の実態と「彰往察来」の建立の説明を受けた。主催者を代表して実行
委員会代表の冠木克彦弁護士が「戦後80年の報道では、戦争による被害の報道は
多かったが、加害に関する報道はほとんどなかった。今、日本では加害を忘れ、
中国との戦争の準備がすすめられている。日本軍国主義による中国侵略戦争の加
害責任を反省し、強制連行により無念の死を遂げられた方々を追悼し、平和へ決
意を固めよう」と訴えた。
薛剣中国駐大阪総領事は、「近年日本では中国侵略の歴史事実を否認するとと
もに戦争を美化し、戦前回帰の動きが強まっている。戦後80周年という節目に当
たり、真実を伝え、歴史から教訓を汲み取り、再び戦火を交えることがないよう、
平和をつくらねばならない」と訴えた。
日中労交の伊藤彰信会長は、「昨年は日中労交50年の話をさせて頂いた。今、
日中労交は「和解から友好へ」をスローガンに活動している。昨年、南京を訪れ
て、日本人は中国への加害の歴史を知らない。中国人は日本の戦争被害を知らな
いということが分かった。今年の交流では平和教育をテーマに交流したいと思っ
ている。戦争体験者がほとんどいなくなってしまったが、歴史を伝えるためには、
知る平和教育、調べる平和教育をさらに進めて考える平和教育が必要なのではな
いか」とあいさつした。
追悼会では、朝鮮総連大阪府本部の池昇哲組織部長、大阪府日中友好協会の大
藪二朗常務理事、全港湾大阪支部の加来洋八郎元委員長、韓国の原爆被害者を救
援する市民の会の市場淳子 会長があいさつした。
最後に、全員で献花をし、追悼会を終了した。
日中労交は、前日に櫻井事務局長、冠木代表を招いて学習会を開催し、追悼会
に臨んだ。