カテゴリー別アーカイブ: 労働組合

訪中記  ― 改めて戦争しない、させない決意を新たに

渡部公一 (前目黒区職労委員長)

平和友好にむけ南京市を訪問

私は、日中労働者交流協会平和友好訪問団の一員として、毎年12/13に開催される南京大屠殺死難者国家公祭儀式に出席するため、12/11から12/15まで中国を訪問しました。昨年に続き2回目の参加です。日韓関係が徴用工問題などで厳しく、また中国と米国の貿易戦争が世界経済に大きな影響を及ぼし、香港で度重なる抗議活動が多発している中の訪中でした。日本と中国は、田中内閣の時に戦後処理で国交回復、平和条約を締結しましたが、明治から「脱亜入欧」の感覚もあるようで、差別意識があります。日本は、朝鮮半島を植民地支配していたことから戦後処理で双方の歴史認識に深い溝があり、朝鮮民主主義共和国(北朝鮮)については戦後処理、国交回復すらできていません。

こうした状況でなんとか一番近い国が仲良くなり、東アジアの非核平和の実現を願っています。

2つの成果

私たちは、労働者の立場から日中平和友好をテーマに交流しています。社会主義国の労働組合の活動について知識が乏しい中で皆さんと交流できたことは大きな成果でした。この中で私にとって二つの成果がありました。

第1に、昨年は訪中団にユニオン三重の若きリーダーも参加していましたが、今年は、来年4月に社会人になる学生インターン2人が参加し、一挙に平均年齢が若返りました。そのこともあり、私たちも新鮮なまなざしで訪問交流することができました。

第2に、現場の皆さんと交流できたことです。中国側は、全国総工会(日本だとナショナルセンターで全労連や連合)が窓口で、江蘇省総工会(日本だと県本部)が受け入れ、工場見学など地元現場の対応は南京市総工会が案内してくれました。今回の訪問で中国の労働組合が中央、県本部、南京市、工場レベルの人達と交流できました。

南京大虐殺受難者追悼国家公祭の式典に出席

今回の訪中の最大の目的である南京大虐殺受難者追悼国家公祭の式典出席です。私たちは労働者の立場から市川誠さん(元総評議長)らが建設した碑で誓いの言葉を確認、記念撮影しこの式典に臨みました、その式典終了後、侵華日軍南京大虐殺遭難同胞紀念館を見学し、この後、キャンドル祭に参加し世界平和を誓いあいました。その夜は、初公演オペラ「ラーベの日記」の観劇で、ラーベさんの南京市民を守る活動を描いた作品です。

南京市の経済開発区、主力工場、労働者サービスセンターを見学

Skywellの展示室

南京市の経済開発区の溧水区を見学しました。溧水区は、広大な土地を教科書にあるような都市計画の手法で新しい都市をモデル地区として開発し、現在と将来の都市像の説明を受けました。

次にこの地区にある主力産業の一つ、バスやワンボックスの電気自動車メーカーSkywellを見学。工場長から自社開発の部品やバッテリー、5 Gを活用した自動運転の説明がありました。特に印象に残ったのはワンボックスの組み立てラインで、労働者の微笑ましい作業風景を見ました。日本だと一人一人が一つの工程を機械的に対応しますが、ここのチームでいろんな作業をし、次のラインへ送るシステムで、日本でよくあるロボット溶接は見当たりませんでした。この後、Skywellの生産目標など説明がありました。この後、場所を移して産休制度など意見交換しました。

次に南京市総工会の職工服務中心(労働者サービスセンター)の訪問です。労働者、疾病や倒産などで窓口となる業務内容の説明を受けました。不慮の事故などで失業になった人へ再就職の訓練や起業するための融資などについて説明がありました。昨年は会議室で総工会の説明を受けてきました。今年は実際の事務所で具体の事業内容や訓練状況の説明を受けることができました。

バスやワンボックスの電気自動車メーカーSkywellを見学

全体を通じて責任者(各級の副主席クラス)は、シニア世代もいましたが、現場の工場長や開発主任も含め組合幹部の多くが 30代から40代の若い人たちでした。日本も若い世代へ早くバトンタッチしていかなければと改めて思いました。

長江大橋など南京市の大事なところも見学

南京長江大橋

南京市を訪問して長江大橋の見学ができたことは、とても良かったです。長江(揚子江)の大きさを目の当たりにし、この橋の中にある建設資料館も見学し、何よりもこの橋を地面から見ることができとても良かったです。この長江大橋の見学の前に長江のほとりにある南京大虐殺遭難者中山港記念碑も訪問できたことはとても良かったです。

中国各地の慰安所を展示している利済巷慰安所旧址陳列館を昨年に続き見学しました。説明してくれた案内人は、私の事を覚えていました。改めて戦争しない、させない決意を新たにしました。

ありがとうございました

伊藤彰信(日中労交会長、元全港湾委員長)団長をはじめ団員の皆さん、中国側の受けいれていただいたみなさんへ感謝すると同時に、来年は誰か参加できる人を募っていきたいと考えています。 以上

あいさつ― 2019年12月 江蘇省総工会との交流会

2019年12月12日
第7次「日中不再戦の誓いの旅」訪中団長・伊藤彰信

 私ども第7次「日中不再戦の誓いの旅」訪中団を暖かく歓迎してくださり、また、私たちの要望を受け止めて訪問先を手配してくださったことに、心から感謝いたします。
 日中労交は2014年から南京大虐殺受難者追悼国家公祭に毎年参加してきました。さらに「日中不再戦の誓いの旅」と名付けて、南京をはじめ日本軍国主義の侵略遺跡を訪問してきました。
「日中不再戦の誓い」とは、日中労交の市川誠初代会長が、1985年に侵華日軍南京大虐殺遇難同胞紀念館が開館した時に贈った「鎮魂の時計」に刻んだ「誓い」の言葉です。私たちは「誓い」の碑を南京紀念館に建てようと運動し、10年前の2009年12月13日に碑を建立することができました。建立にあたっては、中華全国総工会、とりわけ地元である江蘇省総工会に大変お世話になりました。あらためてお礼を申し上げます。

 私は、今年6月、南京紀念館で「和平の旅」のインタビュー受けました。日中労交にとっても、南京紀念館との交流の歴史を振り返ることができまし、あらためて「誓い」をどう実現するか、考える機会になりました。

