カテゴリー別アーカイブ: 香港

中国職工対外交流センターとの懇談 訪中団あいさつ

2019年8月19日

中国職工対外交流センターとの懇談

訪中団あいさつ

伊藤彰信(日中労働者交流協会会長)

今回も私ども日中労働者交流協会訪中団を快く受け入れてくださり、ありがとうございます。昨年は、日中平和友好条約締結40周年にあたり、李克強首相の来日、安倍首相の訪中と、日中関係の改善がすすんだ年でした。当協会も貴センターとともに「日中友好労働者シンポジウム」を北京で開催し、日中労働者の相互理解を深め、友好交流をさらにすすめることができました。また、今年6月、侵華日軍南京大虐殺遇難同胞紀念館で「和平の旅」のインタビュー受けました。私どもにとっても南京紀念館との交流の歴史を振り返ることができました。

安倍政権は、昨年、国内では明治維新150年を記念する事業を行い、明治維新以来の日本を美化、正当化しようと企てました。1972年の日中共同声明の際に、周恩来首相は「両国は2000年の友好往来と文化交流」と述べるとともに「1894年から半世紀にわたる日本軍国主義の中国侵略」と述べています。今年は、南京に「日中不再戦の誓いの碑」を建てて10年にあたります。碑文は1931年からの15年間の日中戦争の反省について述べていますが、日清戦争については述べていません。今回は、明治以降の侵略の歴史を銘記するためにも、旅順を含めて東北地方(旧満州)を訪れることにしました。

最近、香港情勢が大きく報道されています。アメリカが中国へ貿易戦争を仕掛け、香港の一部の勢力を煽って中国政府を攻撃する政治問題に発展しています。

私は先日、全港湾の資料室に行って、天安門事件直後に当時の中華全国総工会国際連絡部の陳瑞華副部長が全港湾に送った手紙を読み直してきました。陳瑞華先生は「両組織間で培われてきた友情と信頼を大切にし、こうした友好関係を一段と実着、発展させるために共に努力したいと念願しています。とりわけ現在の新しい情勢の下では、中日両国労働組合の相互理解と友情をいっそう増進することは重要な意義をもっています。」と述べています。

今の私の気持ちは、陳瑞華先生の気持ちと全く同じです。当協会の会員の中には、香港情報を宣伝し、日中友好を損なう言動をとる者もいます。この間、私どもは、当協会の目的は日中友好の促進であること、友好とは相手を尊重し信頼するものであることを確認するとともに、日中友好を損なうことがないように対応し、情勢を見誤ることなく日中友好・交流を続けるための議論をしてきました。

米中貿易戦争が激化する中で、安倍は中国敵視政策を巧みに展開しながら南西諸島に自衛隊を配備し、また、韓国の徴用工問題の責任を認めず、ナショナリズムを醸成して、憲法改悪を図ろうとしています。日中友好交流は世界平和を築く上で益々重要になっていると思います。

昨年、「日中友好労働者シンポジウム」を開催して、日中労交としても自信をつけることができました。新しく日中労交に参加してくれた現場の労働者が報告を担ったことです。また、中華全国総工会の第17回大会の報告を聞いて、総工会の現在の活動を知ることができました。私どもが関心を持っていることは、労働組合改革が現場でどのように行われ、労働者と結びついた活動がどのように展開しているのか、いわば「大衆路線」の実践についてです。あまりにも企業主義になってしまった日本の労働組合を改革する視点をみいだせればと思っています。

シンポジウムのスローガンは「歴史を銘記し、未来に目を向け、友好交流を促進しよう」でした。日中労交は労働者の組織ですから、「 日中不再戦の誓い 」の精神を受け継ぎながら日本軍国主義の侵略遺跡を訪れること、日中平和友好条約の精神にもとづき冷戦後の平和な世界秩序を展望すること、グローバル時代、AI時代における日中労働者の友好・連帯を探ることなどの活動を通じて、日本の平和・護憲運動や労働運動に役立ちたいと考えています。そして、日中友好を若い人に伝えていきたいと思っています。

 日中労交は小さな組織ですが、貴センターとの友情を育み、相互理解を深め、平和と繁栄に役立つ友好・交流を続けたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。

講演会『香港雨傘運動と「一国二制度」の将来』のお知らせ(5/23)

こんにちは、会員のいながきです。

こんな貴重な講演会のお知らせをいただきました。
講演者の周保松氏は2014年の雨傘運動の渦中でも活躍したリベラル派の研究者のかたです。雨傘運動の最後の日々に「抵抗者の言」を記していました。

いま香港の民主化状況は厳しい状況にあるとおもいますが、そのような報告も聞けるかなと思います。

写真中央が周保松氏

講演会:『香港雨傘運動と「一国二制度」の将来』
開催のお知らせ

明治大学現代中国研究所は来る6月24日(日)、雨傘運動のリーダーの1人である香港中文大学の周保松教授をお招きし、講演会『香港雨傘運動と「一国二制度」の将来』を開催致します。ご興味のある方はぜひご来場ください。入場無料/事前予約不要です。

