JCLIF レポート

中国:日中合資の国有企業(南昌硬質合金)でストライキ (2013/3/7)

 国有企業傘下の日中合資企業で、国有企業改革にともなう補償の実現をもとめて労働者がストライキ、のニュースです。原文ページに写真があります。

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中国:日中合資の国有企業( 南昌硬質合金 )でストライキ
2013年3月7日 自由アジア

江西省南昌にある中国と日本の合資企業、硬質合金工場ではストライキ労働者


【写真】2013年3月7日、江西省南昌にある中国と日本の合資企業、硬質合金工場ではストライキ労働者が「政府の腐敗反対、我々の労働の対価を返せ」という横断幕を掲げて、福利厚生の改善を求めている。(写真は市民による提供)

江西省の中日合資の国営企業では、企業制度改革をめぐり、100人余りの労働者が3月6日からストライキに突入し、7日にはデモと道路封鎖で抗議し、賃金と福利厚生の改善を要求した。現在も双方は合意に達しておらず、生産部はほとんど生産停止状態となっている。(文宇晴 報道)

南昌硬質合金工場で働いている何さんによると、ストライキに参加している労働者は、おもに生産部の人たちで、3月6日から横断幕を掲げて工場の外で座り込みの抗議を行い、会社の経営陣の腐敗に抗議し、賃金と福利厚生の改善を供給している。何さんはストライキに参加していないが、彼によると「問題は企業制度改革にあります。それまでは個別に不満がでていたのですが、今回のような大規模なものは昨日が初めてです。生産部を中心に生産も一部が停止しています。今日も100人ほどが入口に集まって抗議しています。全職員の2割ほどでしょうか。」

【写真】路上を封鎖して抗議する

何さんによると、会社の幹部連中とグループ本部の人間が7日に現場にやってきて労働者と対話を行ったという。しかし現在のところ労働者のほうも代表を選んで会社と協議を行うまでにはなっていないようだ。「いくつかの要求については箇条書きで提示されているようです。会社側は外部で協議をしようとしているようですが、詳細な協議は難しいのではないかと思います。ちゃんとしたテーブルについて協議するには事の事態[国有企業の制度改革のことか?:訳注]を理解している交渉代表を選出する必要がありますが、労働者のなかでそれをしっかり認識している人がいるかどうか」

マイクロブログではストライキ労働者が書き込みをしている。会社は何年にもわたって制度改革を進めてきたが、労働者に約束した補償はなされていないという。また底辺労働者の賃金はあまりに低く、月給はわずか1千元余りにすぎずインフレに全く追いつかない。その一方、高級管理職の賃金は何十倍にもなり、労働者の恨み節があちらこちらから聞こえてくる。ストに参加している労働者によると、低級管理職も糾察隊をつくってスト破りに備えているという。工場内に外部の人間が立ち入らないように見回り、ストに反対する輩がかってに生産を始めないように監視しているという。

硬質合金工場に電話をしてみたが誰もでない。

【写真】南昌硬質合金工場の外では警察が秩序維持

労働者の権利に関するNGO「労工権利センター」の責任者、張軍さんによると、全国各地のストライキは旧正月前に発生していたという。正月休みで帰郷した労働者が休み明けに戻ってくるように、賃金の一部を未払いにしていたことなどが、労働者の不満を高め、未払い賃金の支払を求める争議が多発していた。

旧正月が明けて以降の争議の多くは待遇改善に関することだと張軍さんは指摘する。賃上げが物価上昇に追いつかないことから、賃上げをもとめてストライキに突入するという。「国有企業改革は多くの労働者を悲惨な境遇に追いやりました。1995年から1998年は国有企業改革によるリストラが横行しました。時の首相、朱熔基は国有企業の私有化にむけた大鉈を振るったのです。当時は数多くのストライキが発生しました。現在このテーマを巡るストライキは、当時よりも少なくなっているでしょう。南方の沿海地域での争議の主因はおもに待遇改善をめぐるものです。」と張軍さんは語った。

南昌硬質合金工場は47年の歴史がある。おもにタングステン粉で作った製品、硬質合金パイプ材、研磨工具などを生産している。アメリカ、欧州、日本、東南アジアなどの国と地域に輸出している。同業では比較的規模の大きな会社で、江西省の重点企業でもある。2003年5月に企業再編が行われ、中日合資企業となった。

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<訳者解説>

中国の国有企業については、日本の報道では大型国有企業による市場占有や海外進出などが取りざたされていますが、「国家資本主義」の寵児としてもてはやされたり批判されたりしている、これら大型国有企業の急成長の影には、1990年代から2000年代はじめにかけての民営化の嵐がありました。数千万の労働者が街頭に放り出されるいっぽう、民営化の利権を手中にした旧経営陣や官僚グループが誕生しました。リストラを逃れて企業内に残った労働者も派遣や請負などの非正規・格差雇用の賃労働に従事しています。

争議の発生した南昌硬質合金有限責任公司は、国有企業の五鉱有色投資ホールディングスが63%、日本企業のタンガロイが21.43%を出資している日中合資企業です。2003年5 月に現在の体制に再編されました。

タンガロイ(日本語)
http://www.tungaloy.co.jp/ttj/company/office/external.html
南昌硬質合金有限責任公司(中国語)
http://www.chinancc.com.cn/Aboutus.asp?Title=公司?介

タンガロイには東芝グループ労組連合会に加盟するタンガロイ労働組合があります。

東芝グループ労組連合会の加盟組合
http://www.more.or.jp/(3-4)kumiai.htm

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