「誓い」には「われわれは、1931年および1937年を契機とする日本軍国主義の中国侵略戦争を労働者人民の闘争によって阻止し得なかったことを深く反省し」とありますが、現在の日本は再び戦争をする国への道を歩んでいます。
安倍政権は、中国敵視を煽るとともに、南京大虐殺は無かった、従軍慰安婦はいなかったと言い、沖縄の辺野古基地の建設、南西諸島への自衛隊の配備、ミサイル基地建設を行っています。また、韓国の徴用工問題の責任を認めず、植民地支配を正当化し、ナショナリズムを醸成して憲法改悪を図ろうとしています。日中労交は、このような動きを「労働者人民の闘争によって阻止」したいと思っています。

「誓い」には「われわれは、日中不再戦、反覇権の決意を堅持し、子々孫々、世々代々にわたる両国労働者階級の友好発展を強化し」とありますが、安倍政権の中国敵視政策の下では困難な状況もあります。
それを克服するために、日本の労働者階級は、まず、正しい歴史を知り、歴史を鑑にして未来を見つめる視点を持つ必要があります。その上で、「子々孫々、世々代々」に繋ぐために、時代の変化、働き方の変化を踏まえながら、「持続可能な社会」の実現を探ることが、両国労働者階級の友好・連帯を強化する重要な課題だと思います。
 中国職工対外交流センターとともに昨年8月に北京で「日中友好労働者シンポジウム」を開催したり、昨年10月の中華全国総工会第17回大会の報告を聞いたりするうちに、中国の労働組合が、労働者と結びつく活動を現場でどのようにしているのか、労働組合改革をどのように展開しているのか、知りたくなりました。なぜなら、日本の労働組合の多くは、あまりにも企業主義に陥り、企業利益ばかり追求するため、労働者からかけ離れた存在になってしまいました。日本でも「大衆路線」による労働運動の実践が重要な課題だと思っているからです。
今まで、国家公祭に参加する際に、江蘇省総工会の皆さんにお会いし交流を重ねてきましたが、今回、企業を訪問し、また、総工会の最前線の活動を見ることができ、あらためて労働者同士の交流の大切さを実感したところです。

 米中貿易摩擦は世界の大きな問題です。中国とアメリカは広い意味での戦争状態になっていると思います。安倍政権が、アメリカを後ろ盾としながら、中国への圧力を強めている現在、日中労働者の友好交流は世界平和を築く上で益々重要になっていると思います。今回の交流の成果を、日本の平和運動、護憲運動、労働運動に役立て、日中友好を若い人に伝えていきたいと思っています。
 最後になりますが、このような交流ができたことに再度感謝を申し上げ、ご挨拶といたします。

歓迎あいさつ 常品超(中国職工対外交流センター副秘書長)

皆様と北京でお会いできて誠に嬉しく思います。私は、中国職工対外交流センターを代表して皆様の来訪を熱烈に歓迎します。皆様は、歴史を尊重し、平和を愛する友好的な信念を持って中国を訪問されました。私たち中国労働組合の友達であり、また中国人民の友達でもあります。伊藤先生は私たち職工センターの老朋友です。今年の6月に南京大虐殺遇難同胞紀念館の招きに応じて、日中労交と南京紀念館の開館以来の交流の歴史のインパクトを語られたそうですが、貴協会と南京紀念館のホームページで見ました。私たちは、それを見て当時の貴重な歴史を振り返ることができ、また中日友好の基礎が民間であることを再確認することができました。本日はこの場をお借りして、日本の右翼と果敢に闘い、長期にわたり中日友好と世界平和に取り組んでこられた皆様に崇高の敬意を表したいと思います。

常品超副秘書長の顔写真
常品超副秘書長

中国労働組合の状況

ここで中国社会、中国労働組合の主な状況について紹介したいと思います。紹介を通じて中国に対する理解を深めることができれば嬉しいです。

 現在、中国で話題になっているホットな言葉があります。それは「初心を忘れず、使命を胸に刻む」です。これは実際に中国共産党が上から下まで展開している特別教育活動です。つまり、刃を自分に向けた革命です。中国共産党員の初心と使命は、中国人民の幸福そして中華民族の復興の実現です。中国共産党は設立して以来、初心と使命をしっかり守っています。そして人民の強固な支持を得ています。初心と使命を守ることによって、中国共産党は小さな党から世界で一番大きな党に成長しました。今年は新中国成立70周年にあたります。それは中国共産党が全国で政務を執ることが70周年になるということです。中国では古い言葉があります。「勇敢に生き、安楽に死す」です。

習近平総書記は「私たち共産党は世界第一の党であり、私たちを倒す敵はありません。私たちを倒すことができるのは私たちです。」と言いました。ですから、「初心を忘れず、使命を胸に刻む」という教育活動を展開することは、現在、共産党内部に存在する初心と使命に背く問題を見出して、すぐに直して、中国の特色ある社会主義が新時代に入った肝心な時期に、共産党全員が力と認識を合わせて、全人民を率いて美しい生活へのあこがれを実現するように活動することです。

 皆様はご存知のことと思いますが、中国の労働組合は、結成以来、中国共産党の指導の下に活動を展開し、党と労働者大衆を結びつける架け橋であり絆です。今回の特別教育活動の中で、中国労働組合は労働組合の特色に応じて以下の活動に取り組んでいます。

  労働者の合法的権益を擁護し、労働者に奉仕する

一番目の活動は、労働者の合法的権益を擁護し、労働者に奉仕するという労働組合の基本的職責を果たすことです。現在、各レベルの労働組合組織は、調査・研究を行って現場労働者が最も関心のある、最も差し迫った難しい問題を解決して、大きな成果を上げました。例えば、今話題の中米貿易摩擦、サプライサイドの構造改革、労働者権益の問題を重視して過剰生産能力の削減の過程における労働者の就職の道を確保して生活を保障します。

もうひとつは、都市部における困難ある労働者の貧困脱却です。過去3年間において、各レベルの労働組合は合わせて252万世帯の困難ある労働者を救助して貧困脱却を実現しました。そして、2020年までに中国の労働組合は、現在登録している困難ある労働者の全員の貧困脱却を実現する見込みです。