  • 講演者:周保松氏(香港中文大学教授)
    日時:2018年6月24日(日)14:00-17:15(開場:13:30分)
    場所:明治大学駿河台校舎 アカデミーコモン3階会議場
    (入場無料/事前予約不要)
    問い合わせ:Email:china@meiji.ac.jp
    電話 03-3296-2982(月・水午後のみ)主催:明治大学現代中国研究所
    後援:明治大学国際連携本部(国際交流基金事業)
    司会:石井知章(明治大学商学部教授)
    コメンテーター:倉田徹氏(立教大学教授)
    通訳:徐行(東京大学助教)
<講演会内容概略>

 香港雨傘運動と「一国二制度」の将来

雨傘運動(2014年)は、香港政治の分水嶺になりました。それは香港の政治パラダイムを転換させただけでなく、運動の展開過程で一国二制度の政治的な枠組みが転覆され、一方では世界規模における市民の不服従運動のモデルとなったのです。明治大学現代中国研究所では、雨傘運動のリーダーの1人であり政治学者である香港中文大学の周保松教授をお招きし、以下の内容について講演していただきます。

1、雨傘運動はなぜ発生したのか。運動の社会的、政治的な背景は何だったのか。
2、雨傘運動はどのような性質の運動だったのか。その政治的な要求、運動の方策はいかなるものだったのか。
3、私たちはいかなる角度から雨傘運動を評価すべきなのか。運動はどのような成果を得たのか、そして何を失ったのか。
4、雨傘運動は香港政治および中国・香港関係にいかなる影響をもたらし、現在、どのような事態に直面しているのか。
5、雨傘運動は中国社会と民主運動にどのような経験と啓発を残したのか。

明治大学現代中国研究所
2018年5月23日

香港:メーデーのデモに2500人が参加

職工盟五一遊行
李紹昌攝 2018年5月1日.

香港でも5月1日のメーデーが行われました。香港職工会聯盟が呼びかけたデモです。
時間がないので地元紙「明報」記事(中国語)と、それについている映像&画像のみの紹介です。

要求項目は、標準労働時間の制定、下請け労働者の生活賃金制定、不安定雇用労働者の保障要求、住民皆年金の制定などです。
香港政府の労働政策が財界寄りだとも批判。ストライキで賞与などを勝ち取った団地の清掃労働者らも参加、などです。

「労働力の外部導入反対」(おもには中国からの労働力のことだとおもいます)というスローガンもみられるので、ちょっとどうかな、と思うところはありますけど。

<会員・IY>

香港:LGBTの移住労働者らのプライドマーチ(11/25)

11月25日、香港で同志游行(LGBTパレード)が行われました。

写真と映像はこちら。

11月27日には香港の移住労働者のLGBTのプライドマーチが行われました。ガブリエラというフィリピンの女性組織が連絡先となっています。

写真と映像はこちら。

こちらのプライドマーチの宣言文は中国語と英語があります。

HK-LGBT2016a

HK-LGBT2016b

   <稲垣・会員>

香港:9月の選挙では三つの勢力に投票するな

こんにちは、会員のいながきです。
『香港雨傘運動』という本の出版をお手伝いした経過もあり、今週9月4日に行われる香港立法会選挙に注目しています。
ふらっと立ち寄った書店で何気に『世界』を立ち読みしたら、香港「本土派」の教祖のような人物の陳雲へのインタビューが掲載されていました。
雨傘運動を契機に登場した「本土派」(香港優先を掲げる政治勢力で独立を主張する勢力もある)にもいろいろと潮流があるようです。
この陳雲という人物は独立派の「本土派」には批判的なようです。陳雲は、香港は基本法にもとづく自治を維持して、中国や台湾、マカオなどと連邦制を目指すべきだという主張です。いっけん良いよう聞こえますが、香港の文化的価値が優れているという持論があり、それは香港の新自由主義的な価値のことであり賛成できない、と『香港雨傘運動』の著者の區龍宇さんは批判しています。

區龍宇さんは、雨傘運動以降に登場したいわゆる「独立派」に対しても、厳しく批判しています。
こちらのブログに日本語の論評が出ていますのでご参考までに。

民主自決派と本土派(原文)

香港の立法会選挙では民主派は3分の1の拒否権すら危うい状況です。どこかの国と似ている!?
區龍宇さんは、ウェブメディアに投稿した直近の二つの文章で、排外主義的「本土派」への投票をするな、民主自決派と労働者民主派への投票を!と訴えています。

9月の選挙では三つの勢力に投票するな(2016/8/18)(原文)

日曜には二つの民主派に投票を、投票後も闘いを続けよう(2016/9/2)(原文)

あす香港では立法会(香港議会)選挙の投開票です。日本のメディアでも雨傘運動を契機に登場した「本土派」などに注目が集まっているようです。昨日紹介した香港選挙に関する二本の分析記事のうち、「こいつらには投票するな」という最初の方を訳してみました。 続きを読む 香港:9月の選挙では三つの勢力に投票するな

