中国:二つのメーデースローガン(2018/5/1)

メーデーです。おとなり中国は、代替わりの「奉祝メーデー」とは関係なく毎年お休みです。人民日報ウェブ版を開いたら、トップ記事で大きく

「習近平:弘揚労模精神 激励広大労働群衆争做新時代奮闘者」
(習近平:労働模範精神を発揚し、広範な労働者大衆が競い合って新時代の奮闘者となるよう激励せよ)

という見出しとともに、メーデ関連記事が掲載されていました。あまり意味がないので、とりあえず記事のタイトルだけ訳します。

習近平給中国労働関係学院労模本科班学員的回信
(習近平から中国労働関係学院労働模範本科班学員への返答)

珍惜栄誉 努力学習 継続拼搏 再創佳績 激励広大労働群衆争做新时代的奮闘者
(栄誉を大切にし 学習にいそしみ 粘り強く奮闘を継続し 好業績をさらに創造し広範な労働者大衆が競い合って新時代の奮闘者となるよう激励せよ)

紀念中共中央発布“五一口号”七十周年座談会在京挙行
(中共中央発布の“メーデー・スローガン”70周年シンポジウム)

で、このような政府側の取り組みとは別に、賃上げや長時間労働など労働条件の改善という「メーデー・スローガン」を掲げてストライキを呼びかける労働者たちのニュースも流れていました。

どうせ訳すならこっちでしょ、ということで訳しました映像もあります。ちなみに4月末に北京大学でのアカハラに#MeTooの声を上げた女子学生の岳昕さんの二度目の公開状でもこの争議や塵肺患者の境遇など労働者への関心にも触れており、こちらもぜひ翻訳紹介したい内容です。
→https://www.letscorp.net/archives/130463。

激温経済の中で過酷労働の改善と賃上げを求める労働者の要求は当然でしょう。なぜ弾圧する?以下、香港紙りんご日報の記事の翻訳です。映像もあります。

<会員 IY>


★18省27市示威促加薪天秤手號召今罷工遭打壓
18省27都市で賃上げ示威 クレーン運転手らが呼びかけたストに弾圧

原文

「給料があがらないときはどうする?」「ストライキでしょ!」

今日は5・1労働節だが、中国国内では驚くことにメーデーストライキが呼びかけられていた。建築用クレーン運転手らが、低い賃金、ひどい待遇に不満をもち、先週木曜日(4月26日)に全国18省27都市の街頭で横断幕を掲げ、スローガンを叫ぶ示威を行い、陳儀あげを求め、賃上げされなければ5月1日にストライキを行うと予告した。争議は各地に広がり、当局は慌てて弾圧に乗り出した。労働運動活動家によると、今回の示威行動は現場の親方らが呼びかけたもので、従来の争議ではあまりみられなかったケースだという。

中国労工通訊およびウェブ上の映像などによると、クレーン運転手らによるリレー式の示威は、広東省中山、茂名、広西省、福建省、江西省、湖南省、湖北省、河南省、河北省、四川省、重慶特別市など中国全省の半分の18省27都市で連鎖的に、しかも同一産業のなかで発生している。四川省自貢市のクレーン労働者らが4月26日に行動をはじめたのが最初で、かれらは横断幕を掲げ、賃上げを要求し、それが受け入れなければすぐにストライキに突入すると宣言した。


・広東:横断幕を掲げる茂名の示威労働者(写真)

・山東:青島クレーン労働者らの示威(写真)

「家族を養えない 満足にご飯も食べられない!」と叫ぶ

河北省石家庄とおもわれるクレーン運転手らは大きな横断幕を掲げ、賃上げと労働時間の規制を要求している。「タワークレーンのオペレーター9000元、合図者5500元、エレベータ運転手5000元。8時間労働。」広西省玉林の労働者は横断幕を掲げて、残業代1時間につき50元増やせ、と叫んでいる。河南省洛陽の建築労働者は「洛陽のタワークレーンのオペレーターには祝日休暇もなく、残業代もなく、諸手当もないので要求してかちとるしかない」というスローガンを掲げている。

ある労働者はWEB映像のなかで中央政府に対する不満を公然と述べている。「おれたちの給料は5-6年前と変わらない……残業代も出ないし、給料も上がらない……これじゃ家族を養っていけないし、満足に食事もとれないよ」

当局は大いに緊張し、ウェイシン・チャット(中国国内のライン)グループを閉鎖し、チャット・オーナーを調査している。本誌記者はためしにこのアカウントに連絡を取ってみたが、このアカウントが違法の疑いがあるということで当局から閉鎖されていた。情報によると、深セン建築業協会機械分会が前日に発した緊急通知では、クレーン運転手らが低賃金に抗議してメーデーに集団行動をおこすので、建築関連企業は管理を強化し、争議の爆発を回避するよう指示していたという。昨日、本誌記者は深セン建築業協会に電話したがつながらなかった。政府関係者がすでにこの事件に介入しており、労働者代表と面会したという情報もある。

・建設現場で示威の指揮を執る親方(写真)

・政府担当者と警察が説得に(写真)

「非常にめずらしい」と香港HKCTUの幹事

中国国内の労働者の権利に関心を示してきた香港職工会聯盟の林祖明幹事によると、今回の示威行動は労働者がQQ(中国のインスタントメッセンジャー)などのグループで自発的に組織したもののようだ。中国国内の建築業や下請け構造の状況は香港と似ており、下請け、孫請け、など階層化されている。現場の労働者は親方が仕事を手配しており、今回はその親方らが始めた者だろう。林祖明幹事によると、中国国内のタクシーやバイク便などの業界でも近年ストライキが多発していたが、建設業ではあまりみられなかった。今回のクレーン作業員らの示威とメーデー・ストライキの呼びかけは、近年ではまれに見る事件だ。