もうひとつは、例えば、出稼ぎ農民工、トラック運転手、じん肺症労働者などの特別グループに注目して、彼らが理性的に自分の要求に応えるように指導して、関連部門と協力して彼らの問題を解決するように努力しています。全国総工会と交通運輸部は共同で「運転手の家」を建設する活動をしました。「運転手の家」とは、運転手が集まっているところ、例えば高速道路のサービスエリア、貨物・物流の集散地、物流の作業基地などに運転手のためにつくられた休憩場所です。「運転手の家」で運転手は、お湯を飲んで、あったかいご飯を食べて、シャワーを浴びて、睡眠をとることもできます。現在「運転手の家」は全国で76箇所がオープンしてます。今年の年末までに100箇所オープンする見込みです。

産業労働者の技能レベルと待遇レベルを引き続き向上させる

二番目の活動は、産業労働者の技能レベルと待遇レベルを引き続き向上させることです。インターネット、人工知能などの新興産業の発展につれて、伝統的な産業に働く労働者が沢山の問題とチャレンジに直面しています。問題は、例えば、所帯地位の弱化、職業発展進路の狭さ、養成システムの不完備、待遇レベルの欠陥などです。これらの問題を解決するために、2017年4月に中国共産党中央と国務院は、新時期における産業労働者チームづくり改革法案を打ち出しました。中華全国総工会は、この改革法案を実施するにおいて先導的な役割を果たしています。この改革法案は、国レベルの法案ですが、実施の任務は労働組合に与えられました。それも、労働組合の地位の重要さを表していると思います。というのは、この改革法案を実施する任務は、政府の行政部門が入っていますが、これらの行政部門も総工会の指導のもとに実施しています。これから長い間、中国労働組合は改革法案の実施を重要な活動としています。この法案の実施にあたっては、産業労働者の発展の進路をさらに広げて、産業労働者の技能レベル、待遇レベルを向上させて、広大な知識型・技能型・都市型産業労働者待遇づくりに取り組んでいきます。

労働組合の改革をさらに深化して労働組合の活力を強化する

三番目の活動は、労働組合の改革をさらに深化して労働組合の活力を強化することです。伊藤先生は労働組合改革に関する興味が深いと聞いていますので、活動の状況について紹介したいと思います。実は2016年から中国労働組合は力と資源を末端組織に傾けて、末端組織の活力を強化する活動を始めました。現在この改革はある程度成果を上げましたが、また新しい状況と問題に直面しています。中国経済の発展のスピードが非常に早いので、状況もいつも変わってきます。経済の発展の状況に合わせて、今後主に三つの活動に取り組んでいきたいと考えています。

民間企業、配達者(出前持ち)、トラック運転手などのいわゆる非正規労働者の組織化活動に取り組みます。皆様は労働組合の専門家ですので、非正規労働者の組織化が非常に難しい課題であることはご存知だと思います。大手企業労働者の組織化よりは、非正規労働者を既存のグループに加入させることは非常に難しいです。ですので、中国労働組合は力と資源を使ってこれらの労働者を組織するために非常に努力しています。

労働組合の組織率を高める

次に労働組合の組織率を高めるための活動です。労働組合を運営するには三つの条件が必要です。組織、組織のスタッフ・幹部、活動の場所です。全国で、労働組合の組織化、幹部の育成、活動の場所を積極的につくっています。例えば、労働組合の上部組織のスタッフの人数を減らして末端組織のスタッフを増やす。労働組合の会費を末端組織にもっと多く振り分ける。このようにして、末端組織に人手と資金を保障することができます。

インターネットプラスを利用して快適で普遍的なサービスを

もうひとつの活動は、インターネットプラスを利用して労働者にさらなる快適で普遍的なサービスを提供することです。中国労働組合の末端組織は、それぞれ数多くのアプリをつくって、アプリを利用して労働者にサービスを提供しています。会員の利用者は、アプリを通じて、まず労働組合を理解することができます。そして、労働組合から救助、サービスを受けることができます。ひとつ例を上げると、トラック運転手向けにアプリを利用してガソリン代の割引ができます。労働組合はガソリン会社と交渉して、一番多い割引は2割引き、年間で利用者はガソリン代を2万元節約することができます。このアプリによってトラック運転手の収入を月1000元ほど増やすことができました。

以上、中国の労働組合の状況について紹介しました。

皆様は、遠路はるばるいらっしゃった、労働組合の専門家でもありますし、中日友好の民間大使でもあります。現在の中日関係の全体的な勢いは良いです。8月10日に7年ぶりに副部長(次官級)クラスの戦略対話を再びスタートさせました。中日両国の副部長は、大阪で行われた中日首脳会談で達成した重要な書式を徹底して新時代のニーズに合わせる中日関係の構築に努力することを確認しました。皆様が今従事されている仕事は、非常に必要で非常に有意義だと思います。

貴協会に対してふたつの希望

ここで、貴協会に対してふたつの希望を述べさせていただきたいと思います。

まずは、皆様に正義の声を益々広めていただきたい。もっと多くの日本の大衆に本当の歴史を理解して、とくに若い人に正しい歴史観を確立していただきたいです。そして、もっと多くの日本の方々、とくに若い人を中国に連れてきていただいて、中日友好の種を撒くことを期待しています。

二番目は、皆様のホームページで中国労働運動に関するポジティブな報道をもっと多く宣伝していただきたいです。現在はとても怪しいことがあると思います。国外のメディアは中国労働組合に起きているホットな話題に対して報道は多くしていますが、その中で多くの報道は一方的で事実を歪曲する報道です。中国労働運動のこの数年間の成果については無視しています。

貴協会の皆様は労働分野の専門家です。我々両組織は、中日両国の労働組合、そして労働分野における共同の課題に対する研究と検討を強化することができると信じています。その上で中国労働組合のホットな話題にたいする全面的そして事実にあった報道をもっと宣伝していただきたいと思います。

伊藤先生、皆様に、私たちのアドバイスをぜひ検討してもらいたいと思います。

最後になりますが、皆様の今回の訪問が所期の目的を達成し、皆様の滞在中の健康と楽しい旅をお祈りします。

台湾:エバー航空スト、奮闘の17日間で締結された団体協約とは?(7/7)

7月6日に団体協約を締結して解決したエバー航空の客室乗務員が加盟する桃園市客室乗務員職業組合の17日間に及ぶストライキには、2300名の客室乗務員が参加しました。以下は、台湾の社会運動ウェブメディア「焦点事件」の報道の訳です。交渉妥結後にエバー航空本社前に設置されたストライキ・テントでの報告集会の様子も画像でUPされています。

原文:長榮空服員罷工》苦戰17天 團協簽了些什麼?

