JCLIF レポート

中国:工場閉鎖でないがしろにされる労働者の権利を守れ

中国では世界的な経済危機の影響を受け、これまで沿海地域に集中していた労働集約産業の内陸移転や競争力強化にむけた産業構造の転換などが進められているようですが、このかん、工場移転や閉鎖などに伴う解雇や待遇改悪などが目立っているようです。いろいろな労働争議が伝えられていますが、以下は労働者の声がそのまま反映されているということもあって翻訳紹介してみました。以下のサイトには労働者が泊り込みで搬出阻止をしている写真なども掲載されています。

原文 http://molihuaxingdong.blogspot.jp/2012/12/blog-post_29.html

以下、翻訳紹介します。

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勝技製品工場

◆ 勝技製品工場の全工員から社会各界への公開書簡 (2012/12/27)

私たちは深圳市宝安区福永鎮にある勝技製品工場の工員です。勝技製品工場は2012年12月18日に営業登記の期限を迎えましたが、工場は私たちとの労働契約をどのように処理するのかについて、明確に示してきませんでした。

2012年12月24日、私たちがこの件について話を聞こうとしたところ、なんと工場の経営者は外部から裏社会の人間を招きいれ、私たちに対して恫喝を行い、私たちの仲間の一人に手を上げ、頭部に怪我を負わせたのです。殴られた仲間は幻聴と難聴を訴えています。

私たち全工員が工場に要求したことは次の通りです。

1)暴力事件に対して、納得のいく説明と謝罪、および被害者への補償を行うこと。
2)勝技製品工場の労働契約問題については、今後新たに登記される会社と新しい契約を結ぶかどうかに関わりなく、まず現在の勝技製品工場との労働契約に基づいて、実際の在職歴に応じた補償と賠償を行うこと。

私たち全工員の訴えに対して工場側は完全無視を決め込み、何ら誠意ある対応を見せないどころか、工場内の半製品など貴重な生産材料を搬出しようとしたのです。もしこれらの貴重な材料がすべて持ち去られてしまい、工場の移転や倒産が宣言され、経営者がどこかへ去ってしまうことになれば、私たち全工員の経済的権利を誰がどのように保障するというのでしょうか?

今日、12月27日には突如工場長がフォークリフトで材料をトラックに積み込みだしました。工場長はフォークの運転免許もなく、操作方法もわかりません。付近にいた工員をひいていた可能性もあったのです。工場側は裏社会の人間に暴力を振るわせただけでなく、死ぬまで殴れと言い放ったのです。しかも派出所に連絡をして十数人の労働者代表を捕まえさせて、材料をトラックに積み込んだのです。12月25日には指紋認証式タイムカードを取り外してしまい、工員が打刻できないようにしてしまいました。

事件はすでに4日が経過し、労働局も来たし、派出所も来たにも関わらず、工場側は私たちに対して何らまともな回答をしようとはしていません。

いま、工場側は外部の人間を雇って材料を運び出そうとしています。私たちが交通を妨害するのであれば暴力に訴えてでも通ると脅かしています。私たちは12月26日から材料の持ち出しを阻止するために泊り込みで警戒に当たっています。外は寒く、夜になるとさらに冷えて凍えそうになりますが、私たちは持ち場を堅持しています。なかには風邪を引いてしまった仲間もいますが、それでも妥協に甘んじることはよしとせず、自分達の権利を守るためにがんばっています。

私たちは、これまでずっと、生存のために不合理で不公平な待遇にも黙って耐え忍んできたのです。もし工場がこれほどひどい対応をしていなければ、私たちもこのような方法で問題の解決を訴えることはありませんでした。

社会各界のみなさんが私たち工員の苦難と無力感を理解し、社会の最底辺にある私たちの権利を守るためにお力をお貸しくださるようお願いします。

みなさんからの支持と注目をいただけることを願って。

勝技製品工場の全工員より
2012年12月27日

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◆ 深圳市総工会への公開書簡(2012/12/29)

尊敬する深圳市総工会のリーダーのみなさま

私たちは深圳市宝安区福永鎮の勝技製品工場の工員です。私たちと労働契約を締結している「勝技製品工場」は2012年12月18日に営業登記の期限を迎えましたが、その後、工場側は私たちとの労働契約問題をどう処理するのかについて提示してきませんでした。2012年12月24日、私たちは工場側に結局どう処理するのかを聞こうとしました。ところが、私たちが処理問題について問い合わせようとしたら、工場側は雇っていた正体不明の人間が邪魔するために出てきて、恫喝、暴力をふるい、私たちの仲間の頭に怪我を負わせたのです。

この数日間、私たちはこの事件について納得の行く回答を工場側に要求しています。工場側のこのような行為は私たち工員の人身の安全を大いに脅かすことだと考えています。また、私たちは、工場側が誠意を持って私たちとの労働契約問題について対応するよう要求し続けています。しかし工場側からの回答は、無視、ごまかし、そして恫喝でした。

私たちは労働組合が私たちの権利を代表し防衛するものだということを知っています。市総工会のリーダーの皆様が私たちを支援してくださるよう希望します。工場での泊まりこみを何日も続けています。深センは北方ほど寒くはありませんが、それでも冬の天気はこたえます。夜になると寒さに震えながら身を寄せ合いながら、私たちの共同の権利を守るために夜を徹した守りを続けているのです。

私たちはそれほどまでに追い詰められているのです。何日かが過ぎたある日、制服を着た人たちがたくさん工場にやって来て、私たちに厳しい対応を始めました。私たち工員は数百人しかいません。もちろんみんな心を一つにして努力していますが、天に訴えても答えは聞けず、地に嘆いてもなにも変わらないという無気力感と悲しみに襲われています。

市総工会のリーダーのみなさまのご支援によって、私たちの権利を守ることができるように心から希望します。

勝技術製品工場全工員から市総工会へ緊急に支援を求めます。

勝技術製品工場の全工員より
2012年12月29日