オジサンもあきらめない ~ 『日本×香港×台湾 若者はあきらめない』を読んで

こんにちは、たいへんご無沙汰しています、会員の稲垣です。

台湾ひまわり学生運動と香港雨傘運動の若いアクティビスととSEALDsのメンバーの対話集が出版されています。

jphktw『日本×香港×台湾 若者はあきらめない』

太田出版、2016年7月1日発行、1200円+税

その後のひまわりと雨傘を知る上でも貴重な内容だと思います。ぜひご一読を。

ちょっと感想を書いてみました。

◎ オジサンもあきらめない

香港 :上海ディズニーランド開園にあわせて抗議行動ー中国のディズニーサプライヤー工場の労働条件を変えるため、今すぐ行動を!

6月16日、上海ディズニーランドがオープンしました。ウォルト・ディズニーのアイガー会長兼CEOは、開園セレモニーで「今天我們夢 想成真」(今日、私たちの夢が実現しました)と中国語で言ったそうです。でも、ディズニー サプライヤーの工場で働く労働者の夢を踏みにじっていることについてはどうい うつもりなんでしょうか?

ディズニーランド香港に抗議行動(2016/6/15)
ディズニーランド香港に抗議行動(2016/6/14)

中国にあるディズニーサプライヤーの工場における労働条件改善に取り組む香港のNGO、SACOM(アップルやユニクロの在中国サプライヤーにおける労働者の権利侵害告 発でもお馴染み)が、香港職工会連盟(HKCTU)などとともに、上海ディズニーランドの開園に合わせて、香港で抗議行動を行いました。 続きを読む 香港 :上海ディズニーランド開園にあわせて抗議行動ー中国のディズニーサプライヤー工場の労働条件を変えるため、今すぐ行動を!

ディズニーランドは中国の水谷玩具労働者へ正当な補償金を!― 経営会社オリエンタルランドと大株主・千葉県に申し入れ

 

千葉県企業土地管理局(千葉市幕張)に対して申し入れ
千葉県企業土地管理局(千葉市幕張)に対して申し入れ

香港に近い中国南部の工業都市、広東省深圳(しんせん)市。そこに、ディズニーグッズを製造する日本の企業「水谷玩具」が進出していた。ところが、徐々に製造拠点をフィリピンに移し、昨年の6月に工場閉鎖した。その以前から争議が起きていたが、退職金や保険金などに関する不当な仕打ちに抗議して、更に激しい対立が続いていた。彼らを支援する香港のNGO・ワーカーズ・エンパワーメント(WE)や労組(HKCTU・香港職工連盟)から支援の要請を受けた横浜アクションリサーチはじめ複数の日本の労組や団体が、水谷玩具の玩具納入先であるオリエンタルランド(ディズニーランドの経営会社)と、その大株主である千葉県企業土地管理局に善処するように要望書を今年の2月に送付していた。
それは、下請け企業のみならず、サプライチェーン(原料から販売までの一連の工程)での労働条件にも責任を負うことは、今や世界の常識になっていることを踏まえての申し入れである。その後に水谷玩具の方で動きがあった(退職金額はそのままに、保険金の支払いの一部上乗せ)ということは、少しは効果があったということだろう。そして本日(4月25日)更なるプッシュのために千葉県民を主に5人で千葉県企業庁土地管理局へ行った。約束時間に海浜幕張の県庁舎に行くと、担当者がエレベーターホールで待っていた。 続きを読む ディズニーランドは中国の水谷玩具労働者へ正当な補償金を!― 経営会社オリエンタルランドと大株主・千葉県に申し入れ

香港:空の安全を守れ!ターミナルビルでの抗議集会

香港のトップ、梁振英行政長官が、通常の安全手続きを経ずに自分の家族を空港検査を通過させた、とういことで批判が高まり、香港国際空港の地上勤務の労働組合やキャセイ航空の労働組合などが、空の安全はみんなの物、という集会を、昨日ターミナルビル内で行い、たくさんの市民も支援に駆け付けました。 続きを読む 香港:空の安全を守れ!ターミナルビルでの抗議集会

台頭する中国と香港雨傘運動―區龍宇さん 9・19出版記念の講演会

こんにちは。会員のいながきです。

以前少しお知らせした香港の區龍宇さん講演会の案内です。安易なネーミングの講演会ですが、本は高いので資料代は安くしました。よかったらお越しください。

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★ 台頭する中国と香港雨傘運動
☆ 區龍宇さん 出版記念の講演会

【日 時】9月19日(土)13:30~17:00【資料代】500円
【場 所】四谷地域センター 多目的ホール
新宿御苑前駅 大木戸門側2番出口3分
【地 図】http://ycc.tokyo/about.html
【共 催】出版記念会、柘植書房新社
連絡03-3372-9401(新時代社) 続きを読む 台頭する中国と香港雨傘運動―區龍宇さん 9・19出版記念の講演会