最後の記者会見には、労使双方とともに労働部(省)の部長、桃園市長なども顔を見せています。

記者会見の模様(映像

桃園市客室乗務員職業組合のfacebook

以下、「焦点事件」からの翻訳です。

<会員=I・Y>

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エバー航空客室乗務員スト:奮闘の17日間で締結された団体協約とは?

2019年7月6日

焦点事件 記者 王子豪

【写真】団体協約締結後、南?[桃園空港近く、エバー航空の本部がある]のストライキテントに戻った組合交渉代表らは夜の小集会を行った。集会では最後に組合員たちがステージに上がり、スト檄布にピンクの塗料で手形を押した。手形を提起した組合員は「これをずっとやりたかったの。17日間待ってやっと実現した」と語った。(撮影:王子豪)

客室乗務員労組は7月6日にエバー航空と団体協約を締結し、ストライキは9日には完全に解除されることとなった。6月28日、エバー航空の林宝水会長が組合に対して「話がしたい」と持ちかけ、「6・28提案」を提起した。その日の夜に組合は投票を行った。翌6月29日に提案を受け入れることを決めたが、その日の午後に会社側は、組合が提起した「争議後の処分禁止条項」を拒否したことで協約は締結されず、ストライキは継続した。またその後に伝えられた会社側の「平和義務条項」によって双方の隔たりが拡大したが、7月6日に最終的に合意に達した。6・28案では詳細が不明確だった「争議後の処分禁止条項」と「平和義務条項」の具体化がもたらした結果である。

◎組合の「争議後の禁止処分条項」

6月29日に組合が提起した「争議後の処分禁止条項」は、「組合員資格およびスト参加は組合が認定する」「スト参加の組合員の権利をスト以前の状態に回復する」「会社はスト参加者に対して法的追訴および補償請求は行わない」「不当労働行為については労働部[省]不当労働行為審査委員会が認定した後は、会社はそれ以上の再審査申請を行わないこと」。

このうちストライキの条件は組合が決めるという原則について、7月2日の交渉では、押し通すことができず、案件ごとに処理することになった。これは「18人のスト参加」(※)問題を含む、ストライキ期間中に「職場放棄」と認定された27人に関係する。この問題は労使双方が推薦する委員3人から構成される調査委員会によって結論が出されることになった。今後もし同様の案件が出た場合も、この方法で対処することになった。

(※)訳注:ストライキ指令が出された6月20日16時の時点で、搭乗手続き業務をしていた18人の客室乗務員がストライキに参加したことに対して、会社が「職場放棄にあたる」として処分することを明言していた問題

「ストライキ以前の権利を回復する」という部分について、そのうち一番重要になるのは、5月8日に会社が出した通知である。赤字を理由に年末一時金と賃上げを凍結し、優待チケットも廃止するが、ストライキに参加しない職員についてはこの限りではないとした内容である。このうち年末一時金と賃上げについては組合員と非組合員を区別はせず、優待チケットの廃止についても会社側はストライキ参加者を対象にしたものではなく、「制度は全廃し、会社に貢献した職員への新しい奨励制度を設ける」としていた。

7月6日の交渉では、一か月のうちに他社の航空券購入に対する優待制度は復活させるが、エバー航空のチケットについては、漸次的な復活を計画しており、今後二か月のうちに別途協議することとなった。労働部[省]と桃園市政府は6日の交渉後の記者会見で、優待チケットに関する福利厚生は「原則一致」を順守すべきだと述べた。

組合が提起した「再審査請求は行わない」ということについては、会社側は「もし組合の側が今回のストライキは法律にのっとって行われたというのであれば、会社はそれを尊重する」ことを約束した。「不当労働行為と認定された後は再審請求をおこなわない」という条項については議論がされなかった。

◎会社側の「平和義務条項」

会社が提起した「平和義務条項」は、6日の文言協議で、組合は3年間はストライキを打たないことに最終的に合意した。しかし「労使紛争処理法」[労組法の間違いか?]第35条第2項の権限は保留する、つまり会社が労働組合を弾圧する不当労働行為、あるいは不誠実団交があれば、組合はスト権を行使することができる、ということである。

会社が提起した「平和義務」にあった「職員に対する嫌がらせ、排除、差別などの違法行為あるいは不当な対応を行ってはならない」、「会社、会社役員、職員、株主などに対して事実に基づかずに侮蔑したりけなしたりしてはならない。違反者には違約金を科す」「団体協約事項に関するストライキをしてはならない」という要求のほか、他の労使紛争でも持ちだされるスト予告期間「ストライキの30日前にはストの期日、時間、ピケ方式を通告しなければならない」という要求について、「嫌がらせ、差別」「侮蔑」の条項については他の法律の範疇であり、また「スト予告期間」についても3年間はストを打たないという合意があるということで、[すべて]協約の文言から削除した。

◎その他の重要な合意内容

他の条項については、おおむね6月28日に提案がベースになっている。「待遇の改善」については、時給計算の「日払い費」をフライトごとに計算する「飛行安全服務報奨金」にすることで合意した。これにはフリーライダー禁止条項を付けなかった。

「飛行安全服務報奨金」の計算方法は、BRで始まるフライトコードで長距離便には500元、短距離便には300元の飛行安全服務手当が支給され、PNC便(2チーム、片道勤務)はその半分となる。エバーが航空機と乗務員をリースしている立栄航空(UNI AIR)のB0便は、エバー社内の「立栄フライトチーム」の客室乗務員が搭乗するが、国内の短距離便に何度も搭乗するので、手当の算出法は別途行うことになった。

いわゆる「過労航路」については、組合は「Uターン」(同じフライトチームで戻ってくる)航路の一部を、渡航先で一泊する勤務体系に改善するよう求めていたが、BR198、BR108、BR184の三つの東京航路について、10月から3月の冬季6か月間について一泊勤務とすることで合意した。BR716北京航路については6月から8月の雷雨期と4月の滑走路保守時期の4か月間を一泊勤務とすることになった。

会社側が拒否してきた「取締役会への労働側代表の参加」については、組合側も形式には固執せず、「経営方針の決定の透明性」という中身を追求することになった。定期的な労使の意思疎通、減員や渡航先での休憩時間を削減する際は、組合と交渉しなければならないことも団体協約に盛り込んだ。客室乗務員への処分を決める「人事評価委員会」には客室乗務員が選んだ5名の教官を入れて、ローテーションで委員会に関与することとし、発言権と投票権のある陪審委員を一人選出して、ほかに一名の客室乗務員が当事者として同伴する協約を結んだ。

台湾:エバー航空客室乗務員組合がスト突入(6/21)~(7/7)

<6/21>

昨日、台湾のエバー航空(長栄航空)の客室乗務員らが加盟する労働組合が、経営側との労使交渉が決裂し、16:00からストライキに突入しました。

組合は桃園空港のある桃園市の「桃園市空服員職業工會」です。

以下、中国語ですが情報まで。

Facebookはこちら

交渉の全経過はウェブ中継で公開(録画)されています。

16:00のスト開始とともに、エバー本社前でピケをはっての集会に突入。

こちらはストライキ宣言。やや長いので、おって翻訳します。

6/20には南部の高雄の組合員も北上してストに合流。

がんばれ!
加油!

