JCLIF レポート

中国:労組委員長の罷免を要求した労働者の訴え (2013/3/1)

 【編集部】深センの日系企業、欧姆電子工場[松下電工傘下]でストライキ争議[2012年3月]の後の2012年5月27日に行われた労組役員改選の直接選挙で、36歳の製造科長、趙紹波が選出された。昨日(2月28日)、マイクロブログで次のような書き込みがあった。「労働組合の看板の下に組合委員長の罷免を要求した連名書が貼り出された」。すぐにこのニュースは広がった。なぜ一年もたたずにこのような事態になってしまったのか。欧姆電子労働者の訴えを掲載する。
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私たちはなぜ労働組合委員長の罷免を要求するのか
欧姆電子労働者

2月28日に私たち欧姆労働組合の組合員106人が、法律の規定を根拠として、臨時組合員大会を召集し組合委員長の罷免を求める署名を行いました。午後、私たちは106人の署名および要望書を欧姆労働組合と[直属上部組織の]坂田街道労働組合に提出します。法律の規定によると、労働組合は一カ月以内に罷免するかどうかの関する決定を行わなければなりません。

欧姆労働組合は昨年、全組合員による直接選挙を経て組合員長を選出しました。本来であれば委員長が執行委員たちを率いて労働者の権利を守らなければなりません。しかし、この一年の労働組合の運営において、私たちが目の当たりにしたものは、労働組合委員長としての職責を果たすのではなく、ことあるごとに会社の立場に立って、私たちの権利を侵害する手助けをしたということでした。

私たちはベテランの従業員で、2008年から会社との間で二度の期間に定めのある雇用契約を結び、二度目の契約の期限を間もなく迎えようとしています。「労働契約法」の規定では、会社は私たちとの間で期間に定めのない雇用契約を締結しなければなりません。しかしここに至り、会社はさまざまな方法で私たちの利益を損なう手段をとり始めました。1月28日、会社は今後労働契約を締結せず、在職年数1年につき一カ月分という通常の解雇補償金を支払うという通知を、6年ないし8年間働いてきたベテラン職員22人が個別に受けとりました。

私たちは通知を受け取ってから、何度も労働組合に意見や助けを求め、労働組合が私たちを支持、支援してくれるよう希望しましたが、労働組合は初めから終わりまで何の対応もとらず、私たちが会社に騙されて離職協定にサインすることになってしまいました。法律の規定では、[一方的な雇用契約不更新の場合は]在職年数一年につき2か月分の経済補償金を支払わなければならないのです。労働組合の不作為により、私たち22人の従業員は巨額の経済的損失をこうむることになりました。その後、私たちは組合がこの争議に介入するよう要求しましたが、労働組合は私たちのために取り組みをはじめるどころか、委員長は私たちを組合事務所から追い出してしまったのです。

2月6日、会社は、雇用契約の期限を迎えようとしていた別の従業員との間で、期間の定めのない雇用契約を締結しはじめました。会社は「労働契約更新意向書」を提示し、そこには契約更新の翌月から10%の賃上げが約束されており、契約更新の後に労働者が離職を申し出た場合は3か月分の賃金の補償金を受け取ることができると書かれてありました。13人の労働者がこの意向書に署名し、そのうちの一部はすでにこの内容に沿った期間の定めのない雇用契約の正本にサインしたのです。しかしその後の状況は完全に私たちの予想を裏切るものでした。2月末になり、その他の職員もつぎつぎと新しい雇用契約に署名し始めていましたが、このときに会社が提示した意向書と2月6日に示されたものに食い違いがあったのです。賃上げについては一切提示がなく、たんに期間の定めのない雇用契約を締結するとだけ記されていたのです。

また、会社は最初に締結した意向書を回収したうえ、その内容を認めようとはせず、一方的に労働者に不利な内容に修正した新たな意向書に署名することを迫りました。このような雇用契約意向書の変更や労働者の利益を損なう行為に対して私たちは断固として反対します。私たちは何度も組合に支援を求め、組合が介入して対処するよう要求しました。しかし委員長はなんら対応をとろうとはしないだけでなく、会社が一方的に変更した契約に署名するよう水面下で労働者を説得していたのです。

労組の委員長によるこのようなたち振る舞いは、これまでの普段の行いや態度を連想させるものでした。つまりこれまでも、組合の会議の内容は私たち組合員にはあいまいにされ、2012年に私たちがストライキで要求した内容の一部はいまだに実現しておらず、高温手当要求は会社と組合委員長との間で責任を押し付けあっており、本来は会社が負担すべき従業員厚生費用を組合員の同意を経ずに委員長が組合会計から2万元を支出することを独断できめたりしていたのです。組合は私たちの待遇改善に取り組まずに、祝祭日に支給されるわずかばかりの恩恵でごまかそうとしてきました。そして今回、労働契約に際して私たちは何十万元もの損失を被るはめになったのです。

欧姆労働組合は深セン163社で実施される予定の労働組合委員長の直接選挙の模範をしめし、真に私たち労働者の労働組合になる必要があります。私たちが選出した労組執行部が私たちの立場に立たず、経営者に味方して私たちに対峙するときには、私たちはそのような執行部を罷免する権利があります。

執行部の罷免という問題に関心を寄せていただくとともに、私たちが直面する切実な問題にさらに関心を寄せていただきたいと思います。委員長の罷免は私たちの目的ではありません。私たちは、労働者のために主張し、私たちの問題を解決し、私たちの権利を守る労働組合を必要としているだけなのです。

2013年3月1日

原文 http://www.chengbiancun.com/2013/0301/28418.html

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