関東大震災朝鮮人・中国人虐殺102年犠牲者追悼大会開かれる

開会あいさつ田中宏一橋大学名誉
教授

松尾直樹

8月31日、都内の明治大学リバティホールで朝鮮人・中国人虐殺102年犠牲者追悼大会が開催され約500人が参加しました。主催者を代表して、田中宏一橋大学名誉教授が、「7月の参院選では、日本ファーストを掲げる政党が躍進するなど、排外主義的な主張が広まっている」と述べ、「本日は 、どうやって過去と向き合うかということを含めて、皆で一緒に考えていきたい」とあいさつしました。

韓国と中国の遺族代表あいさつ

続いて、中国人犠牲者の遺族の代表として、浙江省温州から参加した遺族聯誼会(準)の周松権氏は、「当時、浙江省澤雅鎮桂川村から日本に働きに来ていた祖父の周可洪は、20余人の仲間と共に虐殺され、生き残ったのは2人だけだった。本日は、700人以上の中国人と、6000人が虐殺された朝鮮半島出身者を慰霊するために参加した。102年前の惨劇は天災ではなく、偶発的な出来事でもない。組織的に行なわれた露骨な大虐殺だ。日本政府が歴史的事実を隠蔽し、改ざんすることを許す訳にはいかない」と強調しています。また、同省の邱煜峰氏は、「高祖父の邱国蓮さんが虐殺されたあと、高祖母のもとには、21歳の曽祖父を頭に三女二男が遺された。高祖父が受難した江東区大島の地に花をおいた。歴史は鏡のようなもので、鏡の汚れは拭かなくてはならない」と訴えています。そして、福建省福清の陳興斧氏も、「1923年に刻まれた名簿には、13人の福清出身者が記され、現在までに6人の遺族が明らかになった。現在の横浜市鶴見区潮田町で、四肢の関節を全て逆折りされた伯父の陳善慶さんを暴徒から救い出した日本人妻の名前を尋ねている」と語っています。

会場全体

第1部の最後に追悼のパフォーマンスとして、ハ・ジョンナム氏による「解きまた息をする」と題した追悼のパフォーマンスも行なわれました。休憩を挟んで、第2部として関東大虐殺の責任をただす集いが開催され、ジャーナリストの安田浩一氏によって、「虐殺の風景―誰が殺したのか、誰が殺されたのか」と題した講演が行なわれています。安田氏は、「102年目の自警団として、クルド人を追い出せ、犯罪者を叩き出せと叫ぶ者たちが出ている」と話し、「関東大震災の震災虐殺を取材するなかで、官製ヘイトとも言える差別と暴力が明らかになった」と指摘した。そして、「今こそ、殺さない、殺されない、殺させないためにレイシズムとの決別が大事だ」と訴えました。そして、各地の取り組みの報告が行なわれた後に、「関東大震災の歴史にむきあい、再発を許さない共生の社会を!」と題した集会アピールが全体の拍手で確認されています。

参考:集会アピール