<I・Y>


<6/26>

6/20の夕方16時からストに突入したエバー航空客室乗務員組合ですが、7日目の今日もストは続いています。

同組合のfacebook

6/22には韓国民主労総からも連帯メッセージ届いてます。

時間が取れず翻訳できていませんが、運動側の報道もたくさんあります。以下、紹介まで。

ピケットラインを巡る攻防:スト一日目(焦点事件)

エバー航空ストの8つの要求(苦労網)

嵐のなかのコンセンサス:離島線は通常運行(焦点事件)

ちょっと翻訳する時間がとれませんが、エバーの日本便のなかでも労災事故が発生したりしてます。
がんばれ!加油!

<I・Y>


<7/3>

香港の件などで忙しくて、エバー航空のストライキの続報などお伝えできませんでしたが、昨日、12時間にわたる団体交渉で合意して、ストライキが解除となりました。

どの程度の要求を勝ち取ったのかなど、ちょっと時間がなくてまだ確認していませんが。とりあえずリンクのみ。

団体交渉で合意、スト解除へ(写真あり)

ストライキ支援集会(人権弁護士らも支援、映像、画像あり)

桃園市客室乗務員職業組合facebook

とりあえずよかった!

<I・Y>


<7/4>

当該組合のfacebookに7月3日付で英語のメッセージがありましたので紹介しておきます。

Call for Solidarity
Taoyuan Flight Attendants Union Calls for International Solidarity for Its Strike against Blatant Union Busting Attempt of EVA Air
July 3, 2019

<I・Y>


<7/5>

ごめんなさい、エバー航空客室乗務員が加盟している組合、スト解除してませんでした!

スト後の処分をめぐって協約が締結できておらず、ストは継続中です。経済的要求項目は妥協できるが、合法ストに対する処分は一企業の問題ではなく台湾全体の労働者の問題であり、受け入れられないというのが組合のスタンスのようです。

これもまた翻訳する時間なくて申し訳ありませんが、エバー航空の組合・スト敵視の姿勢は台湾全体の問題であり、政治の問題でもある(来年1月総統選挙)ということで、エバー航空の組合員たちは、スト継続への支援と資本への圧力を訴えるべく、全国行脚をしています。

facebookに全国連帯行脚の様子があります。

もちろんこれは一台湾だけの問題ではないと思います。

加油!

<I・Y>


<7/7>

台湾:エバー航空スト、17日目で協約締結し解決へ

昨日、桃園市の仲介による団体交渉が行われ、労使が合意に達し、協約が結ばれました。ストは9日の24時をもって解除されることになりました。

エバー航空、CA労組と団体協約 スト決行から17日目/台湾

詳しい合意内容は現地の運動メディアでも報じられていますので、今日中に訳して送ります。

長榮空服員罷工》苦戰17天 團協簽了些什麼?2019/07/06焦點事件記者王子豪報

とりあえずの一報です。

<I・Y>

HKCTUは6・17ストで法案改悪を阻止する<6/14> なぜデモ参加者数が200万+1人なのか <6/20>

逃亡犯の中国送還条例に反対する (続報2)

香港:HKCTUは6・17ストで法案改悪を阻止する<6/14>

香港では6/20の容疑者引き渡し条例の改悪に抗議する運動が続いています。民主派のナショナルセンター香港職工会聯盟(HKCTU)は、6月17日に条例改悪反対のストライキを打つことを決めました。

翻訳する時間はないのですが、facbookにはストの説明やQ&A、今日の記者会見の映像などがUPされています。

https://www.facebook.com/HKCTU/

もちろん労働組合の多数派は、中国政府寄りの工聯会なので、ストライキの影響力がどれほどあるかは不明ですが、たぶん2014年の雨傘運動の時にはストライキは打てなかった(と思う)ので、必死度は前回以上かも。もちろん政府の方も。

加油!            <IY>

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香港:なぜデモ参加者数が200万+1人なのか <6/20>

すこし間が空きましたが、香港の容疑者送還条例反対について、労働者のはなしなのでこちらのMLでもシェアします。重複ご容赦。

6月16日に行われた巨大なデモ。日本では「200万人デモ」とか「200万近いデモ」などと報じられていますが、主催者の「民間人権陣線」はハッキリと、「2000001人デモ」「200万+1人デモ」と言ってます。

この「1人」は、15日夜に工事現場のビルのうえで「反送中No Extradition To China」という横断幕を掲げた抗議行動の最中に転落して亡くなった35歳の男性も、みんなと一緒に参加したという意味が込められています。

HKCTUが呼びかけた「6・17ストで条例反対!」では、集会の冒頭に彼のために1分間の黙とうがありました。黙とうの説明はこうです。「烈士」とは大義のために犠牲になった人への尊称です。

「2019年6月15日、わたしたちとともに送還条例に反対してきた梁烈士はこの世を去りました。わたしたちは、信義を守り、故郷を愛し、民主と自由を守るために、生命の危険を顧みずに暴政とたたかった仲間を失いました。私たちは知っています。あなたは建設労働者として、5年前(の雨傘運動のとき)に私たちと一緒にオキュパイ(占拠)に参加したことを。あなたが去ってしまったことに最大限の悲しみと憤りを感じるとともに、香港のためにあなたが犠牲を払ったことに敬意を表します。あなたがビルから墜落したとき、わたしたちの思いもあなたと一緒にありました。あなたが去ってしまったことを信じられません。ですがあなたの身体は去ってしまいましたが、あなたの魂は私たちとともに在り続けるでし
ょう。これまでと同じように、あなたは闘争の最前線に在って、政府による不正義な控訴にも恐れることなく、警察の暴力で負傷した民衆を守りつづけるでしょう。あなたの名前を知らない人もいるでしょうが、あなたはこれからもずっと私たちと一緒です。」

