JCLIF レポート

中国:深センの松下電工関連会工場で労働者が解雇補償金を要求 (2013/2/27)

 中国では一年に一度の全人代が始まりました。今年は国家主席、首相など、人事総入れ替えの年です。そんな中国で、日系企業の争議のニュースです。
 昨年3月末、賃上げなどの待遇改善とともに労働組合執行部の改選を要求しストライキが行われた深セン欧姆電子で、2月27日に雇用契約に関する補償金の増額を労働者が要求しています。 深セン欧姆電子では、昨年5月に労働組合の委員長の直接選挙を実施し、現地メディアでも大きく取り上げられ、先進的な「広東モデル」として評価する声もありました。
 参考:欧姆電子(深セン)有限公司労組で新執行部選出(2012年5月28日)
 今回の補償金要求について、労働者は組合の不作為に対しても不満を募らせており、委員長罷免の署名をあつめて組合に提出しています。一方、上部団体に当たる深セン市総工会なども対応に迫られているようです。これについては、地元紙でも報道されており、労働者たちの訴えもウェブ上に出回っていますので、後日また紹介します。

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中国・深センの松下電工関連会工場で労働者が解雇補償金を要求
中国労工通訊(チャイナレイバーブレチン)
2013年2月27日

解雇補償金を倍額支払わなければ飛び降りると訴えた

2月27日早朝7時、深セン欧姆電子の労働者十数人が工場6階のベランダで、解雇補償金を倍額支払わなければ飛び降りると訴えた。

かれらは2月28日に雇用契約の期限が迫っていた。すでに6~7年ここで働いており、契約更新も3回以上となる労働者もいた。(3回連続の雇用契約更新の場合、原則として期間の定めのない雇用契約を結ばなければならない)詳しい事情を知らずに、一ヶ月前に会社から提示された「期間の定めのない労働契約を放棄する」という協定書にサインをしていた。数日後に弁護士に問い合わせて労働者たちは権利を放棄させられた事実を知った。

労働契約法87条では、期間の定めのない雇用契約において、解雇する場合は通常の倍の補償金を支払わなければならないと定められている。しかし期間の定めのない労働契約の権利を放棄した労働者は、雇用期間終了後に契約更新されない場合は、通常の補償金しか受け取ることができない。(企業の側から言うと、契約解除に伴う補償金を半分節約することができる:訳注)

午前10半ごろ、派出所の民間警察がやってきて、「とりあえず下に下りてから話そう」と呼びかけたが、労働者たちは、補償金の倍増か期間の定めのない雇用契約かどちらかを提示するよう要求した。

期間の定めのない労働契約の権利を放棄する協定書に署名した労働者は22人で、そのほとんどが2005年に雇用されたという。

深セン欧姆電子有限公司は深セン市龍崗区坂田街道弁龍壁工業区にある会社で、日本の松下電工グループの子会社で、850人が働く。1996年に設立された。去年3月末に700人余りの労働者が待遇改善を要求し、操業が停止した。市の総工会が介入して5月に企業内労働組合の役員の直接選挙が実施され、製造部の趙紹波科長が委員長に選出された。

労働組合の委員長選出では初めての直接選挙ということもありメディアが注目してきたが、趙紹波委員長はメディアへの露出を控えてきた。法律専門家や草の根団体などは、直接選挙は始まりの一歩であり、選出された代表が本当に労働者の利益を代表できるかどうかが重要であると考えてきた。

午後3時、労働局が調停にあらわれたが、会社側が拒否。会社に補償を求める労働者たちは労働局で事態の推移を見守っている。組合員長の電話は話中でつながらない。

インタビューに応じた労働者によると、去年労働者の直接選挙で選出された執行部は「事態に対応する能力がない」し、委員長の選出も「誤った選択だった」という。

ベランダで要求を掲げる労働者は、説得に訪れた組合委員長に対して「立ち去れ!」と叫んだ。行政部門でも解決できないのに労働組合ならなおのことだ、と労働者は考えている。

(以下略)

原文 http://www.clb.org.hk/schi/node/1313271

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