35歳の建設現場の労働者が選んだ抵抗の場所は、建設中のビルの上でした。一部では「抗議の自殺」とも報道されたようですが、転落するシーンを映像でみたのですが、ビルの上で数時間抗議していた末に、数名の救護要員につかまれた服が脱げた拍子に転落した、という感じでした。

こちらに中国語ですが報道や写真がありますので、紹介しておきます。<原文>
条例の改正案は撤回されておらず、警察の鎮圧で負傷した学生の親の呼びかけや学聯のよびかけによる法案撤回、鎮圧の責任者である行政長官の辞任などを求める行動が断続的に呼びかけられています。

7月1日は97年に香港が中国に返還された日で、毎年休みですが、民主派も毎年デモを行っています。
今年もデモが呼びかけられており、参加者は増えそうです。生きてこのデモの+1人になろう。           <IY>

甄凱さん(岐阜一般)の活躍が「朝日新聞」に紹介される(3/25)

今朝の朝日新聞に日中労働情報フォーラムの会員でもある岐阜一般の甄凱さんの活躍が紹介されていますので、記事を添付します。(伊藤彰信)

   甄凱さんの活躍が紹介され[た「朝日新聞」(3/25)記事

中国人の労組支部長 実習生支える

賃金未払やパワハラなどに苦しむ技能実習生ら外国人労働者を助ける労働組合に、一人の中国人がいます。日本の労働運動の仕組みを学び、労働条件の改善に15年にわたり取り組んできました。…(以下略)

* 記事全文(PDF)

台湾:操縦士組合が団体協約を締結し7日間のスト終結(2/14)

台湾のチャイナエアラインの操縦士組合のストライキですが、2/14の夜に労使合意に達して協約を締結したことで解除されました。

以下、合意の内容を報じた台湾の社会運動系ウェブサイト「焦点事件」からの粗訳です。

「本国籍者」と「外国籍者」というのが、祖国を持たない労働者階級の立場としては目につきますけど、よくわかりませんが、たぶん航空会社や操縦士や乗務員などは、すごくグローバルに展開しているので、いろいろと事情があるのでしょうね。

原文はこちら


平和条項3年半の団体協約を締結し7日間のストが終結
2019/02/14

焦點事件 侯百千 記者

(写真)労使双方が記念撮影

チャイナエアラインのストライキが終結した。11時間におよぶ交渉のすえ、組合の五大要求が完全に実現したわけではないが、労使双方は合意に達した。2月14日午後10時20分、操縦士組合の李信燕委員長とチャイナエアラインの謝世謙CEOが労使双方を代表して団体協約に署名し、ストライキは正式に終結した。団体協約では三年半のあいだはストライキは実施しないことなどが明記された。

五大要求のうち、13日に妥結した「過労フライト便の増員」以外では、「昇格評価の透明化」について台湾籍の操縦士の雇用と昇進を保障することで合意に達したほかは、「13か月目の月給(飛行安全奨励金)全額を保証する」については合意に達せず、21日に再度協議することが明記され、団体協約となった。「問題のある管理職」については、会社側は「労使紛争の原因となったケースについては協議して管理制度を改善し」、コミュニケーションを強化することの約束にとどめた。

三点目の要求にある「組合への報復禁止」と「フリーライド条項」については、チャイナエアラインの謝世謙CEOは、組合の好意によって協約内容の当該組合の専権事項を「非組合員」にも拡大する、と述べた。交通部も、今回の協議には「フリーライド条項はない」と述べ、今回の協議内容は組合員以外にも適用されることになった。

「組合への報復禁止」については、法律で保障された争議行為についての組合および組合員の言動に対して、会社は「尊重」し、「組合法」「労資争議処理法」その他の関連法に違反して組合および組合員に対応することはしないと約束した。

組合の要求のほか、今日から2022年8月31日までの協約有効期間のあいだは、もし労使紛争が発生しても、争議行為の権利は放棄し、調停あるいは仲裁によって紛争を解決することに組合は同意するという内容が記された。協約締結から少なくとも三年半はストライキを行わないということである。

労使双方のほか、行政院副院長[副首相]の陳其邁、交通部長[大臣]の林佳龍、労働部長[大臣]の許銘春、桃園市長の鄭文燦らが交通部にきて、調印式に参加した。チャイナエアラインの操縦士ストライキから7日目の2月14日、朝10時から始まった四回目の団交は11時間に及び、労使双方は夜8時30分に合意に達し、夜10時20分に団体協約を締結した。

李信燕委員長は、組合は正式にスト中止命令を発した、スト期間中に操縦士から預かっていた飛行士認定証を順次返還しており、24時間以内に操縦士に返却される、順序が前後するが明日(15日)の運行には問題ないと述べた。謝世謙CEOによると、2月15日の予定フライト率は96%、16日は100%に達する、協約履行のコストは1億5000万台湾ドルにのぼり、その内容は2月15日に株主と利用者に公表すると述べた。

以下、2月14日の団体協約の概要(抄訳)

一、過労フライト便への増員
1、8時間以上のフライトには3人、12時間以上には4人とする。
2、以下の便については別途とりあつかう。A、アメリカ国内のアンカラ-ニューヨーク便は3人にする。B、重慶への深夜貨物便は4人とし、帰路後正常の休憩とする。C、西安便は3人。D、パラオ便は3人とする。E、グアム便は2人とし、日帰りではなく一泊とする。
3、以上の協議で不利益変更があってはならず、何らかの変更がある場合は協議を行う。緊急の事態においてはこの限りではない。

二、昇格制度について
1、会社は二年以内に、外国籍の操縦士の場合には副操縦士として採用し、機長として採用しない制度を実施する。特段の必要がない場合、外国籍の機長は採用しない。
2、定員に満たない事態が発生した場合、対応は公平、公正、公開とすること。同じ条件の場合は本国籍を優先して採用すること。台湾に居住する外国籍者はこの限りではない。
3、毎年の人事計画は、3月と9月の昇格会議の前に欠員状況を公表し、操縦士の考課成績は本人に開示すること。
4、昇格審査で同点の場合は、本国籍者を優先すること。毎回の昇格では本国籍者は外国籍者を下回ってはならない。台湾に居住する外国籍者はこの限りではない。

三、組合への報復禁止について。(略)

四、管理制度の検討(略)

五、飛行安全奨励金(略)

六、平和条項(略)

台湾:2人の女性操縦士が台湾史上初の操縦士ストを指導(2/13)

5日目に突入した台湾史上初めてのパイロットのストライキですが、2/13の午前1時から徹夜の労使交渉が断続的に続いています。このインターネットで生中継されたりと、注目も高いです。

ライブ中継はこちらのfbから

現地報道は山のようにあり、本来は運動系ウェブサイトの情報を訳したいのですが、体調が思わしくなく、断念。
で、「経済日報」という地元紙のウェブで、今回ストに突入した操縦士職能組合の委員長と執行委員の二人の女性について報じていたので訳してみました(最後の「空の女王」はどうでもいいのですが…)。

日本でも世界でも女性たちががんばっています。

原文はこちら

※陳倍倍さんの「倍」は本来は草かんむりがありますが、文字化けするので「倍」にしています。ご容赦。


2人の女性操縦士が台湾史上初の操縦士ストを指導

台湾紙「経済日報」ウェブ版
2019-02-10掲載

【写真】操縦士組合の李信燕委員長(右)はエバー航空の操縦士、陳倍倍執行委員はチャイナ・エアラインの操縦士として、操縦士組合を率いて会社に対する断乎かつしなやかな革命を発動した(記者・撮影 韓化宇)
チャイナ・エアラインのパイロットが台湾史上初めての操縦士ストライキを実施し、台湾社会を震撼させた。視聴者はテレビのモニターで、男性を中心とする組合員を率いる二人の女性を常に目にした。操縦士の世界にもたらしたしなやかな革命[原文:温柔革命]は、操縦士組合の李信燕委員長と陳倍倍執行委員による。

李信燕の経歴は陳倍倍ほどではないが、彼女が委員長の任を引き受けるまでの思いは、感動なくして語れない。

淡江大学の航空宇宙学部を卒業した李信燕は、エバー航空で操縦士になる前に、遠東航空のグラウンドスタッフ(地上勤務)を6年務めた。パイロットと知り合いになったことが、彼女の大空への情熱に火を灯した。2007年にエバー航空の航空研修生に合格し、現在はエバー航空A321便の操縦士を務めている。

操縦士組合はもともとチャイナ・エアラインの操縦士しか加盟していなかったが、2016年の台風17号の来襲の際、エバー航空は欠航を回避するためにフライトを強行し、世論からの非難を浴びた。このとき操縦士たちは労働組合を結成して、労働者の権利を守らないといけないと感じ、エバー航空分会が発足した。李信燕も立ち上げに参加した。

彼女によると、組合への加盟は同僚から協力を促されたのがきっかけで、彼女も組合参加は正しいことだと思い、この道に進んだが、それほど大きな理想を持っていたわけではなかったという。

去年5月、操縦士組合の役員改選で、李信燕は4人の常務執行委員の一人になった。ほかの3名はチャイナ・エアラインの操縦士だった。前任の委員長がチャイナ・エアライン出身だったので、今期はエバー航空から委員長を出すということで、李信燕がエバー出身ではじめて委員長に就任した。

しかし李信燕は当初、委員長に就任したことを家族には言えなかったという。とくに両親には、去年8月にスト権を確立したスト権投票後の記者会見の前日まで言えなかった。その日、李は勇気を振り絞って両親に告白することにした。いま操縦士組合の委員長で、「あす記者会見をする」と。

それを聞いた両親はびっくりして、彼女に問いただしたという。なぜまじめに仕事をしないのか?何もないのになんで組合なんかに?操縦士は高給で安定しているのにキャリアに傷がついたらどうするのか?等々。とくに母親の反発は強かった。

両親の理解が得られず、委員長を止めようかとも思ったが、この職責について権利をまもるために仲間らと立ち上がったのに、途中で辞めてしまったら、仲間に申し訳が立たない。こうして引き続き労働者の権利のために戦うことに決めた。

そして母親に、どうして組合に入ったのか、組合では何をしているのかなどを、懇切丁寧に説明した。

そして今回、操縦士組合がストライキを打ったとき、母親が突然、李信燕にこう言った。「もしプラカードを掲げて応援が必要なら、わたしがやってもいいわ」。このエピソードを語ったとき李信燕はおもわず涙を流した。この活動にはいってから母親からの反発が一番強かったのに、いまでは応援してくれる。「今日も『ちゃんとご飯食べてるの』と連絡があった。それにいつも『安全には注意するんだよ』と気遣ってくれる」。娘を愛する気持ちが言葉に現れている。

パイロットは男性の世界だと思っている人も多いだろう。しかしチャイナ・エアラインとエバー航空には多くの女性操縦士がいる。チャイナ・エアラインの1400人近くの操縦士のうち女性は100人で、操縦士歴28年の陳倍倍は女性操縦士の模範だ。

陳倍倍は、五年生専科学校を卒業して就職、一年余り働いたのち、チャイナ・エアラインに入社して客室乗務員を務めた。1991年に操縦士試験に合格し、その後28年つづく大空のキャリアに進んだ。

アメリカでトレーニングを受けて帰国した陳倍倍は、エアバスA300B4機を操縦した。当時はまだコンピューターが普及していない時代だったので、操縦席には正副の操縦士の他に、もう一人、航空技師が搭乗していた。

その後、彼女の操縦機がボーイング747-200型に変わり、現在は747-400型の操縦士である。「空の女王」と呼ばれるボーイング747型を女性が操縦するという独特の意味合いがある。

テレビカメラに映ることについて、他の組合員は恥ずかしがって出てこないと陳倍倍は笑う。「私は面の皮が厚いので、みんな私が前に立てと押すんですよ」

中華全国総工会第17回全国代表大会について

何際霞

何際霞 氏

(中国職工対外交流中心技術経済交流処処長)

 2018年12月11日

 

 

中華全国総工会第17回全国代表大会は、今年10月下旬に開催されました。この大会は、中国の小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的な完成の決戦段階そして中国の特色ある社会主義が新時代に入った時に開催された重要な大会です。大会で習近平主席の中国の特色ある社会主義の思想を指導理念として、労働者階級と労働組合活動に関する重要な討論を深く行いました。過去5年間の成果をまとめ、今後5年間の目標と任務を定め、規約を改正し、新しい指導部を選出しました。大会の性格は、団結、実務、激励、闘争の大会です。

大会は、中国共産党中央に高く重視されました。習近平主席が開幕式に出席し、李克強首相が中国経済情勢に関する報告を行いました。王滬寧・中国共産党中央政治局常務委員が中国共産党を代表してあいさつしました。習近平主席は、大会後に新しい指導部と会談し、重要なスピーチを行いました。スピーチの中で、総工会の5年間の活動を評価し、今後5年間の活動の方向性を示しました。このスピーチにもとづき今後5年間の基本的方向を決めました。

総工会は、中国共産党の指導の下で労働者自身が自発的に結合した団体です。総工会の組合員は3億人、基層組織は250万ほどあります。中国経済の発展に労働組合は重要な役割を果たしています。中国労働組合が国際交流を行うときに、平和・発展・協力・労働者権益を旗印に掲げています。労働組合の国際活動は、一帯一路建設を巡って各国労働組合の積極的交流を強化して、労働者の権益を守って実務的な協力を深化しようとしています。

これから、3つの方面から大会の紹介をします。

労働運動の時代的テーマを巡って、広大な労働者を団結させ、主人公として積極的に功績を立てる

労働運動の時代的テーマというと、中国の夢を実現する、中華民族の偉大な復興を実現するために努力することです。労働者に、自分の運命は国家の運命、民族の運命と緊密につなげる、自分の夢と国家の夢を緊密につなげるよう指導しています。中国の夢を実現するために、職場を愛して、まじめに仕事をして、幸せな生活をよりよくする未来を築くように共に頑張ります。具体的にはいくつかのやり方があります。

ひとつは、労働競技・技能競技を開催します。中国経済は高速成長段階から高質経済段階に変化しています。国家の重大な戦略やプロジェクト、重要な産業や職種、重点的な分野に沿って職種ごとの労働競技・技能競技を開催します。労働競技・技能競技のテーマは「主人公として新時代に功績を立てる」です。これがキーワードです。労働競技・技能競技によって技術の革新とか、発明・創造によって中国の質の高い発展、また近代化、経済体系の構造改革に役に立つように取り組んでいます。

もうひとつの重要なキーワードは、産業労働者のチームづくりの改革案です。2017年に中国共産党は新時代の産業労働者のチームづくりの改革法案をつくりました。実施は総工会が行っています。グローバル化のなかで競争力を向上させるには、労働者の質を高めなければなりません。待遇、職業訓練、労働模範の促進などの実施にあたっての細則をつくり実施しました。終身的な労働者の職業訓練のプログラムをつくっています。キャリアや社会的地位、いろんな面で産業労働者の能力を高めようとしています。総工会は関係省庁と連携して改革法案を実施していますが、改革によって中国の広大な知識型、技能型、革新型の産業労働者のチームをつくるようにしています。

もうひとつは、労働模範精神、職人精神を発揚します。日本の職人精神と似ていると思いますが、職人の精神を発揚して労働を栄養あるものとする社会的気風と研鑽に励む勤勉な気風をつくります。誠実に働く、勤勉に働く社会的雰囲気を醸成します。

労働者の権益を擁護し、労働者にサービスする

労働組合は労働者のために活動します。労働者が最も関心のある最も現実的な利益を巡って労働者の権益擁護を着実に実現します。労働者を重視して、どこかの労働者の合法的権益が侵害されたら、どこかの労働組合が立って発言しなければならないのです。

中華全国総工会は労働者にサービスする活動のブランドがあります。例えば、温もりを贈るイベントです。旧正月の前に総工会の幹部は全国を回ります。秋錦助学は、就学困難な労働者の子どもたちに援助する活動です。職業援助は、失業した労働者に就職促進活動、例えば職業紹介、職業訓練をする活動です。

もうひとつは、中国でインターネットが発達していますので、スマート労働組合を建設することに力を入れています。ネットを活用した情報提供です。4、5年前から行っています。インターネット・プラスですが、プラスはいろいろあります。労働組合加入もネットで可能です。買物、映画・演劇鑑賞の割引などです。

もうひとつは、農民工が増えましたので、農民工を集団的に組織化する活動です。労働組合に加入すれば、労働組合がよりよく農民工の権益を守ることができます。大きなプロジェクトは貧困援助です。国全体のプロジェクトでもありますが、労働組合としては困難のある労働者に困難から脱出する援助を行っています。労働者の合法的権益を守る面では、労働組合が労働者の利益の代弁者として活動しなければ、労働組合自身の存在の意味もなくなります。労働者の利益を守るには、まず源から、つまり労働者の利益を守る法律の策定に労働組合が積極的に参与します。

もうひとつは、供給側、サプライサイトの改革です。労働組合としては改革に積極的に参与して、改革による失業者に就職援助をします。新しい職を見つけるには職業訓練、就職先の紹介、社会保険との接続、労働関係の接続とか、いろいろなサービスを提供しています。労働組合で解決できることは労働組合で解決しますが、解決できないことは共産党や政府に反映して解決を積極的に推し進めます。

もうひとつは、調和のとれた労働関係の構築です。日本では労使協調ですが、中国では労働三者の協調システムを強化しています。シェアリング経済が進むにつれて、新しい労使関係も現れていますので新しい問題に直面しています。労働組合としては新しい労使関係を分析して、新しい労働組合の役割、対処を検討しているところです。

労働組合の改革

8月にも彭勇秘書長が詳しく説明しました。その時は4つの「化」、娯楽化、貴族化、行政化、官庁化を取り除く話でした。今日は3つの「性」を強化する話です。政治性、先進性、大衆性です。3つの「性」を強化するには、組織の設置、管理のパターンや運営のメカニズム、活動のやり方などいろいろな方法で労働組合の改革を行っています。

改革の目的は、より多くの労働者大衆とつながる組織をつくることです。労働組合の末端組織を強化します。現場にいる労働者と関わって、労働者大衆が一番関心を持つ問題、直接的に関係する利益を労働組合が取り組むことが改革の出発点です。末端組織の活性化、強化によって、より良いサービスを提供する、労働者の権益を守ることです。

もうひとつは、労働組合の組織の気風を変えます。労働組合のメリット、優位性は、一般労働者大衆と緊密に関わることです。一番危ないことは労働者と離れることです。気風を変えるには、まず労働組合幹部を教育しなければなりません。労働組合幹部を実践のなかで訓練するメカニズムをつくっています。労働組合の末端組織の活動は、労働者に焦点をあて、労働者によって評価する、労働者のなかで活動を行うことです。

以上、中華全国総工会第17回全国代表大会について簡単に説明しました。今後の我々の交流にも参考になると思います。


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